~趣味の世界~
タミヤ1/700ウォーターラインシリーズの軽巡洋艦熊野です。

軽巡洋艦?軽巡洋艦です。
熊野は最上型重巡洋艦の4番艦。最上型は元々老朽化していた天龍型や球磨型軽巡洋艦の代わりとして計画され、軍縮条約の失効後を見据えて大柄な船体に新型の15.5cm砲を搭載する軽巡洋艦として竣工しました。先に竣工していた最上・三隈が第4艦隊事件により船体強度が不足しているという事でまだ建造中であった鈴谷・熊野は設計を変更され、最上・三隈とは船体構造の他機関などにも違いがあり、鈴谷・熊野は別に「改最上型」又は「鈴谷型」と分類される場合もあります。

熊野は1937年に竣工し、1939年には早くも主砲が20.3cmに換装され事実上の重巡洋艦となりますが、対外的にはこの主砲換装は伏せられており太平洋戦争開戦後も書類上では軽巡洋艦のままでした。(米軍が最上型の搭載砲が変化していた事に気付いたのは1942年のミッドウェー海戦だと言われています。)開戦後はマレー上陸作戦・バタビア沖海戦・ミッドウェー海戦などに参加後は鈴谷と共に各地を転戦し1944年10月のサマール沖海戦で米駆逐艦ジョンストンの雷撃を受け損傷後は修理しながら何とか本土帰還を目指すも、1か月の間に潜水艦の雷撃や爆撃、台風などに見舞われ最後はフィリピンはルソン島のサンタクルーズにて空母タイコンデロガ艦載機の雷撃により沈没してしまいます。


箱はサイズが大きいですが厚みが駆逐艦キットの箱程度。


箱横には熊野の要目や作例写真があります。反対側にはキットバリエーションである最上型の他の3隻が描かれています。タミヤの最上型は最上が航空巡洋艦状態、三隈(最上型)と鈴谷(改最上型)が重巡状態、そしてこの熊野が軽巡状態とそれぞれに違いがあります。


実質的な前型である妙高型や高雄型と同等のサイズの艦なのでボリュームはそれなりにありますが、フジミの特シリーズなどのように細分化せず、比較的組みやすいようにパーツ数を抑えたキットとなっています。


説明書は縦に長い1枚ですが折れば作業の邪魔にならないようにコンパクトにできます。読みやすいように折る位置を調整してやる必要はありますが・・・


裏面。組む順序は船体→各艤装→船体へ艤装を配置の順で、クセの無い組み順。


主要パーツ群。上写真の他にバラストと静模のディテールアップパーツが付属します。旗はデカールでも紙シールでも無い薄い紙で、ちょっと見慣れないタイプ。奥に立て掛けられているパーツがおそらく熊野独自のパーツなのでしょう、3連装砲塔が1パーツでまとめられているのに驚きます。


ディテールはタミヤらしいシャープなハイディテール。タミヤの最上型は2000年代に入ってからリニューアルされたもので比較的新しいキットですが、90年代前半頃に組んだ最上(旧キット?)もかなり満足な出来だったように記憶しています。


ランナーに2003 TAMIYAの文字。


静模の大型艦用ディテールアップパーツが付属しますが、説明書は省かれています。年代が新しいせいかここにも必須パーツが含まれます。



早速組み始めます。船体側面は左右分割ですがハセガワのように継ぎ目を横へ回らせたりはしていません。バラストは前後をプラパーツに差し込み、それを艦底パーツに接着するようになっています。構造上バラストがカタカタする事はありません。


魚雷発射管が載る台は一部反り返っていたので折らないように手曲げで修正してやる必要がありました。甲板パーツは先にポリキャップを仕込んでおきます。アオシマ高雄と違いポリキャップのはめ込み位置に無駄な空間が無いので砲塔を挿しておく必要はありません。あちら同様、ポリキャップは自動車キットのものと同じもので、非常に見慣れたパーツ。必要個数の倍ほど入っているので残りは何かに流用すると良いでしょう。


甲板パーツ前後を接着。船体側面左右パーツ同士を支え合う梁が無いので開く傾向にあり、甲板パーツを接着する時は側面から押さえながら。甲板との艦首の合わせ面も側面にあり凝っていますが後処理を要します。


甲板中央部は中にある魚雷発射管周辺を塗装してからになります。覗き込んでも見えないような位置に予備の魚雷がモールドされていたり、キッチリと隔壁があったりと凝っています。


仮組みしてみると3・4番砲塔の台座の後ろの隙間に筆が入りそうにないのでリノリウム色として43ウッドブラウンを塗り、砲塔台座と甲板中央部パーツの砲塔台座と対面になる位置を軍艦色2で先に塗装しておきます。


甲板中央部を接着。船体左右を抑えるようにテープを貼って乾燥待ち。


軍艦色2と艦底色を塗ります。


艤装を組み立てて配置してゆきます。難しいところは特に無いのですが煙突はグリルが抜けていて中が見えるので煙突内側もつや消し黒で塗っておくと良いでしょう。砲塔は1パーツなので塗装するだけ。20.3cm砲だと最上型は2番砲塔が干渉のため俯角をつけなければならないのですが、他の最上型はどうなのでしょう?


どんどん組みあがってゆきます。マストなども合わせが良く、細いのにしっかりと組めます。カタパルトは保持力がそこそこあるので差し込むだけでOK。


キットの砲塔と同じランナーには零式三座水上偵察機と零式水上観測機がありますが、この熊野は時代が1937~39なので静模のディテールアップパーツから九四式水上偵察機と九五式水上偵察機を使用します。塗色も戦中の緑/明灰緑色ではなく戦間期の銀/赤。小スケールキットではあまり銀色は使いたくないところなのですが、Mr.カラーの8シルバーなら粒子が細かくてギラギラせず雰囲気を損なわずに済むでしょうか。ガイアカラーの009ブライトシルバーでも可。


旗は切り抜いて左右を接着し、マストに瞬着を塗ってそこへ旗の端を当てて接着。紙シール旗の粘着が無く紙が薄くなったものと思えば良いでしょうか。旗はこの方式が一番好きかな・・・




エナメルジャーマングレーでウォッシングして完成。



甲板上の配置物が少な目でちょっと物足りないかな?でも時代が古い艦は大抵スカスカ気味だしこんなもんかな・・・



目線を下して観察。艦様は奇異な所がなくオーソドックス。



各部を観察。特徴でもある主砲は新開発の60口径三年式15.5cm砲を三連装にし砲塔に収めています。妙高型以降の重巡洋艦では20.3cm砲の配置を詰めるために2番砲塔を高い位置にしていますが最上型では搭載砲の全長が短く1・2番を並べても間隔が広がらないため3番砲塔を高い位置にしています。この配置だと俯角をつければ正面方向へ砲を9門向ける事ができますが、次型の利根型では20.3cm砲搭載前提のため再び2番を高い位置に戻しています。この15.5cm砲は性能的には好評だったため20.3cm砲へ換装するのを惜しまれたとも言われます。最上型から降ろされた15.5cm砲は改良型の3連装砲塔へ砲身のみ再利用され、軽巡洋艦大淀の主砲・大和型戦艦の副砲として搭載されました。


巨大な艦橋を持つ高雄型の次型としてはコンパクトな艦橋。これは元々船体は重巡クラスなれど艦種はあくまで軽巡であったからでしょうか。
煙突は最上・三隈とは機関が違う(大型缶10+小型缶2→大型缶10のみ)ため鈴谷・熊野では煙突が細くなっていますが、イマイチ見分けにくいので艦橋の前の吸気ダクトの有無の方が見分けやすいでしょう(最上・三隈には艦橋の前に吹雪型駆逐艦の吸気口のようなダクトがあります。)


後部マストの後ろの甲板にはフライングデッキがあり、その両舷にカタパルトが設置されています。その甲板の下には3連装魚雷発射管が4基内蔵されています。


艦尾には4・5番砲塔が高低に置かれている他はサッパリしています。


ミッドウェー海戦で三隈と衝突するなどして大破した最上は帰還後修理するついでにこの艦尾部分をフライングデッキと同じ高さにかさ上げして砲を撤去し艦後半を全てフライングデッキにする改装が施されました。大破した熊野が本土へ帰還出来ていた場合同様の改装が施されたかも?と妄想を巡らせるところですが、1944年末だし、無いだろうなあ・・・


フライングデッキ上には搭載数一杯な3機の水上機を置いています。キットでは水上機を載せる台車がパーツで用意されており、カタパルト上へ載せる際の滑走車も用意されているのでフライングデッキ上にただ置くだけとか、カタパルト上に直接接着だの無粋な配置にせずに済みます。ただし台車に載せる場合はフライングデッキ上のレールに沿わせるのが筋でしょうが、これが意外と上手く置けなかったりします・・・九四水偵は大きいのでレール上にどう置いても翼がどこかに干渉しがち。


煙突の左右舷には見慣れない砲塔がありますが、これはおなじみの40口径八九式12.7cm連装高角砲に防盾を装備したもの。重巡キットのこの位置の12.7cm連装高角砲は防盾無しだったり有りだったり付け根の白い幌がなかったりとマチマチです。
機銃は時代が古いためまだ竣工時の数のままで、艦橋前に13mm連装機銃2基、煙突の後ろ左右に九六式25mm連装機銃が4基という状態。最終的には更に25mm3連装機銃8基、単装18基(推定)が増備されます。


艦橋以前を後方から。前後マストには最終的に21号・22号・13号の電探が装備されますが、この段階ではまだどれも搭載されていません。



前型である高雄と。奥側が高雄、手前が熊野。艦後半の甲板の雰囲気は似ています。


前半はあまり似ていません。


艦中央部。高角砲の位置はフライングデッキの雰囲気は似ていますが、煙突の本数やその直後の構造物などはかなり違います。魚雷発射管の位置も高雄型よりも後方にあります。


甲板上にあまり物が載っていないスカスカな艦尾は似ています。



更に、次型である利根も。手前が利根。全然違います。


艦前半。艦首の形状が高雄型と比べ鋭角になっている点は利根型も共通していますが、その後ろは砲の配置から全く違います。小型化されたままの艦橋は多少似ているかな?


艦中央部。艦橋から煙突、機銃台までは雰囲気が似ているかも。


艦後半。さすがに利根の艦尾と似ている艦型は無いでしょう。ただし最上(改装後)だけは飛行機が載ってるって点では似てきます。




更に更に前型2つ。奥から衣笠(青葉型)、足柄(妙高型)、高雄、熊野、利根。


こう並べるともう似てるとか似てないとか・・・


でも利根以外はみんなスカスカな艦尾。


@@@



タミヤの比較的新しいキットだけのことはあり組みやすくハイディテールですが、苦労が無さすぎて物足りないと感じる向きも多いかもしれません。ただしタミヤは古いものでもそうなので、むしろ新しい割にはあまり進化していない感じがしてしまいます。近年の他社の追随は激しいですが、作りやすさの点ではまだタミヤがトップだと感じます。
また上写真のように各型をコレクション的に集めるにはこれくらい楽な方が良いですが、恐ろしいのはそのバリエーション展開。各型どころか同型各艦も全て集めてしまいそうになる誘惑。これは恐ろしい事ですよ・・・

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