~趣味の世界~
フジミ1/700特シリーズの航空戦艦伊勢です。
外箱。ハセガワの衣笠の箱よりわずかに大きい、戦艦キットらしい大柄な箱です。
伊勢は伊勢型戦艦の1番艦。日本独自の設計(とはいってもまだ多くは英国式の設計の流用ではあった)として36cm砲を12門と強力な砲火力を持つ戦艦として建造された扶桑型戦艦がいざ運用をしてみると様々な不具合が露呈したため、3・4番艦として建造される予定であった伊勢・日向はその改良型の伊勢型戦艦として再設計されました。1915年に起工し、就役は1917年。その後戦間期において幾度かの近代化改装を受けるものの、太平洋戦争の頃には運用思想の変化から同時期に建造された通常型の戦艦と同様にやや持て余し気味になっており、伊勢より旧型で火力は劣るものの速力に勝る金剛型の方が多く出番があった有様となっていました。そんな折、ミッドウェー海戦において4隻の正規空母を失った日本海軍はその補充として他艦種から空母への改装を行う中、伊勢型戦艦も空母への改装が画策されます。しかし工期や予算的な都合から部分的な改装に変更、丁度この直前に2番艦の日向の5番砲塔が事故により損壊していた事から、艦の後半に航空甲板を架装し多数の水上機を運用できるように1942年12月に改装が開始され、翌9月に完成。予定では水上偵察機「瑞雲」と艦上爆撃機「彗星」(彗星は発艦のみ可)を搭載とし、このために第634航空隊も編成していましたが、戦局に変化から航空隊のみフィリピン方面へ転出し、結局航空機を実戦で搭載し運用する機会はありませんでした。その後1944年10月のレイテ沖海戦に搭載機の無い状態で専ら「戦艦」として参加、対空戦闘で戦果を挙げました。11月には使い途の無くなったカタパルトを撤去し、「北号作戦」のためシンガポールへ向かいます。翌年2月、航空甲板下の格納庫に物資を満載し、「半分戻れば上々」とされた帰路を奇跡的に無傷で本土に帰還します。その後は燃料不足から呉において浮き砲台とされ、7月24日の呉軍港空襲時に直撃弾を受け、曳航作業中であった28日に更なる爆撃により遂に大破着底します。
キットは1944年9月30日に墳進砲を装備し、11月1日にカタパルトを撤去するまでの間、1944年10月の、レイテ沖海戦前後の仕様となっています。
大きい箱にぎっしりと詰まるボリューム。多い!小さな紙にあるようにバラストは省略されています。
説明書。やや説明不足気味なのは相変わらずですが、念入りに確認を怠らなければ何とかなります。
パーツは多いので分割して撮影。まず船体・艦底・甲板。
パーツM・N・P・R・S。
パーツ(H・I・J)、(E・F)、(E・F・G)
パーツT
パーツU、I。
透明パーツ(K・L)、Q、そしてデカール。
今回は更にフジミ純正のエッチングパーツも用意しました。
説明書。分かりにくい・・・
エッチングパーツはおそらく真鍮製。番号を間違えないように注意しましょう。
139の長いハシゴ状のパーツは説明書に使用指示がありませんが、適宜の長さに切ってキット説明書④のP20や、⑨のP11・P12の代わりにすると良いでしょう。
物量がすごいので筆塗りではやってられません。スプレー塗料で32軍艦色2を塗ってしまいます。
甲板と艦橋基部のパーツ上面のみを44タンでスプレー塗装。
エッチングパーツは全体にメタルプライマーを塗り、32軍艦色2をスプレー塗装しておきます。作業中にパリパリ剥がれがちになりますが、あとでレタッチしてやれば良いです。
艦底パーツや船体はわずかに反っていて中央部が浮き気味になっているのをバラストの重みで誤魔化せないため、艦底パーツの上面に船体パーツや甲板パーツの下面と干渉しない位置にランナーを貼りつけて補強してみました。きちんと水平の出ている台の上でキッチリ接着乾燥させてやれば効果はあるようです。(完成後もテーブルの上で艦底がピッタリと接地しています)
3パーツを接着し重しをしているところ。
甲板上の細かいところの塗装をしたところ。艦底パーツは最後まで無塗装のまま。なんか・・良い色だし・・・
甲板の色を木甲板らしくするためエナメルフラットブラウンを薄めて面相筆で前後方向に描くようにして色をつけます。木甲板は考証が人それぞれにあり、「これが正解」というものは無いと思います。思い思いにイメージに近づける方法を各々で模索してみて下さい。
艦尾の上に乗るパーツの下面に本来あってはいけない「川」状の突起が付いていますが、何で付いてんのコレ・・・削ってしまいましょう。
格納庫部分を接着。船体との噛み合わせでやや隙間が開きがちなのでしっかりと輪ゴムで縛って圧着。
航空甲板はコンクリート製だったらしく、終戦直後に撮影された日向の航空甲板が爆撃でバキバキに割れているカラー映像がYoutubeなどにあります。説明書では31軍艦色1の塗装指示になっていますが、持ってなかったのでニュートラルグレーで塗ったものの、もっと明るい色の方が良かったかも。
航空甲板を接着し、エッチングパーツの軌条を貼ります。面に対し垂直に細切りを接着するうえ、何かと触りがちになる位置なので気が付くと1本無くなってる事も・・・
ラッタルはたくさん使用します。段の部分を全部曲げるのは大変だし失敗リスクも高いので無理だと思ったら段が斜めのままの状態で使う決断をしましょう。特に艦橋後面に大量に付くラッタルは細長く、段を曲げるのに失敗して段を脱落させてしまう方が見栄えが悪いです。
艦橋、煙突、後部艦橋などを組んでゆきます。煙突の周りは元のプラパーツだと筋交いなどの部分が塞がっていますが、エッチングパーツに置き換えると内部がよく見えるようになり印象がかなり変化します。
砲塔やカタパルト、小艇類を取り付けてゆきます。小艇類は後に取り付ける手摺に干渉しない位置に置くように注意します。
艦橋と煙突一式が組みあがりました。この部分と煙突一式は接着を後回しにしておくと作業性が良いです。
後部マストは大部分がエッチングパーツに置き換わります。雪風の時に大苦戦した13号電探は2つも組まなくてはなりませんが、超丁寧に組んだので何とかうまくゆきました。
パーツの取り付けが完了。あとは細かいところの塗装とウォッシングだけ。
時期的に航空機を搭載していないので航空甲板には航空機を置かない事にしておきますが、折角の瑞雲と彗星なので1機ずつ組みました。透明パーツなのでパーツ紛失が怖いため、ランナー上で一旦塗装してからの方が安全。ただしキャノピーだけは塗らないように注意。彗星はどうも空冷エンジンに換装された彗星33型のようなので、エッチングパーツのプロペラの上にプラパーツのプロペラを切り飛ばしたスピナー部分だけを取り付けて水冷の彗星っぽくしてみました。
航空甲板をエナメルニュートラルグレーで、他はいつも通りフラットブラック、ジャーマングレー、フラットブラウンで気持ち薄めにウォッシングして完成。
エッチングパーツも戦艦サイズともなれば物凄い量だったので完成までみっちり作業しても何日も掛かってしまいます。それだけに完成してしまいさえすれば感慨もひとしお。
スキルの低さと雑な性分ゆえに寄って見れば荒がかなり目立つのですが、これ以上のものを組むのはもう無理かも…
各部を観察。主砲はビッカース1908年型14in砲を国産化した45口径四一式36cm連装砲が金剛型、扶桑型に次いで搭載されています。竣工時には6基12門あり、後の改装で主砲仰角が拡大されるなどの改良がされていますが、航空戦艦への改装時に5・6番砲塔が撤去されて最終的には4基8門となっています。
艦橋。元は金剛型や扶桑型と同様に高い三脚型のマストに籠型の構造物が複数載せられていていましたが、増設に増設を重ね「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態を成しています。構造物の合間に元々の三脚型マストが垣間見えます。
2段目の甲板の左右側面にはケースメイト副砲として50口径三年式14cm単装砲が合計20門(甲板上に砲塔式で2門を含む)装備されていましたが、航空戦艦への改装時に全て撤去されています。
煙突付近。機関は当初石炭・重油混焼缶24基により45,000馬力を発揮し、煙突も艦橋直後から2本並んでいましたが、重油専焼缶8基80,000馬力に換装されると前側の煙突が撤去され、扶桑型と同様に1本煙突になりました。高角砲も竣工時には40口径三年式8cm単装高角砲を4基装備していたものが後に40口径八九式12.7cm連装高角砲に置き換わり、航空戦艦への改装時には更に4基が追加されて8基16門に増強されました。
後部艦橋周辺。扶桑型からの改良点として主機の真上にあった3・4番砲塔が後方へずらされて背負い式に並び、また甲板も低められて重心低減がはかられています。カタパルトは偵察機搭載のため呉式2号射出機が1基装備されていましたが航空戦艦への改装時には重量のある瑞雲・彗星の射出を行うためより大型の一式2号11型射出機を2基設置しています。しかし搭載機の転出により航空機搭載の目途が立たなくなり用を成さなくなったためレイテ沖海戦の後に撤去されてしまいました。
航空甲板。伊勢では搭載機は水上偵察機「瑞雲」14機、艦上爆撃機「彗星」8機が搭載され、全て台車に乗せられて格納庫から甲板上を軌条に沿って移動させられます。後部艦橋の直後には揚弾機があり、兵装は甲板上で装備されます。瑞雲は甲板左のデリックで水上から吊り上げられますが、艦上機である彗星は射出のみを行い、作戦後は陸上基地に着陸するか、使い捨てとなります。
航空甲板後方の左右舷には12cm28連装噴進砲が6基装備されています。この噴進砲は砲とはいっても実際にはランチャーであり、四式焼霰(しょうさん)弾と呼ばれるロケット弾(通称「ロサ弾」)を28発発射するロケットランチャーです。ロサ弾はランチャーから打ち上げられると上空炸裂し金属粒をばら撒く対空兵器です。射程が1500mと短かく無誘導のため艦対空ミサイルのように敵航空機に直接ぶつけられるようなものではなく、花火のようなものであまり実用的ではありませんでしたが、レイテ沖海戦においては巡航速度で進行し敵爆撃機が急降下を開始したら急転舵して爆撃コースを外させる、という回避戦法の補助として活用されました。
後部艦橋のマスト上には13号電探が2基装備されています。対空兵装としては九六式25mm機銃が1937年の改装時から装備が進められていましたが航空戦艦への改装時には同3連装機銃が合計31基装備されました。
伊勢型戦艦ではミッドウェー海戦と並行して行われていたアリューシャン方面での作戦時(1942年5月)に伊勢には21号、日向には22号の電探がそれぞれ装備されテストされており、伊勢には後に22号電探が艦橋頂部左右に1基ずつ計2基装備されました。21号もそのままではなく、改良されて再装備されています。
艦上爆撃機「彗星」(上画像左)。彗星は空母艦載用の小型の艦上爆撃機で、特徴として水冷エンジンである「アツタ」を搭載しているため機首形状が流線型を成しています。伊勢型航空戦艦に搭載するにあたり初期量産型の彗星11型又は改良型の彗星12型を元にしてカタパルト発進のため機体を強化した「彗星22型」が専用に用意されました。しかしキットでは何故か機首形状が大戦末期に整備性改善のため空冷エンジン「金星」に換装された「彗星33型」の形状を成しています。
水上偵察機「瑞雲」。零式三座水上偵察機の後継として戦闘爆撃機の要素も盛り込まれたマルチロール機です。ただし機体重量が零式三座水上偵察機よりやや重く、その多くとセットで用いられていた呉式2号5型射出機では射出できないため、大型の射出機をもつ一部の艦での使用か、水上基地からの運用が主となりました。
扶桑型戦艦「扶桑」と。
準同型艦のため部分的には似たところも多いです。
扶桑といえば特徴的なパゴダ・マストと呼ばれる艦橋ですが、伊勢では複雑になっている分太くなったので安定感があります。
扶桑型戦艦も伊勢型同様に航空戦艦への改装が企図されましたが結局はキャンセルされています。
画像上から金剛、扶桑、伊勢。
全長は金剛が一番長いですが、艦橋の高さは扶桑が一番高いです。
3艦とも戦艦ドレッドノートがそれまでの戦艦を時代遅れにした直後の時期に、いかにドレッドノート級を超えるかを競うように建造された戦艦でしたが、最後に活躍した時期にはすでに「戦艦」そのものが時代遅れという時代。
次は長門型だな・・・
@@@
キット難易度的には金剛ほどすんなりとは組めないけど扶桑よりは組みやすいかな・・・でも単に慣れただけかな・・・実際は扶桑と同程度かな?という感じ。エッチングパーツ込みだと難易度は跳ね上がりますが、じっくり丁寧にやれば何とかなる・・・かなあ?
日向や航空じゃない戦艦の伊勢を組みたい方はハセガワのをどうぞ。
外箱。ハセガワの衣笠の箱よりわずかに大きい、戦艦キットらしい大柄な箱です。
伊勢は伊勢型戦艦の1番艦。日本独自の設計(とはいってもまだ多くは英国式の設計の流用ではあった)として36cm砲を12門と強力な砲火力を持つ戦艦として建造された扶桑型戦艦がいざ運用をしてみると様々な不具合が露呈したため、3・4番艦として建造される予定であった伊勢・日向はその改良型の伊勢型戦艦として再設計されました。1915年に起工し、就役は1917年。その後戦間期において幾度かの近代化改装を受けるものの、太平洋戦争の頃には運用思想の変化から同時期に建造された通常型の戦艦と同様にやや持て余し気味になっており、伊勢より旧型で火力は劣るものの速力に勝る金剛型の方が多く出番があった有様となっていました。そんな折、ミッドウェー海戦において4隻の正規空母を失った日本海軍はその補充として他艦種から空母への改装を行う中、伊勢型戦艦も空母への改装が画策されます。しかし工期や予算的な都合から部分的な改装に変更、丁度この直前に2番艦の日向の5番砲塔が事故により損壊していた事から、艦の後半に航空甲板を架装し多数の水上機を運用できるように1942年12月に改装が開始され、翌9月に完成。予定では水上偵察機「瑞雲」と艦上爆撃機「彗星」(彗星は発艦のみ可)を搭載とし、このために第634航空隊も編成していましたが、戦局に変化から航空隊のみフィリピン方面へ転出し、結局航空機を実戦で搭載し運用する機会はありませんでした。その後1944年10月のレイテ沖海戦に搭載機の無い状態で専ら「戦艦」として参加、対空戦闘で戦果を挙げました。11月には使い途の無くなったカタパルトを撤去し、「北号作戦」のためシンガポールへ向かいます。翌年2月、航空甲板下の格納庫に物資を満載し、「半分戻れば上々」とされた帰路を奇跡的に無傷で本土に帰還します。その後は燃料不足から呉において浮き砲台とされ、7月24日の呉軍港空襲時に直撃弾を受け、曳航作業中であった28日に更なる爆撃により遂に大破着底します。
キットは1944年9月30日に墳進砲を装備し、11月1日にカタパルトを撤去するまでの間、1944年10月の、レイテ沖海戦前後の仕様となっています。
大きい箱にぎっしりと詰まるボリューム。多い!小さな紙にあるようにバラストは省略されています。
説明書。やや説明不足気味なのは相変わらずですが、念入りに確認を怠らなければ何とかなります。
パーツは多いので分割して撮影。まず船体・艦底・甲板。
パーツM・N・P・R・S。
パーツ(H・I・J)、(E・F)、(E・F・G)
パーツT
パーツU、I。
透明パーツ(K・L)、Q、そしてデカール。
今回は更にフジミ純正のエッチングパーツも用意しました。
説明書。分かりにくい・・・
エッチングパーツはおそらく真鍮製。番号を間違えないように注意しましょう。
139の長いハシゴ状のパーツは説明書に使用指示がありませんが、適宜の長さに切ってキット説明書④のP20や、⑨のP11・P12の代わりにすると良いでしょう。
物量がすごいので筆塗りではやってられません。スプレー塗料で32軍艦色2を塗ってしまいます。
甲板と艦橋基部のパーツ上面のみを44タンでスプレー塗装。
エッチングパーツは全体にメタルプライマーを塗り、32軍艦色2をスプレー塗装しておきます。作業中にパリパリ剥がれがちになりますが、あとでレタッチしてやれば良いです。
艦底パーツや船体はわずかに反っていて中央部が浮き気味になっているのをバラストの重みで誤魔化せないため、艦底パーツの上面に船体パーツや甲板パーツの下面と干渉しない位置にランナーを貼りつけて補強してみました。きちんと水平の出ている台の上でキッチリ接着乾燥させてやれば効果はあるようです。(完成後もテーブルの上で艦底がピッタリと接地しています)
3パーツを接着し重しをしているところ。
甲板上の細かいところの塗装をしたところ。艦底パーツは最後まで無塗装のまま。なんか・・良い色だし・・・
甲板の色を木甲板らしくするためエナメルフラットブラウンを薄めて面相筆で前後方向に描くようにして色をつけます。木甲板は考証が人それぞれにあり、「これが正解」というものは無いと思います。思い思いにイメージに近づける方法を各々で模索してみて下さい。
艦尾の上に乗るパーツの下面に本来あってはいけない「川」状の突起が付いていますが、何で付いてんのコレ・・・削ってしまいましょう。
格納庫部分を接着。船体との噛み合わせでやや隙間が開きがちなのでしっかりと輪ゴムで縛って圧着。
航空甲板はコンクリート製だったらしく、終戦直後に撮影された日向の航空甲板が爆撃でバキバキに割れているカラー映像がYoutubeなどにあります。説明書では31軍艦色1の塗装指示になっていますが、持ってなかったのでニュートラルグレーで塗ったものの、もっと明るい色の方が良かったかも。
航空甲板を接着し、エッチングパーツの軌条を貼ります。面に対し垂直に細切りを接着するうえ、何かと触りがちになる位置なので気が付くと1本無くなってる事も・・・
ラッタルはたくさん使用します。段の部分を全部曲げるのは大変だし失敗リスクも高いので無理だと思ったら段が斜めのままの状態で使う決断をしましょう。特に艦橋後面に大量に付くラッタルは細長く、段を曲げるのに失敗して段を脱落させてしまう方が見栄えが悪いです。
艦橋、煙突、後部艦橋などを組んでゆきます。煙突の周りは元のプラパーツだと筋交いなどの部分が塞がっていますが、エッチングパーツに置き換えると内部がよく見えるようになり印象がかなり変化します。
砲塔やカタパルト、小艇類を取り付けてゆきます。小艇類は後に取り付ける手摺に干渉しない位置に置くように注意します。
艦橋と煙突一式が組みあがりました。この部分と煙突一式は接着を後回しにしておくと作業性が良いです。
後部マストは大部分がエッチングパーツに置き換わります。雪風の時に大苦戦した13号電探は2つも組まなくてはなりませんが、超丁寧に組んだので何とかうまくゆきました。
パーツの取り付けが完了。あとは細かいところの塗装とウォッシングだけ。
時期的に航空機を搭載していないので航空甲板には航空機を置かない事にしておきますが、折角の瑞雲と彗星なので1機ずつ組みました。透明パーツなのでパーツ紛失が怖いため、ランナー上で一旦塗装してからの方が安全。ただしキャノピーだけは塗らないように注意。彗星はどうも空冷エンジンに換装された彗星33型のようなので、エッチングパーツのプロペラの上にプラパーツのプロペラを切り飛ばしたスピナー部分だけを取り付けて水冷の彗星っぽくしてみました。
航空甲板をエナメルニュートラルグレーで、他はいつも通りフラットブラック、ジャーマングレー、フラットブラウンで気持ち薄めにウォッシングして完成。
エッチングパーツも戦艦サイズともなれば物凄い量だったので完成までみっちり作業しても何日も掛かってしまいます。それだけに完成してしまいさえすれば感慨もひとしお。
スキルの低さと雑な性分ゆえに寄って見れば荒がかなり目立つのですが、これ以上のものを組むのはもう無理かも…
各部を観察。主砲はビッカース1908年型14in砲を国産化した45口径四一式36cm連装砲が金剛型、扶桑型に次いで搭載されています。竣工時には6基12門あり、後の改装で主砲仰角が拡大されるなどの改良がされていますが、航空戦艦への改装時に5・6番砲塔が撤去されて最終的には4基8門となっています。
艦橋。元は金剛型や扶桑型と同様に高い三脚型のマストに籠型の構造物が複数載せられていていましたが、増設に増設を重ね「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態を成しています。構造物の合間に元々の三脚型マストが垣間見えます。
2段目の甲板の左右側面にはケースメイト副砲として50口径三年式14cm単装砲が合計20門(甲板上に砲塔式で2門を含む)装備されていましたが、航空戦艦への改装時に全て撤去されています。
煙突付近。機関は当初石炭・重油混焼缶24基により45,000馬力を発揮し、煙突も艦橋直後から2本並んでいましたが、重油専焼缶8基80,000馬力に換装されると前側の煙突が撤去され、扶桑型と同様に1本煙突になりました。高角砲も竣工時には40口径三年式8cm単装高角砲を4基装備していたものが後に40口径八九式12.7cm連装高角砲に置き換わり、航空戦艦への改装時には更に4基が追加されて8基16門に増強されました。
後部艦橋周辺。扶桑型からの改良点として主機の真上にあった3・4番砲塔が後方へずらされて背負い式に並び、また甲板も低められて重心低減がはかられています。カタパルトは偵察機搭載のため呉式2号射出機が1基装備されていましたが航空戦艦への改装時には重量のある瑞雲・彗星の射出を行うためより大型の一式2号11型射出機を2基設置しています。しかし搭載機の転出により航空機搭載の目途が立たなくなり用を成さなくなったためレイテ沖海戦の後に撤去されてしまいました。
航空甲板。伊勢では搭載機は水上偵察機「瑞雲」14機、艦上爆撃機「彗星」8機が搭載され、全て台車に乗せられて格納庫から甲板上を軌条に沿って移動させられます。後部艦橋の直後には揚弾機があり、兵装は甲板上で装備されます。瑞雲は甲板左のデリックで水上から吊り上げられますが、艦上機である彗星は射出のみを行い、作戦後は陸上基地に着陸するか、使い捨てとなります。
航空甲板後方の左右舷には12cm28連装噴進砲が6基装備されています。この噴進砲は砲とはいっても実際にはランチャーであり、四式焼霰(しょうさん)弾と呼ばれるロケット弾(通称「ロサ弾」)を28発発射するロケットランチャーです。ロサ弾はランチャーから打ち上げられると上空炸裂し金属粒をばら撒く対空兵器です。射程が1500mと短かく無誘導のため艦対空ミサイルのように敵航空機に直接ぶつけられるようなものではなく、花火のようなものであまり実用的ではありませんでしたが、レイテ沖海戦においては巡航速度で進行し敵爆撃機が急降下を開始したら急転舵して爆撃コースを外させる、という回避戦法の補助として活用されました。
後部艦橋のマスト上には13号電探が2基装備されています。対空兵装としては九六式25mm機銃が1937年の改装時から装備が進められていましたが航空戦艦への改装時には同3連装機銃が合計31基装備されました。
伊勢型戦艦ではミッドウェー海戦と並行して行われていたアリューシャン方面での作戦時(1942年5月)に伊勢には21号、日向には22号の電探がそれぞれ装備されテストされており、伊勢には後に22号電探が艦橋頂部左右に1基ずつ計2基装備されました。21号もそのままではなく、改良されて再装備されています。
艦上爆撃機「彗星」(上画像左)。彗星は空母艦載用の小型の艦上爆撃機で、特徴として水冷エンジンである「アツタ」を搭載しているため機首形状が流線型を成しています。伊勢型航空戦艦に搭載するにあたり初期量産型の彗星11型又は改良型の彗星12型を元にしてカタパルト発進のため機体を強化した「彗星22型」が専用に用意されました。しかしキットでは何故か機首形状が大戦末期に整備性改善のため空冷エンジン「金星」に換装された「彗星33型」の形状を成しています。
水上偵察機「瑞雲」。零式三座水上偵察機の後継として戦闘爆撃機の要素も盛り込まれたマルチロール機です。ただし機体重量が零式三座水上偵察機よりやや重く、その多くとセットで用いられていた呉式2号5型射出機では射出できないため、大型の射出機をもつ一部の艦での使用か、水上基地からの運用が主となりました。
扶桑型戦艦「扶桑」と。
準同型艦のため部分的には似たところも多いです。
扶桑といえば特徴的なパゴダ・マストと呼ばれる艦橋ですが、伊勢では複雑になっている分太くなったので安定感があります。
扶桑型戦艦も伊勢型同様に航空戦艦への改装が企図されましたが結局はキャンセルされています。
画像上から金剛、扶桑、伊勢。
全長は金剛が一番長いですが、艦橋の高さは扶桑が一番高いです。
3艦とも戦艦ドレッドノートがそれまでの戦艦を時代遅れにした直後の時期に、いかにドレッドノート級を超えるかを競うように建造された戦艦でしたが、最後に活躍した時期にはすでに「戦艦」そのものが時代遅れという時代。
次は長門型だな・・・
@@@
キット難易度的には金剛ほどすんなりとは組めないけど扶桑よりは組みやすいかな・・・でも単に慣れただけかな・・・実際は扶桑と同程度かな?という感じ。エッチングパーツ込みだと難易度は跳ね上がりますが、じっくり丁寧にやれば何とかなる・・・かなあ?
日向や航空じゃない戦艦の伊勢を組みたい方はハセガワのをどうぞ。