~趣味の世界~
ピットロード1/700スカイウェーブシリーズの駆逐艦夕雲です。


夕雲は夕雲型駆逐艦の1番艦。艦により性能にバラつきのあった陽炎型駆逐艦の性能を整えた改良型、完成形ともいえるのが夕雲型駆逐艦です。夕雲は太平洋戦争開戦の直前である1941年12月5日に竣工、翌年3月には続いて竣工した2番艦の巻雲と共に第10駆逐隊を編成し、ミッドウェー海戦を初陣としてガダルカナル島、ソロモン諸島、キスカ島等各地を転戦します。そして1943年10月6日、ベララベラ海戦において米駆逐艦隊と交戦中集中砲火を浴びて大破、魚雷も受けこれがとどめとなって沈没します。夕雲型駆逐艦は19隻が建造されましたが太平洋戦争における最新鋭の主力駆逐艦であったためその全てが最前線で戦い散ってゆきました。


箱下面はカラーの塗装指示。夕雲から藤波までの11艦どれにも出来ますが早波から清霜まではデカールが無いため出来ません。とはいえ戦中は記名が消されており、そもそも夕雲型は夕雲以外全て戦中の竣工なのであまり気にする必要も無いのですが。ただし竣工が後になった艦ほど機銃などが増備されているためそのあたりは別途資料が必要です。


箱に対してややちんまりした内容物。


説明書はA4サイズの1枚紙。1のBが三連装機銃と書かれていますが連装(2連装)の間違いです。キット自体はそう新しいものでもないので構成は比較的シンプル。陽炎型とほど同難易度でしょうか。


パーツは2枚のランナーとデカールのみ。ディテールはピットロードらしく良好ですが船体側面の舷窓が浅く、それ以外にモールドが無いのでちょっと物足りないか。


サッと船体を組んでしまいます。船体パーツと艦底パーツ、艦首甲板(鉄板モールドの位置のみ)が別パーツなので接着します。パーツ合わせは悪くないですがガッチリ嵌合するようなものではないので接着剤が生乾きの状態で船体をいじっていると反ったりなどクセが付きやすいので平らな台の上に置いて丸1日くらいは硬化時間を取りたいところ。


舷外電路を伸ばしランナーで追加しました。以前磯風の時に太すぎたので細めに。


舷窓もピンバイスで開け直し、リノリウム色として43ウッドブラウンを塗装。


32軍艦色2を塗装。全部筆塗りです。


陽炎型とほとんど同じなので手慣れたもの。難しいところも無くサクサク組めます。


手ごたえが足りないので伸ばしランナーで手摺りでもやってみるか、と艦橋の後ろの部分だけやってみましたがやっぱ無理!こういうところはやはり素直にエッチングパーツの厄介になるべき・・・




エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングして完成。旗はうっかり破いてしまったのでウォーターラインシリーズの紙シールで代用。



再現時期は開戦時。夕雲の場合は竣工時といってもよいでしょう。



舷外電路はお手軽な割りに効果が高いように感じます。電路のディテールにまでこだわるときりが無いですが・・・


各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔。夕雲型では新型のD型砲塔になります。D型砲塔は陽炎型のC型の仰角を55度からB型同様の75度に再び戻しており、今度は対空対応の射撃指揮装置もちゃんと備えています。ただし装填時に平射角度に戻さなければならない点はそのままであり、あまり対空射撃に向いていないのは変わりません。
陽炎型との見た目の違いとして艦橋の形状の違いがあり、陽炎型では垂直に立った構造の上部がマッシュルームのように膨らんだ形状をしていましたが、夕雲型では角錐台形で上部が膨らんでおらず、ハッキリ違う形を成しています。


艦中央部。マストを含めほぼ陽炎型と同様の構成ですが、1番煙突の左右にあるスキッドビームは真横に出ており、やや後方に傾いていた陽炎型とは異なります。


艦後半。陽炎型より艦尾が50cm延長されていますが、キットでは差異が感じられません。特型~陽炎型では大戦後半において2番砲塔を撤去して3連装機銃に換装する改装が行われましたが夕雲型では主砲が対空対応であったためかこの改装は行われませんでした。


右舷に回り艦尾周辺。艦尾の鉄板モールド部分の両舷には爆雷投下台(左右舷の脇から爆雷をただ落とすだけ・・・)、その前方にはパラベーン(機雷を処理するための掃海具)、3番砲塔の直後には爆雷装填台とY砲(九四式爆雷投射機)があります。


再び艦中央部。2番煙突の前左右には九六式25mm連装機銃が2基置かれています。竣工時の対空機銃はこれだけですが後に竣工した艦では機銃が換装・増備されていっており、連装機銃が3連装に換装、1番煙突の後ろに3連装が2基、艦橋の前に連装1基、他単装多数が追加といった定番改装がされてゆきます。


艦前方。マストには電探はまだ装備されていませんが、22号や13号の電探が追加されてゆきます。



同ピットロードのフルハルモデル不知火(陽炎型)と。キット付属のハイディテールパーツで武装の見た目が若干違いますが、甲板上はほとんど同じ構成です。


艦橋の形状を比較。


艦後半はそっくりです。


アオシマの磯風(陽炎型)と。開戦時と大戦末期の装備差がかなりあります。


ピットロードの朝潮型と。陽炎型も夕雲型も元々朝潮型の改良型のため甲板上の構成はかなり似ています。


具体的には魚雷装填装置が2番煙突の左右にあったのが1番煙突の左右に移設されたのが外観上のわかりやすい違い。2番煙突の真下には主機関があり、魚雷装填装置が被弾爆発すると主機関も巻き添えになりやすいため、陽炎型からはそこを避けて前方に移されました。



@@@



駆逐艦キットを組んでゆくとおのずと辿り着くのが夕雲型。キット自体はピットロードのキットの中では朝潮型・陽炎型と違いが少なく、そちらを組んだ後なら勝手が分かって組みやすいハズです。いきなりこれから組んでもそれほど難しいところは無いキットなので、まあ初心者の2個目以降くらい向けでしょうか?
ピットロードの他ではハセガワが夕雲型のキットを出していますが、そちらは40年以上前の設計で今の目で見るとかなり陳腐化しています。夕雲型は大戦中の竣工が大半であり、最小限の演習で次々と戦地へ赴いたためあまり派手な活躍が無く地味な存在です。そのためかキット展開もやや放置気味なのが寂しいところです。




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