~趣味の世界~
アオシマ1/700ウォーターラインシリーズの潜水艦伊-401です。
むかし伊400の方は組んだ事があったのですが、あまり印象に残っていません・・・
「潜水空母」というロマンあふれる艦種名につられて買ってきた記憶があります。
伊-401は伊400型潜水艦の2番艦。伊400型潜水艦は「潜特型(せんとくがた)」とも呼ばれ、開発経緯には諸説ありますが主にアメリカ本土やパナマ運河を搭載航空機によって攻撃するため、無補給でアメリカ西海岸まで往復する長い航続距離と、航空機の搭載能力が求められました。これ以前にも日本海軍は巡潜型の潜水艦が長い航続距離と航空機搭載能力をもっており、太平洋戦争においてもアメリカ西海岸の基地を砲撃したり、搭載していた零式小型水上偵察機によって爆撃を行ったりはしていましたが、アメリカ国民に「本土を砲爆撃される」という心象的効果はあったものの実際の砲爆撃による戦果は微々たるものだったため、更なる効果を期待すべく、搭載機を高性能な水上攻撃機とし、また搭載数も2機(後に3機)が要求されました。1942年に18隻の建造が計画されましたが戦局の悪化により5隻に変更され、結局3隻のみが完成しましたがすでに時は1945年に入っており、6月にようやくウルシー泊地に居る米海軍の機動部隊を攻撃する任務が与えられ、3隻のうち伊-400と伊-401が攻撃部隊に選ばれました。先行して巡潜型の伊-13と伊-14が偵察機を搭載してトラック島に輸送、伊-13が撃沈されるも伊-14が輸送に成功し、これをもって7月20日に伊-400と伊401は出航し、8月17日に攻撃作戦を行う予定だったものの8月15日に終戦となり、伊-400と合流できなかった伊-401は本土へ引き返し、8月29日に三陸沖で米潜水艦セグンドに拿捕され横須賀へ帰港した後は米軍に接収され、調査のため米本土に回航され1946年5月31日に真珠湾において実艦標的として撃沈されました。
箱下面は塗装指示。図中にもありますがウルシー泊地攻撃時は甲板をガルグレーで塗られていたようなのでかなり印象が変わるでしょう。
昔ながらの小さなサイズの箱にみっちり詰められています。
主要パーツ群。この伊401は近年リニューアルされたキットなのですが、旧キットはどんなんだったっけ・・・
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。説明書によるとX39(三連装機銃)を3個だけ使用します。
近年のアオシマらしいちょっとダレッとしているもののディテールは多め。
説明書。塗装指示など上からの全体図に書かれている艦首横に生えた動翼はパーツが付属していないのですが、格納された状態でモールドされているので慌てないように。
船体は左右分割された船体側面と、甲板、艦底パーツという構成。
接着します。船体左右の合わせ目が艦首の甲板前方に残りかなり目立つのでやる気があれば消しておくと良いでしょう。
接着したものの甲板周囲などに隙間が開くので大型艦用のバラスト(金属板)に乗せて輪ゴムでグルグル巻きにしてみました。
数時間後に合わせ目からはみ出た接着剤を削り取って塗装。ウルシー泊地攻撃時の甲板色はデッキタンの上にガルグレーを塗るとあるのですが、面倒臭かったのでガルグレーを直接塗りました。
細かいパーツを組み上げてゆきます。さして難しいところは無いのですが、艦尾甲板のアンテナの足の長さが4本バラバラで合いが悪いのと、艦尾左右のパーツがやや取り付きにくいくらいでしょうか。
搭載される特殊攻撃機・晴嵐(せいらん)。主翼をたたみフロートを外されている形と、組まれている普通の形の2つ分が付属します。普通の色の晴嵐は以前組んだので今回はウルシー泊地攻撃時に搭載していたといわれる、米軍機に艤装すべく銀色に米軍マークの付いた姿にしてみました。主翼をたたんでいる方は尾翼をたたんでいない形なので筒型の格納庫には入りません。
エナメルフラットブラウンで甲板にスミ入れし、全体をフラットブラックでウォッシングして完成。
甲板の色は参考になる作例がググっても見当たらなかったのでこれでいいのかなぁ・・・という感じ。
潜水艦のウォーターラインモデルは高さが無くて冴えない印象ですが、伊400型ほどデカければまだそれほどショボさは無いでしょうか。
各部を観察。筒状の格納庫の前方に伸びるのは四式1号10型カタパルト。全備重量が4tを超える晴嵐を射出するための特別製。晴嵐を運用する伊400型と伊13型にのみ装備されていました。2号カタパルトのように火薬式ではなく、圧縮空気を利用するタイプです。
司令塔の前面には格納庫の扉があり、その後方へやや下へ傾斜するように筒状の格納庫が内蔵されています。格納庫の上の甲板には3基の九六式25mm三連装機銃が3基、同単装機銃が1挺装備されています。
後方の甲板上には潜水艦用の40口径14cm単装砲が設置されています。
艦尾。ウォータラインモデルでは分かりにくいですが伊400型の船体は上部に大型の格納庫と司令塔を置く必要があったため安定性の確保のため2本の筒を横に並べた内殻をもつ構造となっています。
格納庫内には3機の晴嵐を並べて1列に格納します。
「潜水空母」として知られる伊400型ですが、潜水艦らしく艦首には8門の53cm魚雷発射管をもっています。
特殊攻撃機「晴嵐」はフロートを外し主翼を後方へ、水平尾翼を下へ、垂直尾翼の先端もたたんだ状態で格納庫に格納されており、出撃する際はカタパルト前で組み立てます。1機あたり数分で組み立てられるように設計されており、3機を20分以内に出撃させる事ができました。ウルシー泊地攻撃時は結局出撃させる事はなく、国際法違反となる偽装がされていた伊-401搭載の晴嵐は機密保持のため作戦中止して帰還する際に海へ投棄されました。また座乗していた潜水艦隊司令も米潜水艦による拿捕後に自決しています。
ピットロードの伊54型潜水艦・伊-58と。
巡潜型潜水艦には元々零式小型水上偵察機1機を格納する格納庫とそれを発艦させる呉式一号四型射出機が装備されていましたが、伊54型潜水艦では省略されています。
格納庫の有無のためかなり印象が異なります。
艦尾。伊-58は回天搭載のため14cm単装砲は最初から装備されていませんでした。誘導魚雷のはしりである回天をはじめ魚雷装備に特化した、現代でいう攻撃型潜水艦である伊-58と、航空機により拠点を上空から攻撃するための発進母艦といえる、現代でいう弾道ミサイル搭載の戦略型潜水艦のはしりである伊-401。
@@@
伊400型は潜水艦の中でも人気の高い艦ですが、やはり潜水艦はフルハルの方がいいなぁ・・・
アオシマからは1/700で今回のウォーターラインモデルの他にもフルハルモデルも出ているので、興味のある方は好みで選ぶと良いでしょう。
むかし伊400の方は組んだ事があったのですが、あまり印象に残っていません・・・
「潜水空母」というロマンあふれる艦種名につられて買ってきた記憶があります。
伊-401は伊400型潜水艦の2番艦。伊400型潜水艦は「潜特型(せんとくがた)」とも呼ばれ、開発経緯には諸説ありますが主にアメリカ本土やパナマ運河を搭載航空機によって攻撃するため、無補給でアメリカ西海岸まで往復する長い航続距離と、航空機の搭載能力が求められました。これ以前にも日本海軍は巡潜型の潜水艦が長い航続距離と航空機搭載能力をもっており、太平洋戦争においてもアメリカ西海岸の基地を砲撃したり、搭載していた零式小型水上偵察機によって爆撃を行ったりはしていましたが、アメリカ国民に「本土を砲爆撃される」という心象的効果はあったものの実際の砲爆撃による戦果は微々たるものだったため、更なる効果を期待すべく、搭載機を高性能な水上攻撃機とし、また搭載数も2機(後に3機)が要求されました。1942年に18隻の建造が計画されましたが戦局の悪化により5隻に変更され、結局3隻のみが完成しましたがすでに時は1945年に入っており、6月にようやくウルシー泊地に居る米海軍の機動部隊を攻撃する任務が与えられ、3隻のうち伊-400と伊-401が攻撃部隊に選ばれました。先行して巡潜型の伊-13と伊-14が偵察機を搭載してトラック島に輸送、伊-13が撃沈されるも伊-14が輸送に成功し、これをもって7月20日に伊-400と伊401は出航し、8月17日に攻撃作戦を行う予定だったものの8月15日に終戦となり、伊-400と合流できなかった伊-401は本土へ引き返し、8月29日に三陸沖で米潜水艦セグンドに拿捕され横須賀へ帰港した後は米軍に接収され、調査のため米本土に回航され1946年5月31日に真珠湾において実艦標的として撃沈されました。
箱下面は塗装指示。図中にもありますがウルシー泊地攻撃時は甲板をガルグレーで塗られていたようなのでかなり印象が変わるでしょう。
昔ながらの小さなサイズの箱にみっちり詰められています。
主要パーツ群。この伊401は近年リニューアルされたキットなのですが、旧キットはどんなんだったっけ・・・
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。説明書によるとX39(三連装機銃)を3個だけ使用します。
近年のアオシマらしいちょっとダレッとしているもののディテールは多め。
説明書。塗装指示など上からの全体図に書かれている艦首横に生えた動翼はパーツが付属していないのですが、格納された状態でモールドされているので慌てないように。
船体は左右分割された船体側面と、甲板、艦底パーツという構成。
接着します。船体左右の合わせ目が艦首の甲板前方に残りかなり目立つのでやる気があれば消しておくと良いでしょう。
接着したものの甲板周囲などに隙間が開くので大型艦用のバラスト(金属板)に乗せて輪ゴムでグルグル巻きにしてみました。
数時間後に合わせ目からはみ出た接着剤を削り取って塗装。ウルシー泊地攻撃時の甲板色はデッキタンの上にガルグレーを塗るとあるのですが、面倒臭かったのでガルグレーを直接塗りました。
細かいパーツを組み上げてゆきます。さして難しいところは無いのですが、艦尾甲板のアンテナの足の長さが4本バラバラで合いが悪いのと、艦尾左右のパーツがやや取り付きにくいくらいでしょうか。
搭載される特殊攻撃機・晴嵐(せいらん)。主翼をたたみフロートを外されている形と、組まれている普通の形の2つ分が付属します。普通の色の晴嵐は以前組んだので今回はウルシー泊地攻撃時に搭載していたといわれる、米軍機に艤装すべく銀色に米軍マークの付いた姿にしてみました。主翼をたたんでいる方は尾翼をたたんでいない形なので筒型の格納庫には入りません。
エナメルフラットブラウンで甲板にスミ入れし、全体をフラットブラックでウォッシングして完成。
甲板の色は参考になる作例がググっても見当たらなかったのでこれでいいのかなぁ・・・という感じ。
潜水艦のウォーターラインモデルは高さが無くて冴えない印象ですが、伊400型ほどデカければまだそれほどショボさは無いでしょうか。
各部を観察。筒状の格納庫の前方に伸びるのは四式1号10型カタパルト。全備重量が4tを超える晴嵐を射出するための特別製。晴嵐を運用する伊400型と伊13型にのみ装備されていました。2号カタパルトのように火薬式ではなく、圧縮空気を利用するタイプです。
司令塔の前面には格納庫の扉があり、その後方へやや下へ傾斜するように筒状の格納庫が内蔵されています。格納庫の上の甲板には3基の九六式25mm三連装機銃が3基、同単装機銃が1挺装備されています。
後方の甲板上には潜水艦用の40口径14cm単装砲が設置されています。
艦尾。ウォータラインモデルでは分かりにくいですが伊400型の船体は上部に大型の格納庫と司令塔を置く必要があったため安定性の確保のため2本の筒を横に並べた内殻をもつ構造となっています。
格納庫内には3機の晴嵐を並べて1列に格納します。
「潜水空母」として知られる伊400型ですが、潜水艦らしく艦首には8門の53cm魚雷発射管をもっています。
特殊攻撃機「晴嵐」はフロートを外し主翼を後方へ、水平尾翼を下へ、垂直尾翼の先端もたたんだ状態で格納庫に格納されており、出撃する際はカタパルト前で組み立てます。1機あたり数分で組み立てられるように設計されており、3機を20分以内に出撃させる事ができました。ウルシー泊地攻撃時は結局出撃させる事はなく、国際法違反となる偽装がされていた伊-401搭載の晴嵐は機密保持のため作戦中止して帰還する際に海へ投棄されました。また座乗していた潜水艦隊司令も米潜水艦による拿捕後に自決しています。
ピットロードの伊54型潜水艦・伊-58と。
巡潜型潜水艦には元々零式小型水上偵察機1機を格納する格納庫とそれを発艦させる呉式一号四型射出機が装備されていましたが、伊54型潜水艦では省略されています。
格納庫の有無のためかなり印象が異なります。
艦尾。伊-58は回天搭載のため14cm単装砲は最初から装備されていませんでした。誘導魚雷のはしりである回天をはじめ魚雷装備に特化した、現代でいう攻撃型潜水艦である伊-58と、航空機により拠点を上空から攻撃するための発進母艦といえる、現代でいう弾道ミサイル搭載の戦略型潜水艦のはしりである伊-401。
@@@
伊400型は潜水艦の中でも人気の高い艦ですが、やはり潜水艦はフルハルの方がいいなぁ・・・
アオシマからは1/700で今回のウォーターラインモデルの他にもフルハルモデルも出ているので、興味のある方は好みで選ぶと良いでしょう。