~趣味の世界~
フジミ1/700特シリーズの戦艦金剛(1944年10月)です。
箱はそれほどでもないサイズ。特シリーズは色々と面倒臭いので踏ん切りがつかずに積んでいてもそれほど場所をとりません・・・
金剛は金剛型戦艦の1番艦。日本の発注によりイギリスのビッカースで建造された巡洋戦艦です。竣工は1913年、太平洋戦争においては最古参の艦として、30ノット以上という空母の速度についていける高速性能を生かし、これよりも後に建造されたものの低速であった他の戦艦よりも重用され各地の戦役で活躍しました。1944年10月のレイテ沖海戦、サマール島沖からフィリピン、ブルネイを経由した後に本国への帰還途上、台湾海峡にて米潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没します。
まあ特シリーズといったらコレ。山盛りのパーツ群。
説明書は3つ折りにしてB5版になるサイズ。やはり構造物を先に組んでから甲板上に配置する順序ですが、特シリーズは大抵そうして組んだ艦橋などのパーツが歪んでて甲板との合いが悪くなっていたりして、後で修正が効かない事が多いです。ただ、小パーツは少な目にされているので特シリーズの割りにはそれほど苦労しないかと思います。
パーツ全図。多いです。
甲板パーツにはモールドで細かく配置物があり、塗り分けは多少面倒です。1/350だとこれらは全部別パーツのようで、あちらの甲板パーツはスッキリしているものの組むのはシンドそうです。
甲板と艦底パーツ、透明パーツ以外は全部32軍艦色2をスプレー塗装してしまいます。特シリーズはパーツ点数も山盛りなのでこんなの一つ一つ筆塗りなんてやってられません。前回の疾風では湿度の高い中厚塗りして仕上がりが悪くなったので、今回は成型色がグレーなのもあってやや薄めに吹いています。
甲板パーツだけは44タンでスプレー塗装。
船体は甲板と船体と艦底パーツの3点。シンプルです。特シリーズで艦底パーツが赤いのも珍しいような気がします。バラストは付属しないため船体の歪みを重みでごまかせないので、艦底が平らな面にきれいに接地できるよう修正しておいた方が良いでしょう。今回は直しきれずに中央部が大分浮いてしまっています・・・
船体を接着し、甲板上の配置物を塗り分けます。面相筆でチマチマと。
木甲板に風合いを付けるためエナメルフラットブラウンで軽くウォッシング。こういう部分はお好みで。
説明書無視で甲板上に構造物を接着して建ててゆきます。こうする場合、艦橋の後面とその直後にある四角い構造物との間を左右にトラス状の足をもつ測距儀の細い通路が通るのですが、これが艦橋を先に接着すると取り付けられないためこのパーツだけは艦橋より先に取り付けなければなりません。(細い通路部分を薄く削って無理やりねじ込んで配置しました・・・)
パーツを積み重ねてゆきます。上記のパーツの取り付けだけちょっと手こずりましたが他は比較的サクサクと進みます。艦橋には上から下へ貫通する柱パーツが3本あり、しっかりと差し込まないとその柱パーツの上に乗るパーツがきちんと取りつかなくなるので、念入りに仮組みをします。
かなり形になってきました。特シリーズの大型艦によくある、そして非常に苦戦させられる細かい階段パーツがこの金剛にはほぼ無いので組んでる最中は思ったよりストレスがありません。
機銃など、細かいパーツを全て配置し終えたところ。単装機銃が大量にありますが、予備はたった1個なので失くさないように注意。細かいパーツはそれほど意地悪くなく作業性は良好な方でしょう。
艦載機は零式水上観測機が2機付属しますが、特シリーズらしく透明パーツ。パーツが細かくて材質上砕けやすく、また視認性が悪いので組むのは非常に難儀します。透明なまま組んでみましたが、小さいフロートを片方飛ばしてしまい一旦は諦めかけました・・・(コロコロで作業していた周辺をなで回してみたら発見できました)
1機は本体をランナーに付けたままの状態で組んでみました。どうせ塗色は緑1色なのでランナー上で全部塗装してから組むのが無難でしょう。
緑1色(説明書の指示は15濃緑色ですが、何となく124暗緑色で塗ってしまいました)に赤丸だけではちょっと地味なので白を先に塗ってその上にフチを残すようにして赤を塗ってみました。他は主翼前縁に58黄橙色で敵味方識別帯を、プロペラを8シルバーで。
エナメルフラットブラックを強めに、そしてジャーマングレーで全体をウォッシングして完成。
戦艦としては幅方向がスマートで重巡洋艦と戦艦の中間的な印象。いや巡洋戦艦ってそういうものか。
オーソドックスなカッコ良さがあります。巡洋艦だと最上型みたいな感じ。
各部を観察。主砲はビッカース1908年型45口径14インチ連装砲。35.6cm砲です。金剛と比叡がこの砲を、榛名・霧島以降は国産化した45口径四一式36cm連装砲を搭載します。
艦橋。竣工時は煙突と同じ高さの低い艦橋の後ろに背の高いマストが建っていましたが、改装によりマストに指揮所などの居室を取り付けてゆく「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態となっています。扶桑型では非常に不安定な形ですが、金剛型はまだ幾らか整った形状をしています。
煙突は元々3本ありましたが機関の換装により2本に減っています。船体側面には毘式50口径15cm砲(15.2mm)が左右舷合わせて8門あります。窪みや台座だけがある部分もありますが、これは竣工時には16門あった名残り。これらの副砲は主砲の援護として用いられますが、援護として使用するためこの副砲の射程距離まで敵艦に近づく傾向にあったため、副砲を廃しその分主砲を多く積む事で、主砲の最大射程=最大火力で戦えるようにした事が「弩級」で知られるドレッドノート級戦艦の革新的であった点であり、それを超えるのを目標とした「超弩級」戦艦の建造により戦艦の戦闘力が飛躍的に向上したのが、金剛型が生まれた頃の話。
3番砲塔と4番砲塔の間の甲板は航空艤装となっており、水上機3機の運用が可能となっています。その左右舷には大量の単装機銃が並んでいます。
艦尾は鋭角になりややスラントしていますが、竣工時より延長された形状です。速度性能のためには前だけでなく後ろの形状も重要なのです。
右舷側へ。単装機銃の数は左右で非対称。推定ではありますが九六式25mm機銃のようです。
1機が呉式2号カタパルト上に、もう1機が滑走車に載せられている零式水上観測機。通称「零観」です。戦艦の弾着観測を行うために開発された小型の偵察機で、危険な空域を飛ぶ必要があるため敵戦闘機に追われても逃げ切れるように、戦闘機に匹敵する運動性能が与えられています。複葉機は速度は遅いですが旋回性能が高く、機体を小型にできるメリットがあります。
艦の各部には無数の九六式25mm3連装機銃が置かれていますが、大型のものも40口径八九式12.7cm連装高角砲が6基置かれています。竣工時には53cm魚雷発射管も装備されていましたが、後に撤去されています。
電探装備は艦橋の頂上に21号、その下の左右に22号、後部マストに後ろ向きに13号の電探が装備されています。
艦橋付近を俯瞰。
艦橋~艦首を後方から。
戦艦扶桑と。金剛の方が全長がやや長いですが、どちらも竣工時より10mほど艦尾が延長されています。
扶桑の細長くガタガタな艦橋に較べると安定して見えます。
金剛は速度、扶桑は重武装を重視しているのが艦様からも伺えます。
重巡洋艦利根と。
さすがに巡洋艦と比べると「戦艦」という感じがします。
ただし凝縮感は利根も負けていません。利根は航空巡洋艦までは行かないレベルで水上機の運用に重点を置いているのが伺えます。
同じ特シリーズの蒼龍と。中型空母とはいえ戦艦と同程度の全長です。戦艦もピンキリですが。
@@@
面倒臭い事に定評のあるフジミ特シリーズにあって金剛はかなり組みやすい方だったのか、すんなりと組めてしまいました。これなら姉妹艦それぞれが微妙に違う金剛型全部作るのも頑張れるかもしれませんね!(無理・・・)
色々組んできていよいよ初戦艦だ!という人にも薦められそうなくらい好印象でした。
箱はそれほどでもないサイズ。特シリーズは色々と面倒臭いので踏ん切りがつかずに積んでいてもそれほど場所をとりません・・・
金剛は金剛型戦艦の1番艦。日本の発注によりイギリスのビッカースで建造された巡洋戦艦です。竣工は1913年、太平洋戦争においては最古参の艦として、30ノット以上という空母の速度についていける高速性能を生かし、これよりも後に建造されたものの低速であった他の戦艦よりも重用され各地の戦役で活躍しました。1944年10月のレイテ沖海戦、サマール島沖からフィリピン、ブルネイを経由した後に本国への帰還途上、台湾海峡にて米潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没します。
まあ特シリーズといったらコレ。山盛りのパーツ群。
説明書は3つ折りにしてB5版になるサイズ。やはり構造物を先に組んでから甲板上に配置する順序ですが、特シリーズは大抵そうして組んだ艦橋などのパーツが歪んでて甲板との合いが悪くなっていたりして、後で修正が効かない事が多いです。ただ、小パーツは少な目にされているので特シリーズの割りにはそれほど苦労しないかと思います。
パーツ全図。多いです。
甲板パーツにはモールドで細かく配置物があり、塗り分けは多少面倒です。1/350だとこれらは全部別パーツのようで、あちらの甲板パーツはスッキリしているものの組むのはシンドそうです。
甲板と艦底パーツ、透明パーツ以外は全部32軍艦色2をスプレー塗装してしまいます。特シリーズはパーツ点数も山盛りなのでこんなの一つ一つ筆塗りなんてやってられません。前回の疾風では湿度の高い中厚塗りして仕上がりが悪くなったので、今回は成型色がグレーなのもあってやや薄めに吹いています。
甲板パーツだけは44タンでスプレー塗装。
船体は甲板と船体と艦底パーツの3点。シンプルです。特シリーズで艦底パーツが赤いのも珍しいような気がします。バラストは付属しないため船体の歪みを重みでごまかせないので、艦底が平らな面にきれいに接地できるよう修正しておいた方が良いでしょう。今回は直しきれずに中央部が大分浮いてしまっています・・・
船体を接着し、甲板上の配置物を塗り分けます。面相筆でチマチマと。
木甲板に風合いを付けるためエナメルフラットブラウンで軽くウォッシング。こういう部分はお好みで。
説明書無視で甲板上に構造物を接着して建ててゆきます。こうする場合、艦橋の後面とその直後にある四角い構造物との間を左右にトラス状の足をもつ測距儀の細い通路が通るのですが、これが艦橋を先に接着すると取り付けられないためこのパーツだけは艦橋より先に取り付けなければなりません。(細い通路部分を薄く削って無理やりねじ込んで配置しました・・・)
パーツを積み重ねてゆきます。上記のパーツの取り付けだけちょっと手こずりましたが他は比較的サクサクと進みます。艦橋には上から下へ貫通する柱パーツが3本あり、しっかりと差し込まないとその柱パーツの上に乗るパーツがきちんと取りつかなくなるので、念入りに仮組みをします。
かなり形になってきました。特シリーズの大型艦によくある、そして非常に苦戦させられる細かい階段パーツがこの金剛にはほぼ無いので組んでる最中は思ったよりストレスがありません。
機銃など、細かいパーツを全て配置し終えたところ。単装機銃が大量にありますが、予備はたった1個なので失くさないように注意。細かいパーツはそれほど意地悪くなく作業性は良好な方でしょう。
艦載機は零式水上観測機が2機付属しますが、特シリーズらしく透明パーツ。パーツが細かくて材質上砕けやすく、また視認性が悪いので組むのは非常に難儀します。透明なまま組んでみましたが、小さいフロートを片方飛ばしてしまい一旦は諦めかけました・・・(コロコロで作業していた周辺をなで回してみたら発見できました)
1機は本体をランナーに付けたままの状態で組んでみました。どうせ塗色は緑1色なのでランナー上で全部塗装してから組むのが無難でしょう。
緑1色(説明書の指示は15濃緑色ですが、何となく124暗緑色で塗ってしまいました)に赤丸だけではちょっと地味なので白を先に塗ってその上にフチを残すようにして赤を塗ってみました。他は主翼前縁に58黄橙色で敵味方識別帯を、プロペラを8シルバーで。
エナメルフラットブラックを強めに、そしてジャーマングレーで全体をウォッシングして完成。
戦艦としては幅方向がスマートで重巡洋艦と戦艦の中間的な印象。いや巡洋戦艦ってそういうものか。
オーソドックスなカッコ良さがあります。巡洋艦だと最上型みたいな感じ。
各部を観察。主砲はビッカース1908年型45口径14インチ連装砲。35.6cm砲です。金剛と比叡がこの砲を、榛名・霧島以降は国産化した45口径四一式36cm連装砲を搭載します。
艦橋。竣工時は煙突と同じ高さの低い艦橋の後ろに背の高いマストが建っていましたが、改装によりマストに指揮所などの居室を取り付けてゆく「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態となっています。扶桑型では非常に不安定な形ですが、金剛型はまだ幾らか整った形状をしています。
煙突は元々3本ありましたが機関の換装により2本に減っています。船体側面には毘式50口径15cm砲(15.2mm)が左右舷合わせて8門あります。窪みや台座だけがある部分もありますが、これは竣工時には16門あった名残り。これらの副砲は主砲の援護として用いられますが、援護として使用するためこの副砲の射程距離まで敵艦に近づく傾向にあったため、副砲を廃しその分主砲を多く積む事で、主砲の最大射程=最大火力で戦えるようにした事が「弩級」で知られるドレッドノート級戦艦の革新的であった点であり、それを超えるのを目標とした「超弩級」戦艦の建造により戦艦の戦闘力が飛躍的に向上したのが、金剛型が生まれた頃の話。
3番砲塔と4番砲塔の間の甲板は航空艤装となっており、水上機3機の運用が可能となっています。その左右舷には大量の単装機銃が並んでいます。
艦尾は鋭角になりややスラントしていますが、竣工時より延長された形状です。速度性能のためには前だけでなく後ろの形状も重要なのです。
右舷側へ。単装機銃の数は左右で非対称。推定ではありますが九六式25mm機銃のようです。
1機が呉式2号カタパルト上に、もう1機が滑走車に載せられている零式水上観測機。通称「零観」です。戦艦の弾着観測を行うために開発された小型の偵察機で、危険な空域を飛ぶ必要があるため敵戦闘機に追われても逃げ切れるように、戦闘機に匹敵する運動性能が与えられています。複葉機は速度は遅いですが旋回性能が高く、機体を小型にできるメリットがあります。
艦の各部には無数の九六式25mm3連装機銃が置かれていますが、大型のものも40口径八九式12.7cm連装高角砲が6基置かれています。竣工時には53cm魚雷発射管も装備されていましたが、後に撤去されています。
電探装備は艦橋の頂上に21号、その下の左右に22号、後部マストに後ろ向きに13号の電探が装備されています。
艦橋付近を俯瞰。
艦橋~艦首を後方から。
戦艦扶桑と。金剛の方が全長がやや長いですが、どちらも竣工時より10mほど艦尾が延長されています。
扶桑の細長くガタガタな艦橋に較べると安定して見えます。
金剛は速度、扶桑は重武装を重視しているのが艦様からも伺えます。
重巡洋艦利根と。
さすがに巡洋艦と比べると「戦艦」という感じがします。
ただし凝縮感は利根も負けていません。利根は航空巡洋艦までは行かないレベルで水上機の運用に重点を置いているのが伺えます。
同じ特シリーズの蒼龍と。中型空母とはいえ戦艦と同程度の全長です。戦艦もピンキリですが。
@@@
面倒臭い事に定評のあるフジミ特シリーズにあって金剛はかなり組みやすい方だったのか、すんなりと組めてしまいました。これなら姉妹艦それぞれが微妙に違う金剛型全部作るのも頑張れるかもしれませんね!(無理・・・)
色々組んできていよいよ初戦艦だ!という人にも薦められそうなくらい好印象でした。