~趣味の世界~
ピットロード1/700スカイウェーブシリーズの潜水艦伊-56&伊-58(回天搭載型・2隻セット)です。
ピットロードのキットは駆逐艦しか組んだ事がないので横開きじゃない普通の箱は新鮮な印象。大きさ自体は駆逐艦キットの箱と同じくらい。
伊-56・伊-58は巡潜乙型改2、又は伊54型潜水艦3隻のうちの2隻です。伊54型潜水艦は巡潜乙型、伊15型(伊-19が有名です)の簡易量産型である伊40型を、更に戦時急造型として機関や電動機を低出力で軽量小型のものにし、代わりに燃料搭載量を増やして航続距離を延伸したタイプです。竣工は共に太平洋戦争末期となる1944年。竣工後まもなく改装により特攻兵器である人間魚雷・回天の搭載・発進機能を付与されました。
伊-56はフィリピン方面においてLST(戦車揚陸艦)や護衛空母を撃破したり、ヘッジホッグ(対潜迫撃砲)の不発弾を偶然に持ち帰るなどの戦果を挙げ、1944年の末に回天搭載の改装を受け訓練に従事した後、翌3月に沖縄へ出撃後米駆逐艦の攻撃を受け沈没したとされています。
伊-58は伊-56より竣工が遅かったため44年末に回天搭載の改装を受けるまで出撃は無く、回天搭載後も何度かの出撃をするものの中々戦果にありつけませんでしたが、7月にグアム方面へ出撃中、重巡洋艦インディアナポリスを回天ではなく魚雷によって撃沈する戦果を挙げました。この時インディアナポリスはテニアン島へ原子爆弾を輸送して本国へ戻る途中でした(この時輸送された原子爆弾はその後広島と長崎に投下されました)。伊-58はその後も回天を発進させる戦いをするものの戦果はなく終戦を迎え無事呉へ帰投後、米軍によって五島列島沖に沈められました。
内容はピットロードの駆逐艦キットとはかなり雰囲気が違う印象。
説明書は広告チラシのような光沢紙に片面印刷。
塗装指示はおなじみのカラー。ただ甲板の塗色は曖昧な言い回しで、作り手の判断に任せている様子。
パーツ群は一見多く見えますが、2隻分なので・・・
1隻分だとこれだけになります。少ないですが、簡単だとは誰も申しておりません。
船体上下と甲板パーツはスナップキットのように接着剤無しでも保持力がありますが、素直に接着した方が間違いがありません。ウォーターラインキットとして組む場合は船体下半分を取り付けずにおきますが、下面に代わりにかぶせるパーツなどは無いので見栄えがちょっと・・・
船体上下と甲板を接着。船体上下を接着せず気分でウォーターライン/フルハルどちらにもできるようにもできなくはないですが、ガンプラ並みの保持力があるので剥がすのが大変かも。
船体上半分を32軍艦色2、下半分を29艦底色、甲板を44タンで塗りました。潜水艦というと真っ黒のイメージがある人もいるでしょうが、日本軍のはこうです。ただ甲板色は塗装指示書にもあるように回天搭載時は黒に塗られていたとか、木甲板も海水でグレーに退色していたりとか、作り手の好みで判断して塗りましょう。
パーツを取り付けてゆきます。小さくて結構難儀します。一部パーツが成型不良で樹脂が流れきっておらず、欠けているところがありました(機銃の銃身片側とその直後の棒、艦尾左の枠など)。
回天を配置。前半の2つが前向き、後半の4つは後ろ向きになります。デカールは塗装指示書だと右側面しか書いてありませんが、左側は箱絵を参考に。
いつものようにジャーマングレーは使わず、イメージ的にやはり潜水艦は黒いもの・・・なのでエナメルフラットブラックのみでウォッシングして完成。
気持ち伊-56の方が黒が濃くなりました。伊-58はタミヤのウォーターラインキットがありますが、潜水艦はやはりフルハルで組みたいところ。
台座は船体下面の穴に対しキツキツなので少し削ってルーズにしたくらいが丁度良いです。
各部を観察。艦首の下半分には左右3門ずつ計6門の53cm魚雷発射管があります。その上には航空機のカナード翼のような動翼があり、ここら辺は水上艦とは違い水中で上下に機動する潜水艦である事をうかがわせます。とはいえこの時代の潜水艦はまだ今日の潜水艦ほどには深く潜れるものではなく、安全潜航深度100m、せいぜいが艦の全長分程度の深さまで。
艦橋、というか司令塔。上に伸びている3本は潜望鏡です。潜水艦ですが22号電探と13号電探が装備されています。
艦尾。舵の左右、スクリューの直後に水平尾翼があり、舵自体も垂直尾翼といった印象。
甲板に搭載された回天。回天は駆逐艦などに搭載された九三式61cm酸素魚雷の前に酸素タンクと操縦席を取り付けたような構造で、55km/hの速度で23kmの航続距離があります。ハッチは内側からも開けられますが55km/hで水中を航行中に外に出られるわけはなく、どのみち一度発進したら搭乗員は助からないものでした。よく「甲標的」と勘違いされますが、甲標的は短魚雷の発射能力を持つミニ潜水艦といえるもので、対して回天は誘導魚雷の誘導装置が人間であると思えばわかりやすいでしょうか。
伊54型潜水艦は元々司令塔の前に筒型の航空機格納庫をもち、専用の零式小型水上偵察機を1機搭載、前甲板にカタパルトとクレーン、40口径14cm単装砲などを装備していましたが、伊-58だけは竣工時から14cm砲をオミットされており、回天搭載の改装時には伊-56も14cm砲を撤去されています。
1945年に入り前甲板に2基の回天を搭載した際にここにあった航空艤装も撤去され、魚雷以外の兵装は司令塔にある25mm連装機銃1基のみとなっています。
特Ⅲ型駆逐艦の響(上)と神風型駆逐艦の疾風(下)と。全長108.7mと駆逐艦と同程度の全長があり、今日の攻撃型潜水艦が70~80m程度なのに対し長いですが性能的には天地ほどの差があります。これはまだ水上艦の延長線上にあった形のためで、水上航行時の速度に関してはむしろ今日の潜水艦よりも高速でした(水中では3~4倍の速度差になります)
@@@
潜水艦キットは水上艦とはやや趣が違う印象があり、興味が無い人は無いし持ちにくいかもしれません。種類もあまり多くなく、古くて作りが簡単なキットも多いため作り応えが無い・・・と感じるでしょう。今回のキットはデカールで差異はつけられるもののフジミの駆逐艦2隻セットと似て装備違いが作れないくせに全く同じものが2つ出来上がるものではありますが、1隻だけだと間違いなく物足りません。ただ出来自体は良好なので興味のある人はどうぞ。
ピットロードのキットは駆逐艦しか組んだ事がないので横開きじゃない普通の箱は新鮮な印象。大きさ自体は駆逐艦キットの箱と同じくらい。
伊-56・伊-58は巡潜乙型改2、又は伊54型潜水艦3隻のうちの2隻です。伊54型潜水艦は巡潜乙型、伊15型(伊-19が有名です)の簡易量産型である伊40型を、更に戦時急造型として機関や電動機を低出力で軽量小型のものにし、代わりに燃料搭載量を増やして航続距離を延伸したタイプです。竣工は共に太平洋戦争末期となる1944年。竣工後まもなく改装により特攻兵器である人間魚雷・回天の搭載・発進機能を付与されました。
伊-56はフィリピン方面においてLST(戦車揚陸艦)や護衛空母を撃破したり、ヘッジホッグ(対潜迫撃砲)の不発弾を偶然に持ち帰るなどの戦果を挙げ、1944年の末に回天搭載の改装を受け訓練に従事した後、翌3月に沖縄へ出撃後米駆逐艦の攻撃を受け沈没したとされています。
伊-58は伊-56より竣工が遅かったため44年末に回天搭載の改装を受けるまで出撃は無く、回天搭載後も何度かの出撃をするものの中々戦果にありつけませんでしたが、7月にグアム方面へ出撃中、重巡洋艦インディアナポリスを回天ではなく魚雷によって撃沈する戦果を挙げました。この時インディアナポリスはテニアン島へ原子爆弾を輸送して本国へ戻る途中でした(この時輸送された原子爆弾はその後広島と長崎に投下されました)。伊-58はその後も回天を発進させる戦いをするものの戦果はなく終戦を迎え無事呉へ帰投後、米軍によって五島列島沖に沈められました。
内容はピットロードの駆逐艦キットとはかなり雰囲気が違う印象。
説明書は広告チラシのような光沢紙に片面印刷。
塗装指示はおなじみのカラー。ただ甲板の塗色は曖昧な言い回しで、作り手の判断に任せている様子。
パーツ群は一見多く見えますが、2隻分なので・・・
1隻分だとこれだけになります。少ないですが、簡単だとは誰も申しておりません。
船体上下と甲板パーツはスナップキットのように接着剤無しでも保持力がありますが、素直に接着した方が間違いがありません。ウォーターラインキットとして組む場合は船体下半分を取り付けずにおきますが、下面に代わりにかぶせるパーツなどは無いので見栄えがちょっと・・・
船体上下と甲板を接着。船体上下を接着せず気分でウォーターライン/フルハルどちらにもできるようにもできなくはないですが、ガンプラ並みの保持力があるので剥がすのが大変かも。
船体上半分を32軍艦色2、下半分を29艦底色、甲板を44タンで塗りました。潜水艦というと真っ黒のイメージがある人もいるでしょうが、日本軍のはこうです。ただ甲板色は塗装指示書にもあるように回天搭載時は黒に塗られていたとか、木甲板も海水でグレーに退色していたりとか、作り手の好みで判断して塗りましょう。
パーツを取り付けてゆきます。小さくて結構難儀します。一部パーツが成型不良で樹脂が流れきっておらず、欠けているところがありました(機銃の銃身片側とその直後の棒、艦尾左の枠など)。
回天を配置。前半の2つが前向き、後半の4つは後ろ向きになります。デカールは塗装指示書だと右側面しか書いてありませんが、左側は箱絵を参考に。
いつものようにジャーマングレーは使わず、イメージ的にやはり潜水艦は黒いもの・・・なのでエナメルフラットブラックのみでウォッシングして完成。
気持ち伊-56の方が黒が濃くなりました。伊-58はタミヤのウォーターラインキットがありますが、潜水艦はやはりフルハルで組みたいところ。
台座は船体下面の穴に対しキツキツなので少し削ってルーズにしたくらいが丁度良いです。
各部を観察。艦首の下半分には左右3門ずつ計6門の53cm魚雷発射管があります。その上には航空機のカナード翼のような動翼があり、ここら辺は水上艦とは違い水中で上下に機動する潜水艦である事をうかがわせます。とはいえこの時代の潜水艦はまだ今日の潜水艦ほどには深く潜れるものではなく、安全潜航深度100m、せいぜいが艦の全長分程度の深さまで。
艦橋、というか司令塔。上に伸びている3本は潜望鏡です。潜水艦ですが22号電探と13号電探が装備されています。
艦尾。舵の左右、スクリューの直後に水平尾翼があり、舵自体も垂直尾翼といった印象。
甲板に搭載された回天。回天は駆逐艦などに搭載された九三式61cm酸素魚雷の前に酸素タンクと操縦席を取り付けたような構造で、55km/hの速度で23kmの航続距離があります。ハッチは内側からも開けられますが55km/hで水中を航行中に外に出られるわけはなく、どのみち一度発進したら搭乗員は助からないものでした。よく「甲標的」と勘違いされますが、甲標的は短魚雷の発射能力を持つミニ潜水艦といえるもので、対して回天は誘導魚雷の誘導装置が人間であると思えばわかりやすいでしょうか。
伊54型潜水艦は元々司令塔の前に筒型の航空機格納庫をもち、専用の零式小型水上偵察機を1機搭載、前甲板にカタパルトとクレーン、40口径14cm単装砲などを装備していましたが、伊-58だけは竣工時から14cm砲をオミットされており、回天搭載の改装時には伊-56も14cm砲を撤去されています。
1945年に入り前甲板に2基の回天を搭載した際にここにあった航空艤装も撤去され、魚雷以外の兵装は司令塔にある25mm連装機銃1基のみとなっています。
特Ⅲ型駆逐艦の響(上)と神風型駆逐艦の疾風(下)と。全長108.7mと駆逐艦と同程度の全長があり、今日の攻撃型潜水艦が70~80m程度なのに対し長いですが性能的には天地ほどの差があります。これはまだ水上艦の延長線上にあった形のためで、水上航行時の速度に関してはむしろ今日の潜水艦よりも高速でした(水中では3~4倍の速度差になります)
@@@
潜水艦キットは水上艦とはやや趣が違う印象があり、興味が無い人は無いし持ちにくいかもしれません。種類もあまり多くなく、古くて作りが簡単なキットも多いため作り応えが無い・・・と感じるでしょう。今回のキットはデカールで差異はつけられるもののフジミの駆逐艦2隻セットと似て装備違いが作れないくせに全く同じものが2つ出来上がるものではありますが、1隻だけだと間違いなく物足りません。ただ出来自体は良好なので興味のある人はどうぞ。