~趣味の世界~
アオシマ1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦磯風1945です。


箱は昔ながらの駆逐艦サイズ。


磯風は陽炎型駆逐艦の12番艦。1940年に竣工し、第17駆逐隊に所属。同型の浦風・浜風・谷風とともに太平洋戦争を戦います。陽炎型駆逐艦は太平洋戦争においては次型の夕雲型に次いでメインストリームとなる艦型であり、第一線で幾多の激しい戦いに臨みましたがそれだけに次々と戦没してゆく中、磯風は数々の激戦を戦いぬいた猛者でした。そして1945年4月の坊ノ岬沖海戦に大和の護衛として参加、軽巡矢矧の救助中に爆撃を受け航行不能となり、駆逐艦雪風によって砲撃処分され沈没します。


箱下面は塗装指示・・・じゃねぇ!何故か色がついていません。ただ単装機銃などの配置など、一応資料として機能します。


小さな箱にみっちり入っていますが、ボリュームそのものは少な目です。




説明書はB4サイズで2つ折りを更に3つ折りにして袋に同封されています。組み立て説明はたった1.2ページ分と、非常に簡潔。


主要パーツ群。これだけだと大分少ないです。


静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。主要パーツが少ない分ここからも多く取るのですが、箱下面にもあるように単装機銃はありません。


モールドも角がダルくてやる気なさげ。


船体と艦底、船首楼の前半分の甲板が別パーツとなっています。バラストの押さえがややルーズでそのまま挟むだけだと中でカタカタ動きます。


船体がやや反り返っているので艦底パーツを接着後、真っ直ぐで固い板(大型艦用のバラストなど)を艦底に添えて輪ゴムでグルグル巻きにして1日ほど放置するなどして矯正しておく必要があります。箱が小さめでパーツがみっちり収められている場合、船体パーツなどは曲がった方へテンションが掛かっているのかもしれません。前回のフジミ特の金剛も小さ目の箱にギッチリパーツが押し込まれていたせいか船体パーツが反っていました。


そのまま素組みだとショボいので以前ピットロードの不知火を組んだ時に使いきれなかった余りパーツをこちらに活用してみる事にします。エッチングパーツは連装機銃以外全部残った状態で、プラパーツも大量に余剰があります。


船体側面にはモールドが何も無いので箱下面の図を参考に舷外電路(船体側面上方に這わせる、磁気機雷避けのための電線)を伸ばしランナーを貼って作ります。接着剤で貼りながら曲げ部分は毛抜きでグイッと曲げれば上手くできます。ただ、ちょっと伸ばしランナーが太かったかな・・・あと箱下面の図は実物写真などとは這わせてる位置が違うので、参考にするなら箱表のイラストの方が良いかも。


舷窓もピンバイスで開けてやり、リノリウム色(43ウッドブラウン)と軍艦色2を塗装。今回は全部筆塗りです。


エッチングパーツをチマチマ曲げて取り付けます。不知火の時にはこんなん無理だー!とブン投げたのですが、やってみたら案外何とかなります。そりゃフジミのエッチングパーツとかに較べたらちょっと難易度高めですが・・・


エッチングパーツの細かさと格闘しながら甲板上のパーツを配置してゆきます。1番煙突左右の魚雷格納庫は脚になる部分をカットしてエッチングパーツに置き換えます。魚雷格納庫を跨ぐ計3本スキッドビームはエッチングパーツだと見違えますね。


後部マストは機銃台を貫通して取り付けますが、機銃台の取り付け位置が曖昧なのでマストの取り付けと一緒に確認しながら場合によっては脚部分を削るなどして取り付けます。キットの元のパーツの中ではここだけちょっと面倒臭くなっています。マストに取り付ける13号電探もそのまま取り付けると傾くのでここも面倒。


ピットロードの駆逐艦キットには静模のディテールアップパーツに相当する武装パーツセット的なランナーが1枚付属しますが、これの単装機銃を利用します。ただし磯風の最終時状態にする場合14挺必要で、ランナーに付いてる単装機銃を全部使います。予備はありませんし、流用元のキットで使ってしまっている場合は足りなくなります。単装機銃の他には、2番魚雷発射管の左右舷あたりに付ける雷装用クレーンや、艦尾の爆雷投下軌条なども流用できます。




エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングをして完成。



やっぱエッチングパーツは良い・・・



舷外電路は元々モールド表現されているのは駆逐艦キットだとウチにある中ではフジミの白露型やアオシマの初春型の改装後くらい。こだわると電路を留めている金具などは大変ですが大まかになら簡単に形作れるので船体側面が寂しい時にはやってみても面白いでしょう。


各部を観察。主砲は50口径三年式12.7cm連装砲(C型砲塔)。艦橋の前には対空兵装強化時に追加された架台に載せられた九六式25mm連装機銃があり、その斜め前左右、後ろ左右に同単装機銃が配置されています。


艦中央部。2本の煙突それぞれの後方には九二式61cm4連装魚雷発射管があり、1番煙突の左右と後部マストの左に魚雷格納庫が置かれています。2番煙突の前の架台には2基の九六式25mm3連装機銃があります。


艦後方。対空兵装強化時に2番砲塔が撤去され、マストの付け根にも架台が設置されてタンデム配置で2基の25mm3連装機銃が置かれています。後部マストには13号電探が装備されています。


右舷へ。艦尾にはキットではなにも無いのが寂しいので何となく爆雷投下軌条を置いていますが、正確にはレールが2条、右側に短いもの、左に長いものが敷かれています。その前方には単装機銃が2挺、さらにその前には爆雷装填台と爆雷投射機(九四式爆雷投射機)が置かれています。


再び艦中央部。磯風の最終時では同型の雪風などと同様に甲板の舷側に防弾板が装着されているのですが、あれはエッチング手摺と一緒に付けるようなパーツで流用元の不知火には無い装備なのでパーツが無く、今回はありません。再現するなら雪風1945(フジミかアオシマ)用のエッチングパーツを利用するとよいでしょう。


艦前半部。マストの途中に台が設置され、その上に22号電探が置かれています。


ピットロードの不知火と。エッチングパーツなどの流用元です。


同じ陽炎型ですが、年代の違いにより所々違いが見られます。マスト上に電探がまだ装備されていない不知火の方はマストの形が違い、単装機銃の数がまだ少ないため艦橋の左右にまだカッターが設置されています。


中央部の比較。この辺りはあまり違いがありません。


艦後部。後部マストの電探の有無、その付け根から後方の砲塔→機銃の違い。艦尾左右のパラベーン→単装機銃・・・



@@@



近年のアオシマのキットらしく組みやすいものの、キットのみの素組みでは勇猛な磯風の雰囲気を再現しきれずあっさり過ぎて物足りませんが、値段が安いので素材的な使い方に向いているでしょう。陽炎型のキットはアオシマの他にもフジミやピットロードのものがあるので、おサイフとスキルに応じて。




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