~趣味の世界~
フジミ1/700特シリーズの駆逐艦涼風・海風です。


フジミ特の白露型は新しいキットなのですがどれも2隻セットになっていて、
特-55 白露・春雨 (対空兵装強化時)
特-78 村雨・夕立 (開戦時)
特-81 時雨・五月雨 (最終時)
特-59 涼風・海風 (対空兵装強化時)
特SP-15 山風・江風 (開戦時)
という風になっています。
開戦時と対空兵装強化時の違いは主に艦橋前の機銃台の有無で、対空兵装強化時と最終時の違いは12.7cm単装砲塔が機銃台に代わり、前マストに22号と13号電探の有無。海風・涼風と山風・江風は改白露型なので艦橋のパーツが違うハズ。
数を集めたい人には一見お得に見えますが、艦の側面に書かれる名前のデカールなどが付属しないので単純に同じものが2つ出来上がるだけ、というちょっと嫌らしいキット構成になっています。

白露型のキットは1970年代からあるタミヤの白露と春雨しかありませんでしたが、ここ数年内にピットロードとフジミから発売され一気に数が揃いました。1隻だけでいいという人は同型が単純にデカール違いだけになっているピットロードのものを買うのが良いでしょう。ただし夕立・春雨・五月雨の分のデカールは付属していないようです。


海風は白露型駆逐艦の7番艦、改白露型の1番艦です。白露型駆逐艦は前型の初春型が小型の船体に重武装、という構成が友鶴事件により危険であるとされ改修により甲板上の艤装の構成が見直され軽量化された後の形を踏襲しており、白露型となるにあたって魚雷発射管が4連装に変わっています。第4艦隊事件の影響により改設計をされた改白露型では艦橋の形状が変更され、後の型である朝潮型・陽炎型と同形状となりました。海風は1937年に竣工後、後に続く同型の山風、江風(かわかぜ)、涼風の竣工を待って第24駆逐隊を編成します。太平洋戦争が始まると空母や戦艦などの護衛として付き添ったり、輸送などの任務をこなしてゆきます。そして海風は1944年2月にトラック島付近にて米潜水艦ガードフィッシュの雷撃を受け沈没します。

涼風は白露型駆逐艦の10番艦、改白露型の4番艦で、軍縮条約脱退により次の朝潮からは一回り大きな船体となる朝潮型駆逐艦として建造される事となります。涼風は海風の3か月後に竣工し同型4艦と共に第24駆逐隊を編成し、海風と同様に空母や戦艦の護衛、輸送などの任務に就いていました。そして1944年1月にポナペ島付近にて米潜水艦スキップジャックの雷撃を受け沈没しました。


2艦セットなので結構なボリュームに見えます。




最近のキットらしく細かくパーツ点数も多いので説明書は長めとなりますが、塗装指示はあまり、というかかなり不親切。リノリウム色部分はモールドで大体見当がつきますが煙突の黒塗装は箱絵を参考に。


今年に入ってからコストダウンなのかバラストが省略されるようになっています。ある程度重さが無いと嫌という人には残念ですが、作業中や落下時の被害範囲などの点では軽い方が安心。軽いとちょっとした揺れで棚から落ちやすくなる、というのもありますが、艦プラはできればケースに入れて展示したいもの。


パーツ全図。機銃のランナー以外は全て2枚ずつあります。デカールは旗のみ。


1艦分だとこれだけ。といっても駆逐艦のキットでこれだけパーツ点数があるのもそうありません。


成型色のせいか一見ピットロードのキットみたいな雰囲気ですが、あちらほど繊細ではありません。機銃などはフジミ特の特徴が強いです。



船体パーツは乾舷が低く、艦底パーツは側面に出ないパーツ構成なので全体が薄く見えます。


船首楼部分の甲板は別パーツですが、若干のすり合わせを要します。パーツの合わせ面の船体側の角が立ちすぎている印象なのでカッターで角を削り落としてやると、上写真奥側くらいにはピッタリしてきます。


パーツがそこそこ多いのでスプレー塗装で手間を省き・・・と思ったら残りものの塗料では足りなかった・・・あーもうamazonでスプレー3個くらい注文してくれるわ。


その間船体側は筆塗りでやってしまいます。まずはリノリウム色として43ウッドブラウンを。


そして軍艦色2を。説明書の塗装指示では下面をココアブラウンで塗るようになっていますが、どうせ側面に回らないし置いておく分には見えない部分なので塗りません。乾舷の低さが気になってプラ板を艦底に貼り重ねてかさ上げをした場合はかさ上げをした分の側面に艦底色を塗ると良いでしょう。


スプレー塗料が届いたので早速塗装。四方八方から吹き付けてもまだ成型色の白い部分がそこかしこに見える印象で、完璧にやろうとすると塗膜が厚くなるかもしれません。ある程度までに留めて、組みながら白く残ってる部分は筆塗りでレタッチしてやればよし。


パーツ点数は多いですがフジミにしては割と組みやすい方かもしれません。ピン状のパーツを取り付ける部分には穴があるので、そういう部分がほとんど台のようになっているピットロードよりは、多少・・・(こちらにもそういう部分が台になっていて、しかもピン状パーツの接着面が丸いパーツなどが多少あります・・・)


パーツの合わせがギチギチにきつい部分が多少あり、機銃台を後部煙突にかぶせる所、またその下の次発装填装置も取り付ける時きつい感じがします。マストは前も後ろも2本を合わせる面が何も面取りされていないので仕上がりの見栄えがイマイチに感じるかも。一方でボートダビットなどは他キットよりもかなり取り付けやすく感じました。


ただ、あまりにも全く同じものが2つ出来上がるだけすぎるので名前を書いておきましょうか。罫線代わりにマスキングテープでおおよその位置決めをして面相筆フリーハンド。名前はカタカナゴシック体で右から。戦隊番号の24も艦首の左右に書きます。


艦尾は平仮名教科書体で。こうした記名は戦時には塗りつぶされていましたが、これが無いと見分けが付かねえんです・・・




ウォッシングをして完成。無難に出来過ぎていてややスペクタクルが足りない。



キット自体の出来は新しいキットなだけの事はあります。



素組でもそこそこみつしり感があります。


各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔(C型砲塔)。艦橋は改白露型の特徴である朝潮型や陽炎型と同形状のもの。艦橋の前には機銃台があり、その上には九六式25mm連装機銃が置かれています。


煙突と交互に2基置かれている魚雷発射管は白露型で初装備された九二式61cm4連装発射管。それぞれの後方には箱状の次発装填装置が置かれています。後部煙突の前には白露型ではまず毘式40mm単装機銃が2基、改白露型では保式13mm連装機銃が2基置かれていましたが、後にどちらも九六式25mm3連装機銃2基に載せ換えられています。


後部の砲塔は前方側の2番砲塔のみ単装(単装B型)となっており、その後方の3番砲塔は1番砲塔と同じく連装砲塔。その後ろには2組の爆雷投射機(Y砲)と装填台があり、艦尾には爆雷投下軌条があります。


右舷側。2番砲塔は最終的には改装で撤去され3連装機銃の台に変更されます。ピットロードの海風は対空兵装強化時とありますがここを機銃台にできるようになっており、フジミ特だと機銃台になっているのは時雨・五月雨(最終時)だけです。


改装による装備の変遷は中々難しいもので、白露型の単装砲塔が機銃台に変わったのはマリアナ沖海戦(1944年6月)の前だとは分かってもそこから前のどの時期かイマイチ調べてもよくわかりません。海風も涼風も割とそういう装備状態が中途半端な時期の艦。


前部マストには何も装備されていませんが、13号と22号電探は1943年頃から装備が始まっています。


タミヤの白露と。この白露は装備的には開戦時でしょうか?艦橋の形状の差異も同じもののメーカーの解釈違いだけのようにも見えます・・・


更にピットロードの朝潮も。確かに艦橋の形はかなり似ています。というか単装砲塔の辺り以外ほとんど同じような構成に見えます。


@@@



フジミの白露型は白露型では最新のキットですが、夕立や五月雨を作りたい人以外はあまり積極的に選ぶ理由が無いかもしれません。商品展開的にもピットロードのものが合理的でユーザー側からもうれしい反面、フジミのそれは真逆です。1個買えば白露型のどの艦どの時代にもできるのが理想ですが、そこまでいかなくてもせめて艦名デカールを付けるか、1艦ずつにしてほしいものです。キットの出来はそこそこ悪くないだけに非常に勿体ない。




360  359  358  357  356  355  354  353  352  351  350 
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
アーカイブ
プロフィール
HN:
DD
P R
カウンター
ブログ内検索