~趣味の世界~
ハセガワ1/700ウォーターラインシリーズの空母祥鳳です。
祥鳳は祥鳳型航空母艦に属し、姉妹艦に瑞鳳があります。軍縮条約により空母の保有数を制限されていたため回避策として平時は条約の制限を受けないタイプの艦として存在し、戦時には速やかに空母に改装するという手段を考案し、まず建造されたのが剣埼型給油艦でした。
剣埼(つるぎざき)型給油艦は1934年に剣埼と高崎が起工し、のち剣埼は潜水母艦(潜水艦に補給や乗員の慰労などを行う艦)に設計変更され、1939年に竣工しました。日本海軍の潜水母艦は当時前型である大鯨以外は小型であったため潜水艦隊には喜ばれたものの、国際情勢の悪化により早期に空母への改装が行われる事になります。折角の大型潜水母艦だった大鯨も空母龍鳳へと改装されてしまい、高崎は建造中のうちに空母瑞鳳へと改装されます。そして剣埼は空母祥鳳として1942年1月に就役し、いざ南洋へと出航します。
そして5月の珊瑚海海戦において米空母レキシントンとヨークタウンの航空隊の爆撃により沈没、太平洋戦争における最初の日本空母の喪失となってしまいました。
箱は前回の熊野と同サイズ。大きいですが厚みがありません。
箱横、祥鳳について。祥鳳を沈めたレキシントンはその翌日に翔鶴を大破に追い込みますが自らも大損害を被り雷撃処分、ヨークタウンも損傷を受け真珠湾に帰投後突貫修理を行いミッドウェー海戦へ参加するも空母飛龍の航空隊の爆撃により大破し転進、途上で潜水艦伊168によってとどめを刺されます。
こう重ねるとそこそこのボリュームに見えますが空母だけあって完成後が大きいのでパーツが大きいだけであり、どちらかといえば簡易な構成のキット。
説明書は1枚が4つ折りになっており、やや縦に大きめ。
キット自体がシンプルな構成であまり細かいパーツが無いため理解の難しいようなところはありません。ただ飛行甲板の下になる船体側の甲板に塗色が不明なところがあり、多少解釈を要する部分はあります。そういう部分は別途資料を用意するか、好き好きに塗ると良いでしょう。
主要パーツ群。パーツは細かいものが少なく、初心者向けに組みやすさ重視で作られているように感じます。バラストは付属しません。
静模の大型艦用ディテールアップパーツが1枚付属。ここにも必須パーツが含まれます。
デカール。瑞鳳と共通で半分しか使いません。
いざ組み始めますが、構成は水上戦闘艦の砲塔も艦橋も無いような感じ。
パーツ合わせも悪くなく、保持力まであるおかげで仮組みで持ち上げても崩れないしおおよその形が出来上がってしまいます。
ただ残念なのはキット自体が瑞鳳をベースに作られているのか、余計な穴が最初から開いているため説明書にもところどころ「埋めてください」と指示のある穴があります。その他、甲板の下の支持桁(飛行甲板の前後の下に立つ柱)も突起を切り取れと指示のある部分も多く、ちょっとスマートさに欠けます。穴埋めにはスピード一番な光硬化パテを使用しました。飛行甲板のモールドを埋めろという所は木甲板の凸モールドも細かく走っている所なのである程度潰れるのを覚悟する必要があるでしょう。
光硬化パテはこのチューブ1本で千円くらいとちょっとお高いですが、このように電球型蛍光灯の光を間近で当ててやれば1~2分ほどでカッチリ固まる速度がウリ。硬化しても表面にヌルッとしたものが付着しているのでふき取ってやれば、即座にサクサクと削りに入れます。
穴を埋めたら船体側はサッサと組んでしまいます。高角砲の台などのパーツもいくつか付けてしまっても可。
モールドは必要十分には付いているキットなのですが、艦橋の前の1段は何のモールドも無く真っ平でちょっと寂しい。箱絵なんかだと手すりに囲まれて色々配置されているように見えるので資料をくるなり独自判断なりで何かしら置いても良いかもしれませんね。
他の人の作例を見ると艦尾の乾舷部分には横方向に走るリノリウム押さえモールドと思しきものがあるのでここをリノリウム色に塗りました。格納庫後端の面には蜀の桟道のような通路がボンヤリとあるだけなので腕に自信のある人はエッチング手すりなどでデコレーションしてやると見栄えが良くなるかも。
飛行甲板は44タンで塗装。後でウォッシングするので多少ムラがあっても気にしない。
軍艦色2を一気に塗装。高角砲の台の下はやや筆が入りづらかったのでこの辺りは自己判断で。飛行甲板の裏側は指示がありませんが軍艦色2で全部塗ります。陰になる部分なので暗い色にするのも良し。
あらかたつけられるパーツは全部付けてしまっても良いでしょうが、飛行甲板を船体に接着するのは最後にとっておきましょうか。マストは邪魔になりやすいしウッカリ折る危険もあるので自己判断で。マストは航行時は立て、戦闘時は外側へ倒すそうです。飾る時の高さや幅などに影響するので好みでどちらかを選択します。
飛行甲板を接着すると筆が入らなくなるので船体側を一気にウォッシング。特に陰になる部分は濃いめに。
飛行甲板のデカールを貼ります。クリヤー部分がほとんど無くただ貼るだけで十分。フジミの特シリーズの空母に付くデカールのように一枚にまとまっておらず白線を一本一本貼る必要はあるものの、デカールが素直でモールドに良く馴染むのであまり苦にはなりません。良いデカールです。ただし馴染みが良い分マークソフターを付けた後でモタモタ修正しているとシワが寄りやすいので注意。
さて空母といったら艦載機を忘れてはなりませんが、このキットに付属の艦載機はちょっと懐かしい感じのブツで、脚とか。
ランナーに付いている艦載機は零式艦戦21型x5、彗星12型x3、99式艦爆11型x4、97式3号艦攻x4ですが説明書によるとこのうち零戦と97式艦攻だけ使用なのでそれらに絞ってちょっと手を加えてみることにしました。まずは端のランナーを切り取ってライターで炙り伸ばしランナーを作ります。
程よい太さにしたら切り出して削り、艦攻が腹に抱える魚雷と、輪切りにし切り詰めた脚先に車輪として取り付けました。
零戦の方は面倒臭くなったので2機だけ。増槽を腹に抱えています。尾輪は小っちゃすぎるのでそれっぽい形にしただけ。
塗装すればそれなりに見えるかな?
飛行甲板や艦載機をウォッシングして完成。
飛行甲板の先に艦首が突き出しているスタイルは龍驤が特徴的ですが、ちょっと引っ込んだ位置に艦橋があるこの形も軽空母によくあるスタイルのように思えます。このせいで艦橋からは水平方向にしか視界が無く、対空警戒が出来ないと不評だったのでほとんど同じ形をしている龍鳳では船体の横に艦橋を突き出させているとか。
目線を下して観察。この角度は空母の場合飛行甲板が見えませんが、その下にある各艦の個性を見やすい角度でもあります。ハリケーンバウ(艦首が飛行甲板と一体型となる形)だと壁しかなくてつまらないかもしれませんけど。
各部を観察。艦首は飛行甲板の先に突き出ており、これは凌波性を求めた形かと思われます。最終型の鳳翔は艦首よりも飛行甲板が前に突き出ていますが、波を飛行甲板の裏側にぶち当ててしまうせいか外洋航行に難があったと言われます。太平洋戦争までは空母の形状の最適解を探るべく色々な形が試されたためこの辺りの形状は数々のパターンがあります。戦後の空母の形を見るに艦首形状については艦首と飛行甲板の間を埋めて一体化してしまうハリケーンバウが一般的となりましたが、日本海軍の空母でハリケーンバウを採るのは装甲空母である大鳳のみです。
艦前半、1番エレベーター付近。エレベーターの左右舷には40口径八九式12.7cm連装高角砲が配置されています。マストの旗は他キットの紙シール旗を流用していますが、いつもの垂れ下がってるものではなく真っ直ぐになってる形のものは何かこう、お子様ランチのような・・・
艦後半、2番エレベーター付近。エレベーターの前方左右舷には九六式25mm3連装機銃が2基ずつ、後方左右舷には八九式12.7cm連装高角砲が置かれていますが、左舷は見慣れた剥き出しのタイプが、右舷側は防盾付きのタイプとなっています。
艦尾。乾舷(下の段の甲板)には内火艇が置かれています。
右舷側から。
同俯瞰。飛行甲板の左右に突き出している構造物は両舷着艦標識というもので、役割は・・・よくわかりません。高角砲の後ろにある上に突き出たものは煙突のようです。
艦後半2番エレベーター付近右舷側。こちら側の高角砲1基と機銃2基は防盾付きのものになっています。何故右舷側後半のものだけが?何ででしょうね。
艦前半右舷側。煙突と剥き出しタイプの連装高角砲があり、その間の壁面に吸気口とタラップが確認できます。機関は剣埼時代はディーゼル機関でしたがこれがどうにも調子が良くなくトラブル続きであったため空母改装時に陽炎型駆逐艦のものと同じ蒸気タービン機関(52000馬力)に換装しています。
艦前方をやや後方から。艦首形状同様に艦橋も試行錯誤が行われていた時期であり、大型の空母であれば多少重心が高くなっても飛行甲板上にアイランド型の艦橋を設置している例が多いですが、比較的小型の軽空母の場合は復元力に余裕が無いので飛行甲板先端直下やその後方など飛行甲板より下の位置にあるパターンがよくありました。また飛行甲板上にアイランド型艦橋を置くにしても右舷側だと煙突があるので前方に寄っていたり、煙突と一体化した巨大な艦橋を持っていたりしました。煙突を避けて左舷側に艦橋を置いたのは日本の空母赤城と飛龍のみです。
飛行甲板上の零式艦上戦闘機21型。誰でも知っている通称ゼロセンです。高い運動性により格闘戦を重視した艦上戦闘機であり、他国の戦闘機に比して非常に長い航続距離も持っていました。
飛行甲板上の九七式3号艦上攻撃機。1号と3号は中島飛行機製で後にそれぞれ十一型と十二型に改称されました。2号(六一型)は三菱製で脚が引き込みではなく固定脚となっているのが識別点。主に短魚雷を胴体下に搭載して海面スレスレを飛行し魚雷を投下、敵艦に雷撃を行う機体です。
空母龍驤と。祥鳳の飛行甲板長は龍驤の全長とほぼ同じ180m。祥鳳の全長は205mあり、これは妙高型重巡洋艦と大体同じくらい。
祥鳳がまだ剣埼として設計中はまず前型の大鯨とほぼ同型の予定だったものの友鶴事件により設計変更を行い構造を強化して起工に入り、更に建造中に第4艦隊事件の影響で設計変更を行っています。そのため工期が伸び伸びになり竣工時には軍縮条約が無効になっているとして、空母改装の準備を先にしておくべくエレベーターなどの装備をした結果給油艦としての能力が不十分となったため艦種を高速給油艦から潜水母艦へ変更したいきさつがあります。
空母鳳翔と。鳳翔は全長165m。
水上機母艦千代田と。千代田の全長は190mほどですが、空母への改装後は飛行甲板が180m、排水量も11190tと、祥鳳の11200tと同等の規模の空母となります。
@@@
それほど古くないハズですがどこか古さを感じ、簡易にまとめられ組みやすいですがもうちょっと詳細でも良かったなぁ・・・という感じでイマイチぱっとしない印象のキットです。決して悪くは無いのですが、どうもこう褒めにくいというか・・・
姿のよく似ている龍鳳はフジミの特とピットロードがしのぎを削る詳細指向のキットなので対比としてそちらも興味のある人はチェックしてみるのも良いでしょう。
祥鳳は祥鳳型航空母艦に属し、姉妹艦に瑞鳳があります。軍縮条約により空母の保有数を制限されていたため回避策として平時は条約の制限を受けないタイプの艦として存在し、戦時には速やかに空母に改装するという手段を考案し、まず建造されたのが剣埼型給油艦でした。
剣埼(つるぎざき)型給油艦は1934年に剣埼と高崎が起工し、のち剣埼は潜水母艦(潜水艦に補給や乗員の慰労などを行う艦)に設計変更され、1939年に竣工しました。日本海軍の潜水母艦は当時前型である大鯨以外は小型であったため潜水艦隊には喜ばれたものの、国際情勢の悪化により早期に空母への改装が行われる事になります。折角の大型潜水母艦だった大鯨も空母龍鳳へと改装されてしまい、高崎は建造中のうちに空母瑞鳳へと改装されます。そして剣埼は空母祥鳳として1942年1月に就役し、いざ南洋へと出航します。
そして5月の珊瑚海海戦において米空母レキシントンとヨークタウンの航空隊の爆撃により沈没、太平洋戦争における最初の日本空母の喪失となってしまいました。
箱は前回の熊野と同サイズ。大きいですが厚みがありません。
箱横、祥鳳について。祥鳳を沈めたレキシントンはその翌日に翔鶴を大破に追い込みますが自らも大損害を被り雷撃処分、ヨークタウンも損傷を受け真珠湾に帰投後突貫修理を行いミッドウェー海戦へ参加するも空母飛龍の航空隊の爆撃により大破し転進、途上で潜水艦伊168によってとどめを刺されます。
こう重ねるとそこそこのボリュームに見えますが空母だけあって完成後が大きいのでパーツが大きいだけであり、どちらかといえば簡易な構成のキット。
説明書は1枚が4つ折りになっており、やや縦に大きめ。
キット自体がシンプルな構成であまり細かいパーツが無いため理解の難しいようなところはありません。ただ飛行甲板の下になる船体側の甲板に塗色が不明なところがあり、多少解釈を要する部分はあります。そういう部分は別途資料を用意するか、好き好きに塗ると良いでしょう。
主要パーツ群。パーツは細かいものが少なく、初心者向けに組みやすさ重視で作られているように感じます。バラストは付属しません。
静模の大型艦用ディテールアップパーツが1枚付属。ここにも必須パーツが含まれます。
デカール。瑞鳳と共通で半分しか使いません。
いざ組み始めますが、構成は水上戦闘艦の砲塔も艦橋も無いような感じ。
パーツ合わせも悪くなく、保持力まであるおかげで仮組みで持ち上げても崩れないしおおよその形が出来上がってしまいます。
ただ残念なのはキット自体が瑞鳳をベースに作られているのか、余計な穴が最初から開いているため説明書にもところどころ「埋めてください」と指示のある穴があります。その他、甲板の下の支持桁(飛行甲板の前後の下に立つ柱)も突起を切り取れと指示のある部分も多く、ちょっとスマートさに欠けます。穴埋めにはスピード一番な光硬化パテを使用しました。飛行甲板のモールドを埋めろという所は木甲板の凸モールドも細かく走っている所なのである程度潰れるのを覚悟する必要があるでしょう。
光硬化パテはこのチューブ1本で千円くらいとちょっとお高いですが、このように電球型蛍光灯の光を間近で当ててやれば1~2分ほどでカッチリ固まる速度がウリ。硬化しても表面にヌルッとしたものが付着しているのでふき取ってやれば、即座にサクサクと削りに入れます。
穴を埋めたら船体側はサッサと組んでしまいます。高角砲の台などのパーツもいくつか付けてしまっても可。
モールドは必要十分には付いているキットなのですが、艦橋の前の1段は何のモールドも無く真っ平でちょっと寂しい。箱絵なんかだと手すりに囲まれて色々配置されているように見えるので資料をくるなり独自判断なりで何かしら置いても良いかもしれませんね。
他の人の作例を見ると艦尾の乾舷部分には横方向に走るリノリウム押さえモールドと思しきものがあるのでここをリノリウム色に塗りました。格納庫後端の面には蜀の桟道のような通路がボンヤリとあるだけなので腕に自信のある人はエッチング手すりなどでデコレーションしてやると見栄えが良くなるかも。
飛行甲板は44タンで塗装。後でウォッシングするので多少ムラがあっても気にしない。
軍艦色2を一気に塗装。高角砲の台の下はやや筆が入りづらかったのでこの辺りは自己判断で。飛行甲板の裏側は指示がありませんが軍艦色2で全部塗ります。陰になる部分なので暗い色にするのも良し。
あらかたつけられるパーツは全部付けてしまっても良いでしょうが、飛行甲板を船体に接着するのは最後にとっておきましょうか。マストは邪魔になりやすいしウッカリ折る危険もあるので自己判断で。マストは航行時は立て、戦闘時は外側へ倒すそうです。飾る時の高さや幅などに影響するので好みでどちらかを選択します。
飛行甲板を接着すると筆が入らなくなるので船体側を一気にウォッシング。特に陰になる部分は濃いめに。
飛行甲板のデカールを貼ります。クリヤー部分がほとんど無くただ貼るだけで十分。フジミの特シリーズの空母に付くデカールのように一枚にまとまっておらず白線を一本一本貼る必要はあるものの、デカールが素直でモールドに良く馴染むのであまり苦にはなりません。良いデカールです。ただし馴染みが良い分マークソフターを付けた後でモタモタ修正しているとシワが寄りやすいので注意。
さて空母といったら艦載機を忘れてはなりませんが、このキットに付属の艦載機はちょっと懐かしい感じのブツで、脚とか。
ランナーに付いている艦載機は零式艦戦21型x5、彗星12型x3、99式艦爆11型x4、97式3号艦攻x4ですが説明書によるとこのうち零戦と97式艦攻だけ使用なのでそれらに絞ってちょっと手を加えてみることにしました。まずは端のランナーを切り取ってライターで炙り伸ばしランナーを作ります。
程よい太さにしたら切り出して削り、艦攻が腹に抱える魚雷と、輪切りにし切り詰めた脚先に車輪として取り付けました。
零戦の方は面倒臭くなったので2機だけ。増槽を腹に抱えています。尾輪は小っちゃすぎるのでそれっぽい形にしただけ。
塗装すればそれなりに見えるかな?
飛行甲板や艦載機をウォッシングして完成。
飛行甲板の先に艦首が突き出しているスタイルは龍驤が特徴的ですが、ちょっと引っ込んだ位置に艦橋があるこの形も軽空母によくあるスタイルのように思えます。このせいで艦橋からは水平方向にしか視界が無く、対空警戒が出来ないと不評だったのでほとんど同じ形をしている龍鳳では船体の横に艦橋を突き出させているとか。
目線を下して観察。この角度は空母の場合飛行甲板が見えませんが、その下にある各艦の個性を見やすい角度でもあります。ハリケーンバウ(艦首が飛行甲板と一体型となる形)だと壁しかなくてつまらないかもしれませんけど。
各部を観察。艦首は飛行甲板の先に突き出ており、これは凌波性を求めた形かと思われます。最終型の鳳翔は艦首よりも飛行甲板が前に突き出ていますが、波を飛行甲板の裏側にぶち当ててしまうせいか外洋航行に難があったと言われます。太平洋戦争までは空母の形状の最適解を探るべく色々な形が試されたためこの辺りの形状は数々のパターンがあります。戦後の空母の形を見るに艦首形状については艦首と飛行甲板の間を埋めて一体化してしまうハリケーンバウが一般的となりましたが、日本海軍の空母でハリケーンバウを採るのは装甲空母である大鳳のみです。
艦前半、1番エレベーター付近。エレベーターの左右舷には40口径八九式12.7cm連装高角砲が配置されています。マストの旗は他キットの紙シール旗を流用していますが、いつもの垂れ下がってるものではなく真っ直ぐになってる形のものは何かこう、お子様ランチのような・・・
艦後半、2番エレベーター付近。エレベーターの前方左右舷には九六式25mm3連装機銃が2基ずつ、後方左右舷には八九式12.7cm連装高角砲が置かれていますが、左舷は見慣れた剥き出しのタイプが、右舷側は防盾付きのタイプとなっています。
艦尾。乾舷(下の段の甲板)には内火艇が置かれています。
右舷側から。
同俯瞰。飛行甲板の左右に突き出している構造物は両舷着艦標識というもので、役割は・・・よくわかりません。高角砲の後ろにある上に突き出たものは煙突のようです。
艦後半2番エレベーター付近右舷側。こちら側の高角砲1基と機銃2基は防盾付きのものになっています。何故右舷側後半のものだけが?何ででしょうね。
艦前半右舷側。煙突と剥き出しタイプの連装高角砲があり、その間の壁面に吸気口とタラップが確認できます。機関は剣埼時代はディーゼル機関でしたがこれがどうにも調子が良くなくトラブル続きであったため空母改装時に陽炎型駆逐艦のものと同じ蒸気タービン機関(52000馬力)に換装しています。
艦前方をやや後方から。艦首形状同様に艦橋も試行錯誤が行われていた時期であり、大型の空母であれば多少重心が高くなっても飛行甲板上にアイランド型の艦橋を設置している例が多いですが、比較的小型の軽空母の場合は復元力に余裕が無いので飛行甲板先端直下やその後方など飛行甲板より下の位置にあるパターンがよくありました。また飛行甲板上にアイランド型艦橋を置くにしても右舷側だと煙突があるので前方に寄っていたり、煙突と一体化した巨大な艦橋を持っていたりしました。煙突を避けて左舷側に艦橋を置いたのは日本の空母赤城と飛龍のみです。
飛行甲板上の零式艦上戦闘機21型。誰でも知っている通称ゼロセンです。高い運動性により格闘戦を重視した艦上戦闘機であり、他国の戦闘機に比して非常に長い航続距離も持っていました。
飛行甲板上の九七式3号艦上攻撃機。1号と3号は中島飛行機製で後にそれぞれ十一型と十二型に改称されました。2号(六一型)は三菱製で脚が引き込みではなく固定脚となっているのが識別点。主に短魚雷を胴体下に搭載して海面スレスレを飛行し魚雷を投下、敵艦に雷撃を行う機体です。
空母龍驤と。祥鳳の飛行甲板長は龍驤の全長とほぼ同じ180m。祥鳳の全長は205mあり、これは妙高型重巡洋艦と大体同じくらい。
祥鳳がまだ剣埼として設計中はまず前型の大鯨とほぼ同型の予定だったものの友鶴事件により設計変更を行い構造を強化して起工に入り、更に建造中に第4艦隊事件の影響で設計変更を行っています。そのため工期が伸び伸びになり竣工時には軍縮条約が無効になっているとして、空母改装の準備を先にしておくべくエレベーターなどの装備をした結果給油艦としての能力が不十分となったため艦種を高速給油艦から潜水母艦へ変更したいきさつがあります。
空母鳳翔と。鳳翔は全長165m。
水上機母艦千代田と。千代田の全長は190mほどですが、空母への改装後は飛行甲板が180m、排水量も11190tと、祥鳳の11200tと同等の規模の空母となります。
@@@
それほど古くないハズですがどこか古さを感じ、簡易にまとめられ組みやすいですがもうちょっと詳細でも良かったなぁ・・・という感じでイマイチぱっとしない印象のキットです。決して悪くは無いのですが、どうもこう褒めにくいというか・・・
姿のよく似ている龍鳳はフジミの特とピットロードがしのぎを削る詳細指向のキットなので対比としてそちらも興味のある人はチェックしてみるのも良いでしょう。