~趣味の世界~
アオシマ1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦磯風1945です。
箱は昔ながらの駆逐艦サイズ。
磯風は陽炎型駆逐艦の12番艦。1940年に竣工し、第17駆逐隊に所属。同型の浦風・浜風・谷風とともに太平洋戦争を戦います。陽炎型駆逐艦は太平洋戦争においては次型の夕雲型に次いでメインストリームとなる艦型であり、第一線で幾多の激しい戦いに臨みましたがそれだけに次々と戦没してゆく中、磯風は数々の激戦を戦いぬいた猛者でした。そして1945年4月の坊ノ岬沖海戦に大和の護衛として参加、軽巡矢矧の救助中に爆撃を受け航行不能となり、駆逐艦雪風によって砲撃処分され沈没します。
箱下面は塗装指示・・・じゃねぇ!何故か色がついていません。ただ単装機銃などの配置など、一応資料として機能します。
小さな箱にみっちり入っていますが、ボリュームそのものは少な目です。
説明書はB4サイズで2つ折りを更に3つ折りにして袋に同封されています。組み立て説明はたった1.2ページ分と、非常に簡潔。
主要パーツ群。これだけだと大分少ないです。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。主要パーツが少ない分ここからも多く取るのですが、箱下面にもあるように単装機銃はありません。
モールドも角がダルくてやる気なさげ。
船体と艦底、船首楼の前半分の甲板が別パーツとなっています。バラストの押さえがややルーズでそのまま挟むだけだと中でカタカタ動きます。
船体がやや反り返っているので艦底パーツを接着後、真っ直ぐで固い板(大型艦用のバラストなど)を艦底に添えて輪ゴムでグルグル巻きにして1日ほど放置するなどして矯正しておく必要があります。箱が小さめでパーツがみっちり収められている場合、船体パーツなどは曲がった方へテンションが掛かっているのかもしれません。前回のフジミ特の金剛も小さ目の箱にギッチリパーツが押し込まれていたせいか船体パーツが反っていました。
そのまま素組みだとショボいので以前ピットロードの不知火を組んだ時に使いきれなかった余りパーツをこちらに活用してみる事にします。エッチングパーツは連装機銃以外全部残った状態で、プラパーツも大量に余剰があります。
船体側面にはモールドが何も無いので箱下面の図を参考に舷外電路(船体側面上方に這わせる、磁気機雷避けのための電線)を伸ばしランナーを貼って作ります。接着剤で貼りながら曲げ部分は毛抜きでグイッと曲げれば上手くできます。ただ、ちょっと伸ばしランナーが太かったかな・・・あと箱下面の図は実物写真などとは這わせてる位置が違うので、参考にするなら箱表のイラストの方が良いかも。
舷窓もピンバイスで開けてやり、リノリウム色(43ウッドブラウン)と軍艦色2を塗装。今回は全部筆塗りです。
エッチングパーツをチマチマ曲げて取り付けます。不知火の時にはこんなん無理だー!とブン投げたのですが、やってみたら案外何とかなります。そりゃフジミのエッチングパーツとかに較べたらちょっと難易度高めですが・・・
エッチングパーツの細かさと格闘しながら甲板上のパーツを配置してゆきます。1番煙突左右の魚雷格納庫は脚になる部分をカットしてエッチングパーツに置き換えます。魚雷格納庫を跨ぐ計3本スキッドビームはエッチングパーツだと見違えますね。
後部マストは機銃台を貫通して取り付けますが、機銃台の取り付け位置が曖昧なのでマストの取り付けと一緒に確認しながら場合によっては脚部分を削るなどして取り付けます。キットの元のパーツの中ではここだけちょっと面倒臭くなっています。マストに取り付ける13号電探もそのまま取り付けると傾くのでここも面倒。
ピットロードの駆逐艦キットには静模のディテールアップパーツに相当する武装パーツセット的なランナーが1枚付属しますが、これの単装機銃を利用します。ただし磯風の最終時状態にする場合14挺必要で、ランナーに付いてる単装機銃を全部使います。予備はありませんし、流用元のキットで使ってしまっている場合は足りなくなります。単装機銃の他には、2番魚雷発射管の左右舷あたりに付ける雷装用クレーンや、艦尾の爆雷投下軌条なども流用できます。
エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングをして完成。
やっぱエッチングパーツは良い・・・
舷外電路は元々モールド表現されているのは駆逐艦キットだとウチにある中ではフジミの白露型やアオシマの初春型の改装後くらい。こだわると電路を留めている金具などは大変ですが大まかになら簡単に形作れるので船体側面が寂しい時にはやってみても面白いでしょう。
各部を観察。主砲は50口径三年式12.7cm連装砲(C型砲塔)。艦橋の前には対空兵装強化時に追加された架台に載せられた九六式25mm連装機銃があり、その斜め前左右、後ろ左右に同単装機銃が配置されています。
艦中央部。2本の煙突それぞれの後方には九二式61cm4連装魚雷発射管があり、1番煙突の左右と後部マストの左に魚雷格納庫が置かれています。2番煙突の前の架台には2基の九六式25mm3連装機銃があります。
艦後方。対空兵装強化時に2番砲塔が撤去され、マストの付け根にも架台が設置されてタンデム配置で2基の25mm3連装機銃が置かれています。後部マストには13号電探が装備されています。
右舷へ。艦尾にはキットではなにも無いのが寂しいので何となく爆雷投下軌条を置いていますが、正確にはレールが2条、右側に短いもの、左に長いものが敷かれています。その前方には単装機銃が2挺、さらにその前には爆雷装填台と爆雷投射機(九四式爆雷投射機)が置かれています。
再び艦中央部。磯風の最終時では同型の雪風などと同様に甲板の舷側に防弾板が装着されているのですが、あれはエッチング手摺と一緒に付けるようなパーツで流用元の不知火には無い装備なのでパーツが無く、今回はありません。再現するなら雪風1945(フジミかアオシマ)用のエッチングパーツを利用するとよいでしょう。
艦前半部。マストの途中に台が設置され、その上に22号電探が置かれています。
ピットロードの不知火と。エッチングパーツなどの流用元です。
同じ陽炎型ですが、年代の違いにより所々違いが見られます。マスト上に電探がまだ装備されていない不知火の方はマストの形が違い、単装機銃の数がまだ少ないため艦橋の左右にまだカッターが設置されています。
中央部の比較。この辺りはあまり違いがありません。
艦後部。後部マストの電探の有無、その付け根から後方の砲塔→機銃の違い。艦尾左右のパラベーン→単装機銃・・・
@@@
近年のアオシマのキットらしく組みやすいものの、キットのみの素組みでは勇猛な磯風の雰囲気を再現しきれずあっさり過ぎて物足りませんが、値段が安いので素材的な使い方に向いているでしょう。陽炎型のキットはアオシマの他にもフジミやピットロードのものがあるので、おサイフとスキルに応じて。
箱は昔ながらの駆逐艦サイズ。
磯風は陽炎型駆逐艦の12番艦。1940年に竣工し、第17駆逐隊に所属。同型の浦風・浜風・谷風とともに太平洋戦争を戦います。陽炎型駆逐艦は太平洋戦争においては次型の夕雲型に次いでメインストリームとなる艦型であり、第一線で幾多の激しい戦いに臨みましたがそれだけに次々と戦没してゆく中、磯風は数々の激戦を戦いぬいた猛者でした。そして1945年4月の坊ノ岬沖海戦に大和の護衛として参加、軽巡矢矧の救助中に爆撃を受け航行不能となり、駆逐艦雪風によって砲撃処分され沈没します。
箱下面は塗装指示・・・じゃねぇ!何故か色がついていません。ただ単装機銃などの配置など、一応資料として機能します。
小さな箱にみっちり入っていますが、ボリュームそのものは少な目です。
説明書はB4サイズで2つ折りを更に3つ折りにして袋に同封されています。組み立て説明はたった1.2ページ分と、非常に簡潔。
主要パーツ群。これだけだと大分少ないです。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。主要パーツが少ない分ここからも多く取るのですが、箱下面にもあるように単装機銃はありません。
モールドも角がダルくてやる気なさげ。
船体と艦底、船首楼の前半分の甲板が別パーツとなっています。バラストの押さえがややルーズでそのまま挟むだけだと中でカタカタ動きます。
船体がやや反り返っているので艦底パーツを接着後、真っ直ぐで固い板(大型艦用のバラストなど)を艦底に添えて輪ゴムでグルグル巻きにして1日ほど放置するなどして矯正しておく必要があります。箱が小さめでパーツがみっちり収められている場合、船体パーツなどは曲がった方へテンションが掛かっているのかもしれません。前回のフジミ特の金剛も小さ目の箱にギッチリパーツが押し込まれていたせいか船体パーツが反っていました。
そのまま素組みだとショボいので以前ピットロードの不知火を組んだ時に使いきれなかった余りパーツをこちらに活用してみる事にします。エッチングパーツは連装機銃以外全部残った状態で、プラパーツも大量に余剰があります。
船体側面にはモールドが何も無いので箱下面の図を参考に舷外電路(船体側面上方に這わせる、磁気機雷避けのための電線)を伸ばしランナーを貼って作ります。接着剤で貼りながら曲げ部分は毛抜きでグイッと曲げれば上手くできます。ただ、ちょっと伸ばしランナーが太かったかな・・・あと箱下面の図は実物写真などとは這わせてる位置が違うので、参考にするなら箱表のイラストの方が良いかも。
舷窓もピンバイスで開けてやり、リノリウム色(43ウッドブラウン)と軍艦色2を塗装。今回は全部筆塗りです。
エッチングパーツをチマチマ曲げて取り付けます。不知火の時にはこんなん無理だー!とブン投げたのですが、やってみたら案外何とかなります。そりゃフジミのエッチングパーツとかに較べたらちょっと難易度高めですが・・・
エッチングパーツの細かさと格闘しながら甲板上のパーツを配置してゆきます。1番煙突左右の魚雷格納庫は脚になる部分をカットしてエッチングパーツに置き換えます。魚雷格納庫を跨ぐ計3本スキッドビームはエッチングパーツだと見違えますね。
後部マストは機銃台を貫通して取り付けますが、機銃台の取り付け位置が曖昧なのでマストの取り付けと一緒に確認しながら場合によっては脚部分を削るなどして取り付けます。キットの元のパーツの中ではここだけちょっと面倒臭くなっています。マストに取り付ける13号電探もそのまま取り付けると傾くのでここも面倒。
ピットロードの駆逐艦キットには静模のディテールアップパーツに相当する武装パーツセット的なランナーが1枚付属しますが、これの単装機銃を利用します。ただし磯風の最終時状態にする場合14挺必要で、ランナーに付いてる単装機銃を全部使います。予備はありませんし、流用元のキットで使ってしまっている場合は足りなくなります。単装機銃の他には、2番魚雷発射管の左右舷あたりに付ける雷装用クレーンや、艦尾の爆雷投下軌条なども流用できます。
エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングをして完成。
やっぱエッチングパーツは良い・・・
舷外電路は元々モールド表現されているのは駆逐艦キットだとウチにある中ではフジミの白露型やアオシマの初春型の改装後くらい。こだわると電路を留めている金具などは大変ですが大まかになら簡単に形作れるので船体側面が寂しい時にはやってみても面白いでしょう。
各部を観察。主砲は50口径三年式12.7cm連装砲(C型砲塔)。艦橋の前には対空兵装強化時に追加された架台に載せられた九六式25mm連装機銃があり、その斜め前左右、後ろ左右に同単装機銃が配置されています。
艦中央部。2本の煙突それぞれの後方には九二式61cm4連装魚雷発射管があり、1番煙突の左右と後部マストの左に魚雷格納庫が置かれています。2番煙突の前の架台には2基の九六式25mm3連装機銃があります。
艦後方。対空兵装強化時に2番砲塔が撤去され、マストの付け根にも架台が設置されてタンデム配置で2基の25mm3連装機銃が置かれています。後部マストには13号電探が装備されています。
右舷へ。艦尾にはキットではなにも無いのが寂しいので何となく爆雷投下軌条を置いていますが、正確にはレールが2条、右側に短いもの、左に長いものが敷かれています。その前方には単装機銃が2挺、さらにその前には爆雷装填台と爆雷投射機(九四式爆雷投射機)が置かれています。
再び艦中央部。磯風の最終時では同型の雪風などと同様に甲板の舷側に防弾板が装着されているのですが、あれはエッチング手摺と一緒に付けるようなパーツで流用元の不知火には無い装備なのでパーツが無く、今回はありません。再現するなら雪風1945(フジミかアオシマ)用のエッチングパーツを利用するとよいでしょう。
艦前半部。マストの途中に台が設置され、その上に22号電探が置かれています。
ピットロードの不知火と。エッチングパーツなどの流用元です。
同じ陽炎型ですが、年代の違いにより所々違いが見られます。マスト上に電探がまだ装備されていない不知火の方はマストの形が違い、単装機銃の数がまだ少ないため艦橋の左右にまだカッターが設置されています。
中央部の比較。この辺りはあまり違いがありません。
艦後部。後部マストの電探の有無、その付け根から後方の砲塔→機銃の違い。艦尾左右のパラベーン→単装機銃・・・
@@@
近年のアオシマのキットらしく組みやすいものの、キットのみの素組みでは勇猛な磯風の雰囲気を再現しきれずあっさり過ぎて物足りませんが、値段が安いので素材的な使い方に向いているでしょう。陽炎型のキットはアオシマの他にもフジミやピットロードのものがあるので、おサイフとスキルに応じて。
フジミ1/700特シリーズの戦艦金剛(1944年10月)です。
箱はそれほどでもないサイズ。特シリーズは色々と面倒臭いので踏ん切りがつかずに積んでいてもそれほど場所をとりません・・・
金剛は金剛型戦艦の1番艦。日本の発注によりイギリスのビッカースで建造された巡洋戦艦です。竣工は1913年、太平洋戦争においては最古参の艦として、30ノット以上という空母の速度についていける高速性能を生かし、これよりも後に建造されたものの低速であった他の戦艦よりも重用され各地の戦役で活躍しました。1944年10月のレイテ沖海戦、サマール島沖からフィリピン、ブルネイを経由した後に本国への帰還途上、台湾海峡にて米潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没します。
まあ特シリーズといったらコレ。山盛りのパーツ群。
説明書は3つ折りにしてB5版になるサイズ。やはり構造物を先に組んでから甲板上に配置する順序ですが、特シリーズは大抵そうして組んだ艦橋などのパーツが歪んでて甲板との合いが悪くなっていたりして、後で修正が効かない事が多いです。ただ、小パーツは少な目にされているので特シリーズの割りにはそれほど苦労しないかと思います。
パーツ全図。多いです。
甲板パーツにはモールドで細かく配置物があり、塗り分けは多少面倒です。1/350だとこれらは全部別パーツのようで、あちらの甲板パーツはスッキリしているものの組むのはシンドそうです。
甲板と艦底パーツ、透明パーツ以外は全部32軍艦色2をスプレー塗装してしまいます。特シリーズはパーツ点数も山盛りなのでこんなの一つ一つ筆塗りなんてやってられません。前回の疾風では湿度の高い中厚塗りして仕上がりが悪くなったので、今回は成型色がグレーなのもあってやや薄めに吹いています。
甲板パーツだけは44タンでスプレー塗装。
船体は甲板と船体と艦底パーツの3点。シンプルです。特シリーズで艦底パーツが赤いのも珍しいような気がします。バラストは付属しないため船体の歪みを重みでごまかせないので、艦底が平らな面にきれいに接地できるよう修正しておいた方が良いでしょう。今回は直しきれずに中央部が大分浮いてしまっています・・・
船体を接着し、甲板上の配置物を塗り分けます。面相筆でチマチマと。
木甲板に風合いを付けるためエナメルフラットブラウンで軽くウォッシング。こういう部分はお好みで。
説明書無視で甲板上に構造物を接着して建ててゆきます。こうする場合、艦橋の後面とその直後にある四角い構造物との間を左右にトラス状の足をもつ測距儀の細い通路が通るのですが、これが艦橋を先に接着すると取り付けられないためこのパーツだけは艦橋より先に取り付けなければなりません。(細い通路部分を薄く削って無理やりねじ込んで配置しました・・・)
パーツを積み重ねてゆきます。上記のパーツの取り付けだけちょっと手こずりましたが他は比較的サクサクと進みます。艦橋には上から下へ貫通する柱パーツが3本あり、しっかりと差し込まないとその柱パーツの上に乗るパーツがきちんと取りつかなくなるので、念入りに仮組みをします。
かなり形になってきました。特シリーズの大型艦によくある、そして非常に苦戦させられる細かい階段パーツがこの金剛にはほぼ無いので組んでる最中は思ったよりストレスがありません。
機銃など、細かいパーツを全て配置し終えたところ。単装機銃が大量にありますが、予備はたった1個なので失くさないように注意。細かいパーツはそれほど意地悪くなく作業性は良好な方でしょう。
艦載機は零式水上観測機が2機付属しますが、特シリーズらしく透明パーツ。パーツが細かくて材質上砕けやすく、また視認性が悪いので組むのは非常に難儀します。透明なまま組んでみましたが、小さいフロートを片方飛ばしてしまい一旦は諦めかけました・・・(コロコロで作業していた周辺をなで回してみたら発見できました)
1機は本体をランナーに付けたままの状態で組んでみました。どうせ塗色は緑1色なのでランナー上で全部塗装してから組むのが無難でしょう。
緑1色(説明書の指示は15濃緑色ですが、何となく124暗緑色で塗ってしまいました)に赤丸だけではちょっと地味なので白を先に塗ってその上にフチを残すようにして赤を塗ってみました。他は主翼前縁に58黄橙色で敵味方識別帯を、プロペラを8シルバーで。
エナメルフラットブラックを強めに、そしてジャーマングレーで全体をウォッシングして完成。
戦艦としては幅方向がスマートで重巡洋艦と戦艦の中間的な印象。いや巡洋戦艦ってそういうものか。
オーソドックスなカッコ良さがあります。巡洋艦だと最上型みたいな感じ。
各部を観察。主砲はビッカース1908年型45口径14インチ連装砲。35.6cm砲です。金剛と比叡がこの砲を、榛名・霧島以降は国産化した45口径四一式36cm連装砲を搭載します。
艦橋。竣工時は煙突と同じ高さの低い艦橋の後ろに背の高いマストが建っていましたが、改装によりマストに指揮所などの居室を取り付けてゆく「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態となっています。扶桑型では非常に不安定な形ですが、金剛型はまだ幾らか整った形状をしています。
煙突は元々3本ありましたが機関の換装により2本に減っています。船体側面には毘式50口径15cm砲(15.2mm)が左右舷合わせて8門あります。窪みや台座だけがある部分もありますが、これは竣工時には16門あった名残り。これらの副砲は主砲の援護として用いられますが、援護として使用するためこの副砲の射程距離まで敵艦に近づく傾向にあったため、副砲を廃しその分主砲を多く積む事で、主砲の最大射程=最大火力で戦えるようにした事が「弩級」で知られるドレッドノート級戦艦の革新的であった点であり、それを超えるのを目標とした「超弩級」戦艦の建造により戦艦の戦闘力が飛躍的に向上したのが、金剛型が生まれた頃の話。
3番砲塔と4番砲塔の間の甲板は航空艤装となっており、水上機3機の運用が可能となっています。その左右舷には大量の単装機銃が並んでいます。
艦尾は鋭角になりややスラントしていますが、竣工時より延長された形状です。速度性能のためには前だけでなく後ろの形状も重要なのです。
右舷側へ。単装機銃の数は左右で非対称。推定ではありますが九六式25mm機銃のようです。
1機が呉式2号カタパルト上に、もう1機が滑走車に載せられている零式水上観測機。通称「零観」です。戦艦の弾着観測を行うために開発された小型の偵察機で、危険な空域を飛ぶ必要があるため敵戦闘機に追われても逃げ切れるように、戦闘機に匹敵する運動性能が与えられています。複葉機は速度は遅いですが旋回性能が高く、機体を小型にできるメリットがあります。
艦の各部には無数の九六式25mm3連装機銃が置かれていますが、大型のものも40口径八九式12.7cm連装高角砲が6基置かれています。竣工時には53cm魚雷発射管も装備されていましたが、後に撤去されています。
電探装備は艦橋の頂上に21号、その下の左右に22号、後部マストに後ろ向きに13号の電探が装備されています。
艦橋付近を俯瞰。
艦橋~艦首を後方から。
戦艦扶桑と。金剛の方が全長がやや長いですが、どちらも竣工時より10mほど艦尾が延長されています。
扶桑の細長くガタガタな艦橋に較べると安定して見えます。
金剛は速度、扶桑は重武装を重視しているのが艦様からも伺えます。
重巡洋艦利根と。
さすがに巡洋艦と比べると「戦艦」という感じがします。
ただし凝縮感は利根も負けていません。利根は航空巡洋艦までは行かないレベルで水上機の運用に重点を置いているのが伺えます。
同じ特シリーズの蒼龍と。中型空母とはいえ戦艦と同程度の全長です。戦艦もピンキリですが。
@@@
面倒臭い事に定評のあるフジミ特シリーズにあって金剛はかなり組みやすい方だったのか、すんなりと組めてしまいました。これなら姉妹艦それぞれが微妙に違う金剛型全部作るのも頑張れるかもしれませんね!(無理・・・)
色々組んできていよいよ初戦艦だ!という人にも薦められそうなくらい好印象でした。
箱はそれほどでもないサイズ。特シリーズは色々と面倒臭いので踏ん切りがつかずに積んでいてもそれほど場所をとりません・・・
金剛は金剛型戦艦の1番艦。日本の発注によりイギリスのビッカースで建造された巡洋戦艦です。竣工は1913年、太平洋戦争においては最古参の艦として、30ノット以上という空母の速度についていける高速性能を生かし、これよりも後に建造されたものの低速であった他の戦艦よりも重用され各地の戦役で活躍しました。1944年10月のレイテ沖海戦、サマール島沖からフィリピン、ブルネイを経由した後に本国への帰還途上、台湾海峡にて米潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没します。
まあ特シリーズといったらコレ。山盛りのパーツ群。
説明書は3つ折りにしてB5版になるサイズ。やはり構造物を先に組んでから甲板上に配置する順序ですが、特シリーズは大抵そうして組んだ艦橋などのパーツが歪んでて甲板との合いが悪くなっていたりして、後で修正が効かない事が多いです。ただ、小パーツは少な目にされているので特シリーズの割りにはそれほど苦労しないかと思います。
パーツ全図。多いです。
甲板パーツにはモールドで細かく配置物があり、塗り分けは多少面倒です。1/350だとこれらは全部別パーツのようで、あちらの甲板パーツはスッキリしているものの組むのはシンドそうです。
甲板と艦底パーツ、透明パーツ以外は全部32軍艦色2をスプレー塗装してしまいます。特シリーズはパーツ点数も山盛りなのでこんなの一つ一つ筆塗りなんてやってられません。前回の疾風では湿度の高い中厚塗りして仕上がりが悪くなったので、今回は成型色がグレーなのもあってやや薄めに吹いています。
甲板パーツだけは44タンでスプレー塗装。
船体は甲板と船体と艦底パーツの3点。シンプルです。特シリーズで艦底パーツが赤いのも珍しいような気がします。バラストは付属しないため船体の歪みを重みでごまかせないので、艦底が平らな面にきれいに接地できるよう修正しておいた方が良いでしょう。今回は直しきれずに中央部が大分浮いてしまっています・・・
船体を接着し、甲板上の配置物を塗り分けます。面相筆でチマチマと。
木甲板に風合いを付けるためエナメルフラットブラウンで軽くウォッシング。こういう部分はお好みで。
説明書無視で甲板上に構造物を接着して建ててゆきます。こうする場合、艦橋の後面とその直後にある四角い構造物との間を左右にトラス状の足をもつ測距儀の細い通路が通るのですが、これが艦橋を先に接着すると取り付けられないためこのパーツだけは艦橋より先に取り付けなければなりません。(細い通路部分を薄く削って無理やりねじ込んで配置しました・・・)
パーツを積み重ねてゆきます。上記のパーツの取り付けだけちょっと手こずりましたが他は比較的サクサクと進みます。艦橋には上から下へ貫通する柱パーツが3本あり、しっかりと差し込まないとその柱パーツの上に乗るパーツがきちんと取りつかなくなるので、念入りに仮組みをします。
かなり形になってきました。特シリーズの大型艦によくある、そして非常に苦戦させられる細かい階段パーツがこの金剛にはほぼ無いので組んでる最中は思ったよりストレスがありません。
機銃など、細かいパーツを全て配置し終えたところ。単装機銃が大量にありますが、予備はたった1個なので失くさないように注意。細かいパーツはそれほど意地悪くなく作業性は良好な方でしょう。
艦載機は零式水上観測機が2機付属しますが、特シリーズらしく透明パーツ。パーツが細かくて材質上砕けやすく、また視認性が悪いので組むのは非常に難儀します。透明なまま組んでみましたが、小さいフロートを片方飛ばしてしまい一旦は諦めかけました・・・(コロコロで作業していた周辺をなで回してみたら発見できました)
1機は本体をランナーに付けたままの状態で組んでみました。どうせ塗色は緑1色なのでランナー上で全部塗装してから組むのが無難でしょう。
緑1色(説明書の指示は15濃緑色ですが、何となく124暗緑色で塗ってしまいました)に赤丸だけではちょっと地味なので白を先に塗ってその上にフチを残すようにして赤を塗ってみました。他は主翼前縁に58黄橙色で敵味方識別帯を、プロペラを8シルバーで。
エナメルフラットブラックを強めに、そしてジャーマングレーで全体をウォッシングして完成。
戦艦としては幅方向がスマートで重巡洋艦と戦艦の中間的な印象。いや巡洋戦艦ってそういうものか。
オーソドックスなカッコ良さがあります。巡洋艦だと最上型みたいな感じ。
各部を観察。主砲はビッカース1908年型45口径14インチ連装砲。35.6cm砲です。金剛と比叡がこの砲を、榛名・霧島以降は国産化した45口径四一式36cm連装砲を搭載します。
艦橋。竣工時は煙突と同じ高さの低い艦橋の後ろに背の高いマストが建っていましたが、改装によりマストに指揮所などの居室を取り付けてゆく「パゴダ・マスト」と呼ばれる形態となっています。扶桑型では非常に不安定な形ですが、金剛型はまだ幾らか整った形状をしています。
煙突は元々3本ありましたが機関の換装により2本に減っています。船体側面には毘式50口径15cm砲(15.2mm)が左右舷合わせて8門あります。窪みや台座だけがある部分もありますが、これは竣工時には16門あった名残り。これらの副砲は主砲の援護として用いられますが、援護として使用するためこの副砲の射程距離まで敵艦に近づく傾向にあったため、副砲を廃しその分主砲を多く積む事で、主砲の最大射程=最大火力で戦えるようにした事が「弩級」で知られるドレッドノート級戦艦の革新的であった点であり、それを超えるのを目標とした「超弩級」戦艦の建造により戦艦の戦闘力が飛躍的に向上したのが、金剛型が生まれた頃の話。
3番砲塔と4番砲塔の間の甲板は航空艤装となっており、水上機3機の運用が可能となっています。その左右舷には大量の単装機銃が並んでいます。
艦尾は鋭角になりややスラントしていますが、竣工時より延長された形状です。速度性能のためには前だけでなく後ろの形状も重要なのです。
右舷側へ。単装機銃の数は左右で非対称。推定ではありますが九六式25mm機銃のようです。
1機が呉式2号カタパルト上に、もう1機が滑走車に載せられている零式水上観測機。通称「零観」です。戦艦の弾着観測を行うために開発された小型の偵察機で、危険な空域を飛ぶ必要があるため敵戦闘機に追われても逃げ切れるように、戦闘機に匹敵する運動性能が与えられています。複葉機は速度は遅いですが旋回性能が高く、機体を小型にできるメリットがあります。
艦の各部には無数の九六式25mm3連装機銃が置かれていますが、大型のものも40口径八九式12.7cm連装高角砲が6基置かれています。竣工時には53cm魚雷発射管も装備されていましたが、後に撤去されています。
電探装備は艦橋の頂上に21号、その下の左右に22号、後部マストに後ろ向きに13号の電探が装備されています。
艦橋付近を俯瞰。
艦橋~艦首を後方から。
戦艦扶桑と。金剛の方が全長がやや長いですが、どちらも竣工時より10mほど艦尾が延長されています。
扶桑の細長くガタガタな艦橋に較べると安定して見えます。
金剛は速度、扶桑は重武装を重視しているのが艦様からも伺えます。
重巡洋艦利根と。
さすがに巡洋艦と比べると「戦艦」という感じがします。
ただし凝縮感は利根も負けていません。利根は航空巡洋艦までは行かないレベルで水上機の運用に重点を置いているのが伺えます。
同じ特シリーズの蒼龍と。中型空母とはいえ戦艦と同程度の全長です。戦艦もピンキリですが。
@@@
面倒臭い事に定評のあるフジミ特シリーズにあって金剛はかなり組みやすい方だったのか、すんなりと組めてしまいました。これなら姉妹艦それぞれが微妙に違う金剛型全部作るのも頑張れるかもしれませんね!(無理・・・)
色々組んできていよいよ初戦艦だ!という人にも薦められそうなくらい好印象でした。
ピットロード1/700スカイウェーブシリーズの駆逐艦疾風(はやて)です。
ハヤテ?四式戦闘機?
疾風は睦月型駆逐艦の前型である神風型駆逐艦の7番艦。初代島風など快速を誇った峯風型駆逐艦の改良型で、第1次世界大戦後の戦間期における主力駆逐艦として27隻の建造が計画されましたが、ワシントン海軍軍縮条約により9隻で打ち切られました。艦のディテールには同時期に建造された5500t型軽巡洋艦と通ずる点の多い艦型です。
疾風は1925年に竣工、当初は固有の名称が無く、第十三号駆逐艦と呼ばれていました。1928年に「疾風」の名が与えられ、同型の追風(おいて)・朝凪(あさなぎ)・夕凪(ゆうなぎ)と共に第29駆逐隊を編成します。
太平洋戦争の開幕戦である真珠湾攻撃と並行してウェーク島攻略が行われ、疾風もこれに参加します。しかし他の参加艦艇、戦闘艦は第6水雷戦隊の軽巡夕張、駆逐艦追風・睦月・如月・弥生・望月と、第18戦隊の軽巡天龍・龍田といった旧式艦ばかり。1941年12月8日の開戦とともに陸攻などの空爆により防衛側の戦闘機などを破壊、10日には上陸開始となりますが、波浪のため揚陸部隊の発進にもたつき、11日には上陸を一旦延期する事にして艦砲射撃に切り替え、夕張以下戦闘艦の砲撃が開始されるものの残存していた防衛側の戦闘機が襲来、ウィルクス島沖で砲撃を行っていた疾風は砲台からの射撃を受け200mもの水柱を上げて爆沈してしまいます。そう、「疾風」は太平洋戦争における最初の犠牲となった艦なのです・・・
(蛇足:疾風爆沈の1時間半ほど後には如月も戦闘機の爆撃により撃沈され、攻略部隊は撤退。ウェーク島攻略戦は失敗に終わります。21日には真珠湾帰りの空母蒼龍・飛龍、重巡6隻などの増援を受け再度ウェーク島の攻略を行いますが、こちらは結果として成功するものの上陸部隊に多くの犠牲を出し、艦載機のエースパイロットを失うなど少なくない損害を出す事となります。)
箱はいつものピットロードの駆逐艦キットらしく大きめ。
中身はややちんまりしています。
説明書。難しい所はありませんが、「各自資料を参照して・・・」というあたりに程よい厳しさがあります。ググってもあまり情報がすんなり出てきません・・・
カラーの塗装指示が付属。ただやはり別途資料を要求する傾向にあります。
主要パーツ群。立ててある方のランナーは静模のディテールアップパーツのような使い方で使用するパーツは半分程度。メインは手前の寝かせてあるランナーの方。デカールは追風・朝凪・夕凪の分も付属。
全部32軍艦色2でスプレー塗装してやりましたが・・・
梅雨の真っ最中、台風8号が迫っている中の猛烈な湿度の中でやってしまったためか所々デコボコになってしまいました。幸い酷い状態のパーツは使用しないパーツだったので事なきを得るのですが、これは教訓になりました・・・
先に全部吹き付けてしまったのでリノリウム色は後になります。面相筆でチマチマと塗りました。
甲板上に次々とパーツを配置してゆきます。難しい所もなく非常に組みやすいです。艦橋付近は立体的なので組んでいて楽しく、作業がはかどります。
デカールを貼ってから艦底色を塗ってないのに気付き、仕方なくデカールの上にマスキングテープを貼ってしまうのですが、当たり前のように名前デカールがテープにもっていかれてしまいました・・・なので「13」のデカールを代わりに貼っています。疾風は時期によって表記がまちまちで、艦首付近に13が書かれていたり、開戦時(すなわち最終時・・・)にはやはり全部消されていたり。
ウォッシングをして完成。
小さいながらモールドも詳細でカッチリしていて見栄えが良いです。
見た目の特徴の多い艦です。改峯風型と見分けるのは難しいですが・・・
主砲は45口径三年式12cm単装砲。砲重量3tの軽量な砲に後面が開いた防盾を取り付けています。
1番砲塔の直後は1段下がってウェルデッキとなっており、十年式53cm連装魚雷発射管があります。その後ろには艦橋そそり立っていますが、この配置は艦首で跳ね上げられ艦首甲板を滑って来た海水をウェルデッキで処理し、艦橋に直接当てないようにするための形。艦橋の後ろはまだ三脚を成す以前の1本マスト、煙突、2番砲塔、煙突という並び。
2番煙突の後方には連装魚雷発射管が2基並んでいます。
更にその後方には後部マストの前後に3・4番砲塔が架台に載せられて配置されています。この辺りはどことなく天龍型軽巡洋艦と似ています。
艦尾には爆雷投下軌条が2基、その直前には旧式の「K砲」である八一式爆雷投射機と装填台が2セット配置されています。
駆逐艦の多くは魚雷発射管の周辺から左舷側にはレールが敷かれていますが、これは港には左舷側を接舷させ、くの字状のクレーン(大抵レールの周辺や艦尾付近に置かれています)で魚雷を積み込み、レール上を移動して魚雷発射管や予備弾薬庫へと運び込まれます。神風型では3番魚雷発射管の左側から艦橋横のトンネルをくぐって艦橋の前をグルリと周り艦橋の右の辺りまでレールが敷かれています。
対空兵装としては完全に不足ながらも、艦橋の左右に2挺の留式7.7mm機銃が置かれています。この機銃はイギリスのルイス機関銃を国産化したもので、九二式七粍七機銃とも呼ばれます。神風型の前期型では三年式6.5mm機銃だったものから置き換えられています。
艦橋はオープントップの上に幌屋根を被せたもの。マトモな屋根が付くのは次の睦月型からになります。
次型である睦月型駆逐艦の長月と。
艦首はちょうど5500t型軽巡洋艦においてスプーン型からダブルカーブ型に変わったのと時期が重なり、神風型ではスプーン型、睦月型ではダブルカーブ型となっています。スプーン型の艦首形状は第一次大戦後の戦間期において帝国海軍が想定した「機雷戦」に対応したものとされています。機雷戦とはワイヤーで機雷を数珠つなぎにして敵艦の足止めをするもののようで、スプーン型の艦首によってこのワイヤーを乗り越えるつもりであったようです。結局はあまり効果的ではないとして機雷戦は廃れ、スプーン型艦首自体も波飛沫を上へ跳ね上げやすいため上端に返しの付いた形状であるダブルカーブ型に切り替わってゆきました。
睦月型では艦橋は丸みを帯びた洗練された形状になり、屋根もマトモなものが取り付けられました。長月では機銃の増備がされており、そのための架台が艦首の前に取り付けられてややシルエットが変化しています。
神風型では2連装の魚雷発射管が睦月型では3連装となりました。1基減っていますが同時発射数は6発を維持しています。
3番砲塔から後ろはほぼ踏襲されています。
ほぼ同じ全長の松型駆逐艦と。松型は設計がずっと新しいため艦様は大きく異なります。
@@@
ストレスなく組み立てられ、仕上がりも上々な良いキットです。睦月型より古い駆逐艦に興味が出たら組んでみると面白いでしょう。旧型の駆逐艦のキットは神風型のほかに更に前型の峯風型と、同時期の二等駆逐艦である若竹型、樅(もみ)型などがあります。
ハヤテ?四式戦闘機?
疾風は睦月型駆逐艦の前型である神風型駆逐艦の7番艦。初代島風など快速を誇った峯風型駆逐艦の改良型で、第1次世界大戦後の戦間期における主力駆逐艦として27隻の建造が計画されましたが、ワシントン海軍軍縮条約により9隻で打ち切られました。艦のディテールには同時期に建造された5500t型軽巡洋艦と通ずる点の多い艦型です。
疾風は1925年に竣工、当初は固有の名称が無く、第十三号駆逐艦と呼ばれていました。1928年に「疾風」の名が与えられ、同型の追風(おいて)・朝凪(あさなぎ)・夕凪(ゆうなぎ)と共に第29駆逐隊を編成します。
太平洋戦争の開幕戦である真珠湾攻撃と並行してウェーク島攻略が行われ、疾風もこれに参加します。しかし他の参加艦艇、戦闘艦は第6水雷戦隊の軽巡夕張、駆逐艦追風・睦月・如月・弥生・望月と、第18戦隊の軽巡天龍・龍田といった旧式艦ばかり。1941年12月8日の開戦とともに陸攻などの空爆により防衛側の戦闘機などを破壊、10日には上陸開始となりますが、波浪のため揚陸部隊の発進にもたつき、11日には上陸を一旦延期する事にして艦砲射撃に切り替え、夕張以下戦闘艦の砲撃が開始されるものの残存していた防衛側の戦闘機が襲来、ウィルクス島沖で砲撃を行っていた疾風は砲台からの射撃を受け200mもの水柱を上げて爆沈してしまいます。そう、「疾風」は太平洋戦争における最初の犠牲となった艦なのです・・・
(蛇足:疾風爆沈の1時間半ほど後には如月も戦闘機の爆撃により撃沈され、攻略部隊は撤退。ウェーク島攻略戦は失敗に終わります。21日には真珠湾帰りの空母蒼龍・飛龍、重巡6隻などの増援を受け再度ウェーク島の攻略を行いますが、こちらは結果として成功するものの上陸部隊に多くの犠牲を出し、艦載機のエースパイロットを失うなど少なくない損害を出す事となります。)
箱はいつものピットロードの駆逐艦キットらしく大きめ。
中身はややちんまりしています。
説明書。難しい所はありませんが、「各自資料を参照して・・・」というあたりに程よい厳しさがあります。ググってもあまり情報がすんなり出てきません・・・
カラーの塗装指示が付属。ただやはり別途資料を要求する傾向にあります。
主要パーツ群。立ててある方のランナーは静模のディテールアップパーツのような使い方で使用するパーツは半分程度。メインは手前の寝かせてあるランナーの方。デカールは追風・朝凪・夕凪の分も付属。
全部32軍艦色2でスプレー塗装してやりましたが・・・
梅雨の真っ最中、台風8号が迫っている中の猛烈な湿度の中でやってしまったためか所々デコボコになってしまいました。幸い酷い状態のパーツは使用しないパーツだったので事なきを得るのですが、これは教訓になりました・・・
先に全部吹き付けてしまったのでリノリウム色は後になります。面相筆でチマチマと塗りました。
甲板上に次々とパーツを配置してゆきます。難しい所もなく非常に組みやすいです。艦橋付近は立体的なので組んでいて楽しく、作業がはかどります。
デカールを貼ってから艦底色を塗ってないのに気付き、仕方なくデカールの上にマスキングテープを貼ってしまうのですが、当たり前のように名前デカールがテープにもっていかれてしまいました・・・なので「13」のデカールを代わりに貼っています。疾風は時期によって表記がまちまちで、艦首付近に13が書かれていたり、開戦時(すなわち最終時・・・)にはやはり全部消されていたり。
ウォッシングをして完成。
小さいながらモールドも詳細でカッチリしていて見栄えが良いです。
見た目の特徴の多い艦です。改峯風型と見分けるのは難しいですが・・・
主砲は45口径三年式12cm単装砲。砲重量3tの軽量な砲に後面が開いた防盾を取り付けています。
1番砲塔の直後は1段下がってウェルデッキとなっており、十年式53cm連装魚雷発射管があります。その後ろには艦橋そそり立っていますが、この配置は艦首で跳ね上げられ艦首甲板を滑って来た海水をウェルデッキで処理し、艦橋に直接当てないようにするための形。艦橋の後ろはまだ三脚を成す以前の1本マスト、煙突、2番砲塔、煙突という並び。
2番煙突の後方には連装魚雷発射管が2基並んでいます。
更にその後方には後部マストの前後に3・4番砲塔が架台に載せられて配置されています。この辺りはどことなく天龍型軽巡洋艦と似ています。
艦尾には爆雷投下軌条が2基、その直前には旧式の「K砲」である八一式爆雷投射機と装填台が2セット配置されています。
駆逐艦の多くは魚雷発射管の周辺から左舷側にはレールが敷かれていますが、これは港には左舷側を接舷させ、くの字状のクレーン(大抵レールの周辺や艦尾付近に置かれています)で魚雷を積み込み、レール上を移動して魚雷発射管や予備弾薬庫へと運び込まれます。神風型では3番魚雷発射管の左側から艦橋横のトンネルをくぐって艦橋の前をグルリと周り艦橋の右の辺りまでレールが敷かれています。
対空兵装としては完全に不足ながらも、艦橋の左右に2挺の留式7.7mm機銃が置かれています。この機銃はイギリスのルイス機関銃を国産化したもので、九二式七粍七機銃とも呼ばれます。神風型の前期型では三年式6.5mm機銃だったものから置き換えられています。
艦橋はオープントップの上に幌屋根を被せたもの。マトモな屋根が付くのは次の睦月型からになります。
次型である睦月型駆逐艦の長月と。
艦首はちょうど5500t型軽巡洋艦においてスプーン型からダブルカーブ型に変わったのと時期が重なり、神風型ではスプーン型、睦月型ではダブルカーブ型となっています。スプーン型の艦首形状は第一次大戦後の戦間期において帝国海軍が想定した「機雷戦」に対応したものとされています。機雷戦とはワイヤーで機雷を数珠つなぎにして敵艦の足止めをするもののようで、スプーン型の艦首によってこのワイヤーを乗り越えるつもりであったようです。結局はあまり効果的ではないとして機雷戦は廃れ、スプーン型艦首自体も波飛沫を上へ跳ね上げやすいため上端に返しの付いた形状であるダブルカーブ型に切り替わってゆきました。
睦月型では艦橋は丸みを帯びた洗練された形状になり、屋根もマトモなものが取り付けられました。長月では機銃の増備がされており、そのための架台が艦首の前に取り付けられてややシルエットが変化しています。
神風型では2連装の魚雷発射管が睦月型では3連装となりました。1基減っていますが同時発射数は6発を維持しています。
3番砲塔から後ろはほぼ踏襲されています。
ほぼ同じ全長の松型駆逐艦と。松型は設計がずっと新しいため艦様は大きく異なります。
@@@
ストレスなく組み立てられ、仕上がりも上々な良いキットです。睦月型より古い駆逐艦に興味が出たら組んでみると面白いでしょう。旧型の駆逐艦のキットは神風型のほかに更に前型の峯風型と、同時期の二等駆逐艦である若竹型、樅(もみ)型などがあります。
タミヤ1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦敷波です。
タミヤの特型駆逐艦は特1~3が2つずつありますが、同型で2つあるのはそれぞれが年代違いを再現しているため。具体的には開戦前と戦中の対空兵装強化時などで、
吹雪(就役時)
初雪(対空兵装強化時)
綾波(就役時)
敷波(対空兵装強化時)
暁 (就役時)
響 (最終時)
というふうになっています。
上記以外の特型駆逐艦(白雪や叢雲、雷など)にしたい場合、デカールがありませんが大戦中は船体側面の名前などは消されていたものなので、同型の戦中型を組んで「これは〇〇だ!」と言い張る手もありますが、戦前に沈んでる深雪や、ディテールが少し違う特ⅡAの朧曙漣潮はちょっと面倒臭いかもしれません。(深雪はピットロードのもので作れますが、特ⅡAは現在キットが未発売です)
敷波(敷浪ではありません)は特型駆逐艦の12番艦、綾波型の2番艦。綾波型は特Ⅰ型(吹雪型)の改良型で特Ⅱ型とも表記されます。砲塔を仰角40度のA型砲塔から75度に引き上げたB型砲塔に、機関の吸気口を換気扇のダクトを煙突の左右に置いたような形状から、煙突付け根にサルノコシカケのような形状のヒダ型に変更、魚雷発射管に砲室を取り付けるなどの見た目上の変化も多く見られます。
敷波は1929年に竣工し同型の綾波、特Ⅰ型の磯波、特Ⅰ型改の浦波と共に第19駆逐隊を編成し、太平洋戦争においては主に護衛任務に従事しました。そして1944年9月、輸送船団の護衛中に海南島(中国とベトナムの国境の沖、トンキン湾にある大きな島です)東方にて米潜水艦グロウラーの雷撃を受け沈没します。このグロウラーはかつてキスカ島にて単艦で霰(あられ)を撃沈し、霞と不知火を大破せしめ第18駆逐隊を壊滅させた潜水艦でした。
箱下面は塗装指示ですが、リノリウム色が省略されています。
キットはかなり古いもので、パーツ数は少なくシンプル。
説明書は正方形で、組み立て説明も古めかしい印象。
主要パーツ群。パーツ数は少なく古臭いですがタミヤらしくディテールはカッチリしています。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。砲塔と魚雷発射管、カッターはこちらから使った方が良いでしょう。内火艇は取り付け穴の位置が違うので主要パーツの方がいいかも?
ランナーには1972の刻印。これくらい古くてもタミヤのものはまだまだ現役を張れますが、当時からやる気満々で作られた大型艦に較べるとテンション低めな駆逐艦はやや陳腐化が隠せなくなってきています・・・
艦底パーツの上にバラストを乗せ、甲板と一体成型の船体パーツとで挟んで接着しますが、バリが突き出ていてバラストが持ち上がっており、少なからず処理をしないと隙間だらけになります。
艦底側、船体側両方からバリが突き出ているのでリューターで念入りに削らないとピッタリしませんでした。バラストを省略すればそのまま貼り合わせてしまえますが、そこはお好みで。
船体側面には何のディテールもなく寂しいのでディテールアップを試みますが、特型はせいぜい舷窓をピンバイスで開けるくらいしかする事がありません。とはいえガタガタに穴を開けると不格好なのでマスキングテープを罫線代わりにして極力きれいに並ぶように穴を開けます。ドリル径は0.5mmを使用しました。安いセットだと0.7か1mm以上しか入ってないので注意が必要です。穴の位置は箱裏と、実物の写真を参考に。
リノリウム色として43ウッドブラウンを塗ります。リノリウム押さえのディテールが無く、どこからどこまで塗るのか不明なのでピットロードのキットを参考にすると、前は砲塔基部前端からちょっと中央より、後ろは爆雷投射機の装填台の直後まで。でもまあ、大体で十分。
軍艦色2を塗ります。この時点で艦底色を塗り忘れ、完成間近まで気付かなかった・・・
甲板上にパーツを配置してゆきます。作業性は良好でサクサク組めるのですが、ややバリに邪魔をされる事も。単装機銃は1個までなら失くしても大丈夫。(失くしました)
砲塔や魚雷発射管をディテールアップパーツに置き換えるのが良いですが、それぞれ紛らわしいのが2種類あるのでディテールアップパーツの説明書をよく見て、B型砲塔と一二年式3連装魚雷発射管を使用します。(C型砲塔(白露型以降に装備)や九〇式3連装魚雷発射管(初春型に装備)は些細な違いですが特型の装備ではないので注意)
デカールを貼りますが、旗だけちょっと失敗・・・瞬着で固めようとしてつけすぎ、クシャクシャッと縮んでしまいました。この敷波は戦中の仕様なので史実では名前は消されていましたが、これは完全に好みでやっています。船体側面に記名の無い駆逐艦キット(秋月や松など)も組んでいますが、やはり何というか味気無いのです・・・
ウォッシングをして完成。ミナキシ!
箱を開封してから半日で全部仕上がる程度に易しい部類のキットです。程度が良ければもっと早いかも。まあ、速く組む事には何の意味もありませんが・・・
船体側面の舷窓はちょっとガタガタですが無いよりはやはり雰囲気でしょうか。甲板上はディテールアップは何もしていませんが、思いのほか「たくさん載ってる」感があります。
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔。仰角をA型の40度から75度まで引き上げたB型砲塔が綾波型から搭載されました。B型砲塔はA型に対し砲の左右を独立して俯仰させられる等、機能を多く盛り込んだ代償として重量増を招き、特に初春型以降では甲板上の艤装の重量が問題になったため白露型以降へは仰角を55度に制限して軽量化したC型砲塔が搭載されます。
魚雷発射管は十二年式3連装魚雷発射管が3基置かれています。次発装填装置はまだ装備されていませんが、9発を一斉射する事が可能。次発装填装置を使用しない斉射数では島風の15発まではこの9発が最大でした。
2番砲塔は改装により撤去され、代わりに九六式25mm3連装機銃がタンデムに2基置かれています。その直前のマストには13号電探が装備されています。
艦尾には2基の爆雷投下軌条、その前方にはモールドのためにややディテールが潰れていますがY砲(爆雷投射機)と装填台が置かれています。
再び艦中央部。探照灯の直後に1挺と2番煙突の直前の台に2挺の単装機銃が置かれていますが、これは13mmでしょうか?竣工時の対空兵装は毘式12.7mm単装機銃が2挺という、ちょっと変わった装備でした。2・3番魚雷発射管の間の架台に2基載っている25mm3連装機銃は後から追加されたものです。
艦前半。マストの途中に台が取り付けられ、その上に22号電探が置かれています。艦橋前の台には説明書通りに組んだため25mm3連装機銃が置かれていますが、ここは連装機銃が正しいです。
特Ⅰ型の吹雪と。
砲塔がA型からB型に替わり、艦橋がやや盛り付けられているのがわかるでしょうか。
煙突左右に後方を向いたダクトが生えていたものが、キノコの傘のような吸気口に変更されています。煙突自体も鋭角なカットから重厚な感じに変化しています。魚雷発射管も剥き出しだったものから砲室タイプに変更されました。
艦後半は竣工時同士では砲塔以外あまり違いがありません。
特Ⅲ型の響と。
キットのメーカーの解釈違いによりかなり違うようにも見えますが、盛り付けられた艦橋が再び簡略化されている以外は、マストより前に変化はないハズです。
主機関の出力増大により缶室を4基から3基に減らしたため1番煙突が細くなっています。これは缶1基から1本ずつ出て2本を束ねていたため1・2番とも前後に長い断面をもつ煙突だったものが、1番煙突が缶1基からだけに減った分前後に細くなったものでしょう。
1番煙突以外には違いが見られませんが、2番煙突の前の機銃台は響の方にもパーツはあったもののお好みで取り付けろという指示で、載せる機銃のパーツが足りないのでオミットしたんだったような気がします・・・
艦後半もかなり似通っていますが、響の方が多く部品が載っています。
@@@
古いなりに簡素で、タミヤらしく組みやすいですがコレクションにあってもモブのような存在になる印象があります。いくつか組んできている人にはそのままではまず物足りないでしょうが、
面倒臭い大物キットに疲れた時などにはやる気を回復させてくれるかもしれません。初心者がいきなりコレから組むとちょっと戸惑う点もあるので、2個目3個目に向いています。
タミヤの特型駆逐艦は特1~3が2つずつありますが、同型で2つあるのはそれぞれが年代違いを再現しているため。具体的には開戦前と戦中の対空兵装強化時などで、
吹雪(就役時)
初雪(対空兵装強化時)
綾波(就役時)
敷波(対空兵装強化時)
暁 (就役時)
響 (最終時)
というふうになっています。
上記以外の特型駆逐艦(白雪や叢雲、雷など)にしたい場合、デカールがありませんが大戦中は船体側面の名前などは消されていたものなので、同型の戦中型を組んで「これは〇〇だ!」と言い張る手もありますが、戦前に沈んでる深雪や、ディテールが少し違う特ⅡAの朧曙漣潮はちょっと面倒臭いかもしれません。(深雪はピットロードのもので作れますが、特ⅡAは現在キットが未発売です)
敷波(敷浪ではありません)は特型駆逐艦の12番艦、綾波型の2番艦。綾波型は特Ⅰ型(吹雪型)の改良型で特Ⅱ型とも表記されます。砲塔を仰角40度のA型砲塔から75度に引き上げたB型砲塔に、機関の吸気口を換気扇のダクトを煙突の左右に置いたような形状から、煙突付け根にサルノコシカケのような形状のヒダ型に変更、魚雷発射管に砲室を取り付けるなどの見た目上の変化も多く見られます。
敷波は1929年に竣工し同型の綾波、特Ⅰ型の磯波、特Ⅰ型改の浦波と共に第19駆逐隊を編成し、太平洋戦争においては主に護衛任務に従事しました。そして1944年9月、輸送船団の護衛中に海南島(中国とベトナムの国境の沖、トンキン湾にある大きな島です)東方にて米潜水艦グロウラーの雷撃を受け沈没します。このグロウラーはかつてキスカ島にて単艦で霰(あられ)を撃沈し、霞と不知火を大破せしめ第18駆逐隊を壊滅させた潜水艦でした。
箱下面は塗装指示ですが、リノリウム色が省略されています。
キットはかなり古いもので、パーツ数は少なくシンプル。
説明書は正方形で、組み立て説明も古めかしい印象。
主要パーツ群。パーツ数は少なく古臭いですがタミヤらしくディテールはカッチリしています。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。砲塔と魚雷発射管、カッターはこちらから使った方が良いでしょう。内火艇は取り付け穴の位置が違うので主要パーツの方がいいかも?
ランナーには1972の刻印。これくらい古くてもタミヤのものはまだまだ現役を張れますが、当時からやる気満々で作られた大型艦に較べるとテンション低めな駆逐艦はやや陳腐化が隠せなくなってきています・・・
艦底パーツの上にバラストを乗せ、甲板と一体成型の船体パーツとで挟んで接着しますが、バリが突き出ていてバラストが持ち上がっており、少なからず処理をしないと隙間だらけになります。
艦底側、船体側両方からバリが突き出ているのでリューターで念入りに削らないとピッタリしませんでした。バラストを省略すればそのまま貼り合わせてしまえますが、そこはお好みで。
船体側面には何のディテールもなく寂しいのでディテールアップを試みますが、特型はせいぜい舷窓をピンバイスで開けるくらいしかする事がありません。とはいえガタガタに穴を開けると不格好なのでマスキングテープを罫線代わりにして極力きれいに並ぶように穴を開けます。ドリル径は0.5mmを使用しました。安いセットだと0.7か1mm以上しか入ってないので注意が必要です。穴の位置は箱裏と、実物の写真を参考に。
リノリウム色として43ウッドブラウンを塗ります。リノリウム押さえのディテールが無く、どこからどこまで塗るのか不明なのでピットロードのキットを参考にすると、前は砲塔基部前端からちょっと中央より、後ろは爆雷投射機の装填台の直後まで。でもまあ、大体で十分。
軍艦色2を塗ります。この時点で艦底色を塗り忘れ、完成間近まで気付かなかった・・・
甲板上にパーツを配置してゆきます。作業性は良好でサクサク組めるのですが、ややバリに邪魔をされる事も。単装機銃は1個までなら失くしても大丈夫。(失くしました)
砲塔や魚雷発射管をディテールアップパーツに置き換えるのが良いですが、それぞれ紛らわしいのが2種類あるのでディテールアップパーツの説明書をよく見て、B型砲塔と一二年式3連装魚雷発射管を使用します。(C型砲塔(白露型以降に装備)や九〇式3連装魚雷発射管(初春型に装備)は些細な違いですが特型の装備ではないので注意)
デカールを貼りますが、旗だけちょっと失敗・・・瞬着で固めようとしてつけすぎ、クシャクシャッと縮んでしまいました。この敷波は戦中の仕様なので史実では名前は消されていましたが、これは完全に好みでやっています。船体側面に記名の無い駆逐艦キット(秋月や松など)も組んでいますが、やはり何というか味気無いのです・・・
ウォッシングをして完成。ミナキシ!
箱を開封してから半日で全部仕上がる程度に易しい部類のキットです。程度が良ければもっと早いかも。まあ、速く組む事には何の意味もありませんが・・・
船体側面の舷窓はちょっとガタガタですが無いよりはやはり雰囲気でしょうか。甲板上はディテールアップは何もしていませんが、思いのほか「たくさん載ってる」感があります。
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔。仰角をA型の40度から75度まで引き上げたB型砲塔が綾波型から搭載されました。B型砲塔はA型に対し砲の左右を独立して俯仰させられる等、機能を多く盛り込んだ代償として重量増を招き、特に初春型以降では甲板上の艤装の重量が問題になったため白露型以降へは仰角を55度に制限して軽量化したC型砲塔が搭載されます。
魚雷発射管は十二年式3連装魚雷発射管が3基置かれています。次発装填装置はまだ装備されていませんが、9発を一斉射する事が可能。次発装填装置を使用しない斉射数では島風の15発まではこの9発が最大でした。
2番砲塔は改装により撤去され、代わりに九六式25mm3連装機銃がタンデムに2基置かれています。その直前のマストには13号電探が装備されています。
艦尾には2基の爆雷投下軌条、その前方にはモールドのためにややディテールが潰れていますがY砲(爆雷投射機)と装填台が置かれています。
再び艦中央部。探照灯の直後に1挺と2番煙突の直前の台に2挺の単装機銃が置かれていますが、これは13mmでしょうか?竣工時の対空兵装は毘式12.7mm単装機銃が2挺という、ちょっと変わった装備でした。2・3番魚雷発射管の間の架台に2基載っている25mm3連装機銃は後から追加されたものです。
艦前半。マストの途中に台が取り付けられ、その上に22号電探が置かれています。艦橋前の台には説明書通りに組んだため25mm3連装機銃が置かれていますが、ここは連装機銃が正しいです。
特Ⅰ型の吹雪と。
砲塔がA型からB型に替わり、艦橋がやや盛り付けられているのがわかるでしょうか。
煙突左右に後方を向いたダクトが生えていたものが、キノコの傘のような吸気口に変更されています。煙突自体も鋭角なカットから重厚な感じに変化しています。魚雷発射管も剥き出しだったものから砲室タイプに変更されました。
艦後半は竣工時同士では砲塔以外あまり違いがありません。
特Ⅲ型の響と。
キットのメーカーの解釈違いによりかなり違うようにも見えますが、盛り付けられた艦橋が再び簡略化されている以外は、マストより前に変化はないハズです。
主機関の出力増大により缶室を4基から3基に減らしたため1番煙突が細くなっています。これは缶1基から1本ずつ出て2本を束ねていたため1・2番とも前後に長い断面をもつ煙突だったものが、1番煙突が缶1基からだけに減った分前後に細くなったものでしょう。
1番煙突以外には違いが見られませんが、2番煙突の前の機銃台は響の方にもパーツはあったもののお好みで取り付けろという指示で、載せる機銃のパーツが足りないのでオミットしたんだったような気がします・・・
艦後半もかなり似通っていますが、響の方が多く部品が載っています。
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古いなりに簡素で、タミヤらしく組みやすいですがコレクションにあってもモブのような存在になる印象があります。いくつか組んできている人にはそのままではまず物足りないでしょうが、
面倒臭い大物キットに疲れた時などにはやる気を回復させてくれるかもしれません。初心者がいきなりコレから組むとちょっと戸惑う点もあるので、2個目3個目に向いています。
ハセガワ1/72愛知E13A1零式水上偵察機11型’大和搭載機’です。
ゲームや巡洋艦キットに付属のを見ていれば自ずと興味は湧いてくるもので、「水上機のプラモが作りたい!」となるところ。しかしAmazonで買おうと物色しても、案外モノがありません。入手しやすいのはタミヤの晴嵐、やや品薄気味の瑞雲、他には零式水上観測機、零式「小型」水上偵察機、二式水上戦闘機など。今度でいいや・・・と流れ流れていたところ、ぶらりと某電気屋へ行くと見つけました零式三座水上偵察機。最近は通販ばっかりでしたが、たまにこういう掘り出し物が見つかるものです。
さてこのキットは何故ネット通販だと全然見つからないかというと、これがかなり古いキット。ハセガワの飛行機キットは古くて金型がガタガタなやつでもメジャー機は現行商品だったりしますが、マイナー機で絶版状態でもポロッと再生産されてくる事があります。このキットは数年前に再生産されたもののようです。
説明書。年号が平成に変わったくらいの時期から数年のうちに飛行機プラモはジェット戦闘機ばかり100機以上は組んだのですが、旧日本軍モノは当時興味が無かったので全く組んでおらず、これが初めてとなります。ハセガワのキットの説明書は2色カラーで昔から特徴的でした。
もう一枚、こちらは大和搭載機の塗装指示です。
パーツ全図。キット内容は比較的シンプルにまとめられていますが、やはりどうしても古さを感じてしまいます。
もうバリの嵐。ですがこれこそ私が昔からよく見てきた、見慣れたハセガワのキットらしい姿。
組み始めはとにかくバリを削り落とすところから始まります。ああ懐かしい。モールドは古いキットらしく凸モールド主体。勿論、全部削り落として掘り直し・・・なんてやりませんよ?
塗料はフジミみたいに箱の横に書いてあったりはしないので、店頭ではおおよそ予測して35明灰白色、57青竹色、124暗緑色は買ってきていたのですが、カーキが足りませんでした。でもカーキ持ってたような・・・と探したら出てきました。いつのだよコレ、多分四半世紀くらい前のもの。溶剤分が飛んで死んでたので復活させたらかなりの量になりました。全然使ってなかったんやな・・・
エンジンとコクピットを組みながら塗装し、仮組み。瑞雲なんかは機首かフロートの前端に重りを入れないと尻もちをつくらしいですが、この零式水上偵察機は説明書にはその記述がありません。このままだと確かにやや後ろに傾く形になります。
やっぱりこう、水平になった方がカッコイイかな?
目測で機首に5g、フロート前端に片側10gずつ入れてみました。ぶっちゃけるとフロートや本体の重量が重くなるとフロートを支持する棒が細いのでここの接着に非常に難儀するため、やらない方がマシだったかもしれません。
説明書にもありますが、キットには細い張り線は付属しないのでフロートを支持する張り線を伸ばしランナーで作ってやります。特にこのバッテンは実機の写真でも結構目立つので・・・
フロートから垂直に支持する2本ずつの棒の内側に斜めの棒を取り付けました。
と思ったら、艦載用のこの機体はカタパルトに載せる都合上、内側の斜め棒をワイヤーに置き換えているのだそう。
面倒臭いけど伸ばしランナーでワイヤーを作って左右から4本での支持に。ワイヤーを刺す穴は開いていないのでピンバイス必須。
塗装は筆塗り。上面色と下面色の境目はガサガサに塗ってそれっぽくしていますが、こういう境目は別にぼかさなくてもクッキリしていてもOK。迷彩塗装って難しいと思ってやらない事が一番だめなのではないかと。イイんだよ実機も適当なんだから適当で。
いよいよデカールですが、透明部分がやたらある部分は出来れば塗装でやってしまいたい気分。水平尾翼上面の白線と、主翼後縁の動翼の赤線はマスキングして線を引いてやりました。
デカールを貼ると一気に雰囲気がそれらしくなるのは、ハイビジ系のジェット戦闘機と同様。デカールは周辺の透明部分を切り飛ばしてやると作業性も良好。
銀で若干剥げチョロを書き込み、エナメルジャーマングレーでウォッシングして完成。
1/700のちっこい奴では分からない部分など、勉強になります。
零式水上偵察機は九四式水上偵察機の後継として愛知航空機によって開発された十二試三座水上偵察機を、昭和15年に海軍が制式採用した機体です。潜水艦搭載用の零式小型水上偵察機という機体もありますが、全く別の機体です。
キットは11型のうち、エンジンからの排気口に消炎装置を取り付けている「11型乙」。
前後に長いキャノピー内には三座の名の通り3名の乗員が前2人は前方を、3人目は後方を向いて乗っています。3人目の席の目の前のキャノピーは内側上方へ巻き込むように開き、ここから7.7mm機関銃を出して後方機銃とするのが唯一の武装。
何年か前に組んだタミヤ(イタレリ)のJu87G-2スツーカと。どちらも前後は短いものの左右は思いのほか大きいです。
他に日の丸をつけた機体がこれしかありませんでした。ハセガワの航空自衛隊F-104J。
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1/72の飛行機キットというのは勿体ぶって組むようなものではありません。ガンガン組んでガンガン潰して良いものです。ただ90年代・・・いや80年代後半以降のキットは詳細傾向でどうしても勿体なく感じてしまうので、気軽に組むなら古いキットの方が気兼ねなく失敗できるとも言える、かもしれません。今回のものは古い割には思ったより悪くないキットだったように感じました。
ゲームや巡洋艦キットに付属のを見ていれば自ずと興味は湧いてくるもので、「水上機のプラモが作りたい!」となるところ。しかしAmazonで買おうと物色しても、案外モノがありません。入手しやすいのはタミヤの晴嵐、やや品薄気味の瑞雲、他には零式水上観測機、零式「小型」水上偵察機、二式水上戦闘機など。今度でいいや・・・と流れ流れていたところ、ぶらりと某電気屋へ行くと見つけました零式三座水上偵察機。最近は通販ばっかりでしたが、たまにこういう掘り出し物が見つかるものです。
さてこのキットは何故ネット通販だと全然見つからないかというと、これがかなり古いキット。ハセガワの飛行機キットは古くて金型がガタガタなやつでもメジャー機は現行商品だったりしますが、マイナー機で絶版状態でもポロッと再生産されてくる事があります。このキットは数年前に再生産されたもののようです。
説明書。年号が平成に変わったくらいの時期から数年のうちに飛行機プラモはジェット戦闘機ばかり100機以上は組んだのですが、旧日本軍モノは当時興味が無かったので全く組んでおらず、これが初めてとなります。ハセガワのキットの説明書は2色カラーで昔から特徴的でした。
もう一枚、こちらは大和搭載機の塗装指示です。
パーツ全図。キット内容は比較的シンプルにまとめられていますが、やはりどうしても古さを感じてしまいます。
もうバリの嵐。ですがこれこそ私が昔からよく見てきた、見慣れたハセガワのキットらしい姿。
組み始めはとにかくバリを削り落とすところから始まります。ああ懐かしい。モールドは古いキットらしく凸モールド主体。勿論、全部削り落として掘り直し・・・なんてやりませんよ?
塗料はフジミみたいに箱の横に書いてあったりはしないので、店頭ではおおよそ予測して35明灰白色、57青竹色、124暗緑色は買ってきていたのですが、カーキが足りませんでした。でもカーキ持ってたような・・・と探したら出てきました。いつのだよコレ、多分四半世紀くらい前のもの。溶剤分が飛んで死んでたので復活させたらかなりの量になりました。全然使ってなかったんやな・・・
エンジンとコクピットを組みながら塗装し、仮組み。瑞雲なんかは機首かフロートの前端に重りを入れないと尻もちをつくらしいですが、この零式水上偵察機は説明書にはその記述がありません。このままだと確かにやや後ろに傾く形になります。
やっぱりこう、水平になった方がカッコイイかな?
目測で機首に5g、フロート前端に片側10gずつ入れてみました。ぶっちゃけるとフロートや本体の重量が重くなるとフロートを支持する棒が細いのでここの接着に非常に難儀するため、やらない方がマシだったかもしれません。
説明書にもありますが、キットには細い張り線は付属しないのでフロートを支持する張り線を伸ばしランナーで作ってやります。特にこのバッテンは実機の写真でも結構目立つので・・・
フロートから垂直に支持する2本ずつの棒の内側に斜めの棒を取り付けました。
と思ったら、艦載用のこの機体はカタパルトに載せる都合上、内側の斜め棒をワイヤーに置き換えているのだそう。
面倒臭いけど伸ばしランナーでワイヤーを作って左右から4本での支持に。ワイヤーを刺す穴は開いていないのでピンバイス必須。
塗装は筆塗り。上面色と下面色の境目はガサガサに塗ってそれっぽくしていますが、こういう境目は別にぼかさなくてもクッキリしていてもOK。迷彩塗装って難しいと思ってやらない事が一番だめなのではないかと。イイんだよ実機も適当なんだから適当で。
いよいよデカールですが、透明部分がやたらある部分は出来れば塗装でやってしまいたい気分。水平尾翼上面の白線と、主翼後縁の動翼の赤線はマスキングして線を引いてやりました。
デカールを貼ると一気に雰囲気がそれらしくなるのは、ハイビジ系のジェット戦闘機と同様。デカールは周辺の透明部分を切り飛ばしてやると作業性も良好。
銀で若干剥げチョロを書き込み、エナメルジャーマングレーでウォッシングして完成。
1/700のちっこい奴では分からない部分など、勉強になります。
零式水上偵察機は九四式水上偵察機の後継として愛知航空機によって開発された十二試三座水上偵察機を、昭和15年に海軍が制式採用した機体です。潜水艦搭載用の零式小型水上偵察機という機体もありますが、全く別の機体です。
キットは11型のうち、エンジンからの排気口に消炎装置を取り付けている「11型乙」。
前後に長いキャノピー内には三座の名の通り3名の乗員が前2人は前方を、3人目は後方を向いて乗っています。3人目の席の目の前のキャノピーは内側上方へ巻き込むように開き、ここから7.7mm機関銃を出して後方機銃とするのが唯一の武装。
何年か前に組んだタミヤ(イタレリ)のJu87G-2スツーカと。どちらも前後は短いものの左右は思いのほか大きいです。
他に日の丸をつけた機体がこれしかありませんでした。ハセガワの航空自衛隊F-104J。
@@@
1/72の飛行機キットというのは勿体ぶって組むようなものではありません。ガンガン組んでガンガン潰して良いものです。ただ90年代・・・いや80年代後半以降のキットは詳細傾向でどうしても勿体なく感じてしまうので、気軽に組むなら古いキットの方が気兼ねなく失敗できるとも言える、かもしれません。今回のものは古い割には思ったより悪くないキットだったように感じました。