~趣味の世界~
アオシマ1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦初春1941です。


箱は駆逐艦としてはやや大きめ、高雄とかと同じサイズ。


初春は初春型駆逐艦の1番艦。ロンドン海軍軍縮会議により1500t以上の艦の保有を制限され、特型駆逐艦の建造を止められてしまった帝国海軍が1400tに留めるため小型の船体に特型と同等の武装・性能を期待して建造されたのが初春型駆逐艦です。しかしやはり無理があったのか、甲板上の構造物が大きく重く、また缶の軽量化によって甲板下は逆に軽くなっていたため竣工直前の公試試験では傾きすぎて転覆寸前となったため船体側面にバルジを取り付ける改修を施されました。しかし竣工直後には「友鶴事件」が発生、このままでは非常に危険とされ大改修が行われます。
改修によって甲板上の艤装の配置は一変し、とりあえずは安定性を確保できたものの、当初の要求性能を下回ってしまう事となります。
初春は第21駆逐隊に属し、太平洋戦争では対潜掃討や輸送護衛などの任務に就いていました。1942年にはキスカ島への途上に敵機の攻撃により大破、翌年半ばまで修理入渠します。その後も各地を走り回り、1944年11月にマニラ湾にて米空母搭載機の空襲により沈没します。


新しいキットなので駆逐艦といえどそこそこのボリュームがあります。
キットは改装後の、更に開戦時の姿を再現しています。バリエーションキットとして竣工時の姿を再現した「初春1933」があり、こちらは甲板上の構成がかなり違います。アオシマからは現在初春2種のほか、2番艦である子日(ねのひ)1933(竣工時)と4番艦の初霜1945(最終時)があります。子日は初春とほぼ同じですが、初霜1945は白露型の最終時のように単装砲塔が機銃台に変わるなどの改装がなされた姿を再現しています。




説明書はB4版を2枚折りにした1枚紙。箱に収めるためもう1回折ってあり真ん中に折りクセがついています。分かりにくいところは特に無いのですが、甲板上の構成が左右非対称なのでできれば完成状態の左舷側の図も欲しかった感じ。


主要パーツ群。デカールは初霜と共用ですが子日に付いていたものとは別で、戦隊番号がありません。


静模のディテールアップパーツ(小型艦用)が1枚付属します。カッターや錨、ボートダビットはここから使用します。



船体は船体パーツと艦底、甲板が前後。


パーツの合いは悪くありませんが、やや甲板の両舷にわずかな隙間が開くかな?無理して埋めようと船体パーツの左右から押さえると溶けた接着剤がネチョッとなりやすいので注意。


船体以外はランナーごとスプレー塗装してしまいました。


船体側はまずリノリウム色として43ウッドブラウンを。


そして残りを32軍艦色2で。


パーツの合いが良好で、サクサク組み進められます。マストもパーツ同士の面取りがされているのでストレス無く組む事ができます。ただボートダビットの取り付け位置は印も何もないのでカッターにボートダビットを取り付けてから甲板上に置き、取り付け面に接着剤を流すようにしました。説明書通りですけども。他は全くもって組みやすいです。


船体側面にはモールドが大きく凹凸しているのでデカールはマークソフターでしっかりと馴染ませます。好みで艦首左右に「21」を書き込んでも良いでしょう。


ディテールアップパーツには4種の水上機があるので何となくでこの内3種を組んでみました。左から晴嵐、強風、二式水上戦闘機。




ウォッシングをして完成。



みつしり感、というとそれほどでもありませんが、アオシマらしいやや大げさなディテールで雰囲気は良好。



リブ状のモールドが全体の側面に多く施されており、水平視点での見た目もかなり雰囲気です。


各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔。初春型には最大仰角を従来の40度から75度まで引き上げたB型砲塔が搭載されます。しかし高仰角のまま連射できるものではなく、装填の際に水平に戻す必要がある上に対空用の射撃管制装置も備えておらず、「一応上に向けて撃つ事も出来る」という程度のものであまり実用的ではありませんでした。また重量も重いため次型である白露型からは仰角を55度に戻し軽量化したC型砲塔が搭載されました。
初春の竣工時には連装砲塔の後ろには1段持ち上げて単装砲塔が置かれていましたが、改装により後部の連装砲塔の直前の位置へ移されています。艦橋も元々は城の天守閣のような仰々しい形をしていましたが軽量化のためシンプルな形状に改められています。


煙突2本の間と後ろには三連装魚雷発射管があります。竣工時は2番発射管の後ろにも1段持ち上げてもう1基装備されていましたが、改装により撤去されています。初春型からは次発装填装置が帝国海軍では初めて装備されていました。これのおかげで改装後では特型の9発に対し6発と同時発射数は減っていましたが再装填が速やかに行われるため実質的には6x2の12発を短時間のうちに斉射できるようになっていました。


改装により単装砲塔が前向きに、後方の連装砲塔と背中合わせに置かれています。単装砲塔は千鳥型水雷艇(友鶴事件で有名な友鶴もこの千鳥型水雷艇です)が改装前まで装備していたA型を改良したA型改1が搭載されています。仰角は連装砲と同じく75度。


艦尾には爆雷投下軌条が1基装備されています。その前方にはY砲(爆雷投射機)と装填台が置かれています。


後部煙突の前左右には毘式40mm単装機銃が1挺ずつ置かれています。この機銃は太平洋戦争開戦時まではこのままでしたが戦中に九六式25mm3連装機銃に換装されています。1944年の最終時には艦橋の前に連装1基、12.7cm単装砲塔を撤去して3連装を1基、その他単装機銃を10挺程度増備していたようです。


開戦時ではまだマスト上には電探はありませんが、後に前マスト上に22号、後部マスト前面に13号電探が装備されます。


ついでに組んだ水上機3種。まずは二式水上戦闘機。タミヤ白露の時にも白い機体色で組みましたが、今回は上面緑・下面白のカラーリング。零式艦上戦闘機11型をベースに水上機化した機体です。


水上攻撃機・晴嵐。伊400型潜水艦に搭載する前提で開発された、折り畳み機構を有する機体です。水冷V12エンジンを搭載するため機首は流線型をしています。バリエーション機としてフロートの代わりに車輪を装備した「南山」(晴嵐改とも)もあります。


水上戦闘機・強風。意欲的な要求性能により開発が長引きそうなのでこの機体までの繋ぎとして二式水上戦闘機が開発されていましたが、結局そちらの方が多く生産されました。強力で大型のエンジン「火星」を搭載するために機首が太くなるのを紡錘形にすることで空力改善していること、試作機では二重反転プロペラを装備していた名残りでプロペラ中央のスピナーが前後に長く、旧ソ連のジェット戦闘機のノーズコーンのような形をしている等、形状的な特徴の多い機体です。結局、制式採用された頃にはすでに活躍の場は無く、戦果もほぼ皆無だったようです。



同型艦の子日1933と。竣工時と改装後で艦様がかなり違う事がわかります。


次型である白露型の海風と。改装後の初春の甲板上の配置が白露型でも大体踏襲されており、見た目には大きく変わっていません。


奥(上)から子日1933、初春1941、白露、海風。条約型の1400t級駆逐艦の始まりから最後まで。もっとも、初春でさえ最終的には1700t程度と特型駆逐艦と同等まで重量が増えていたそうです。


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組んでる時も組みあがった後も好印象な優良キットです。初心者にも安心して薦められますが、練習用にはちょっと出来が良すぎるかも。これの後に古いものや駄キットを組むと心が折れるかもしれません・・・



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