~趣味の世界~
ピットロード1/700スカイウェーブシリーズの駆逐艦照月(てるづき)1942です。
照月は秋月型駆逐艦の2番艦。時代が昭和に入り航空機の発達により艦隊の防空を担うための専用の艦が各国で模索され、イギリスにおいて旧式化したC級軽巡洋艦に対空兵装を主体とする防空巡洋艦としての改装を施したのを皮切りに新型艦としてダイドー級軽巡洋艦やアメリカのアトランタ級軽巡洋艦が建造され、日本海軍でも旧式化していた天龍型や5500t型の軽巡洋艦を防空巡洋艦へ改装する案が上がったものの、これらの艦に八九式12.7cm連装高角砲などの砲架は大した数が積めず効果的ではないとし、また多額の改装費をかけてもすぐ老朽化により置き換えが必要になるため新規に建造する計画を立てるものの結局は乗り気ではなく、代わりとして建造されたのが防空駆逐艦である秋月型駆逐艦です。
照月は太平洋戦争中である1942年8月31日に竣工、10月には1番艦「秋月」と共に第61駆逐隊を編成し、その月のうちにトラック島へ進出し第一線へと投入されます。第三次ソロモン海戦において沈没する戦艦「比叡」や「霧島」の救助を行い、その後ショートランド諸島に進出してガダルカナル島への輸送作戦に従事します。第2水雷戦隊旗艦として12月11日にショートランドを出撃し、航空機や魚雷艇の攻撃をしのぎつつ進撃するも魚雷艇の雷撃を受け大破、航行不能となったため乗員を駆逐艦「長波」・「嵐」に移乗後、翌12日に自沈処分されました。照月は秋月型駆逐艦の中では最初に喪失した艦となりました。
箱下面は塗装指示。
NEシリーズや艦底パーツが無く、箱の大きさの割に内容が少なく感じますが、これが元々のボリューム。
説明書。ランナーBとCが間違って記述されているところがあるので注意。(⑥のホーサーリールC24とC25はB24とB25が正しい)
主要パーツ群。というかこれが全部。パーツ点数は一見それなりにありますが余りパーツが結構多く発生します。このランナーには秋月型の後期の艦のパーツ、年代が後の方の装備などもふくまれており、秋月型には使わない12.7cm連装砲などのパーツも多く付属しています。デカールは照月のものしかありませんが、戦中は記名されていませんので実質これで秋月型のどの艦にも組めるようになっているのだと思います。
それでは製作開始。左右分割された船体と前甲板、後甲板で構成されており、艦底パーツはありません。
接着して縛りつけているところ。左右を合わせて甲板を乗せただけだと甲板左右に隙間が開きがちなので接着が固まるまで上と左右から押さえてやる必要があります。
まずはリノリウム色として43ウッドブラウンを塗装。塗装面に油膜が残っていたのか塗料が弾かれてしまったので一旦剥がすハメに。こういう事もたまにあります。(開封後にランナーごと中性洗剤で一旦洗う習慣を身につけておくと安心ですが、面倒だし、中々・・・)
32軍艦色2でそれ以外を塗り、船体側面の下1mmほどを29艦底色で塗装。艦底色で塗るところは線もなにも無いので箱の塗装指示を見て大体の位置を基準に。
パーツを乗せてゆきます。標準的なピットロード品質。難しいところは特にありません。
艦名デカールを貼った後にエナメルフラットブラック・ジャーマングレー・フラットブラウンでウォッシング&スミ入れし、最後に旗を付けて完成。
1942年仕様は武装盛り盛りになる前の時期なのでややあっさり目に感じるかもしれません。
船体側面はハッキリとしたディテールがあるため横からの見た目も良好。
各部を観察。主砲塔は「長10cm」65口径九八式10cm連装高角砲。この砲はすでに多くの艦に搭載されていた40口径八九式12.7cm連装高角砲を小口径・長砲身化したもので、小口径ながら長砲身化により射程の延伸がはかられています。一方で砲身命数が短く、砲塔の機構が複雑で量産に向いていないという欠点がありました。自動装填装置により毎分15発以上の連射速度をもっています。
艦中央部。対空に重点を置く艦のため当初の計画では魚雷装備を廃していましたが、結局は用兵側の要求により九二式61cm4連装魚雷発射管が1基のみ設置され、その後方には次発装填装置も装備されています。秋月型の特徴でもある誘導煙突は分岐が低い位置にあり、周辺の艤装でやや隠れ気味で「夕張」などに較べあまり目立ってはいません。3基の缶から集合されて1本にまとめられています。
艦後部。艦前方と同様に2基の砲塔が背負い式に配置されており、駆逐艦としては多い4基8門の砲門数を持ちます。艦橋頂部と3番砲塔の後ろに置かれた九四式高射装置により対空射撃にも対応しています。
右舷に回り艦尾。Y砲(九四式爆雷投射機)と装填台が2セット装備されており、艦尾左右に6基の爆雷投下台もあります。他の秋月型では後に爆雷投下軌条も装備されており、防空艦とはいえ対潜装備もおざなりにはされていません。
再び艦中央部。艦隊防空としては長10cmが主力ですが個艦防空の要となる機銃装備についてはまだ少数に留まっており、魚雷発射管の直前の架台に九六式25mm連装機銃が2基装備されているだけとなっています。
秋月型の3番艦「涼月(すずつき)」までは竣工時の時点では電探が装備されておらず、照月は喪失が早かったため最後まで電探装備はされていません。照月以外の秋月型では他の型の駆逐艦同様に13号、22号の電探が後に装備されますが、秋月型では大型の21号電探も装備されていました。ただしこの21号電探は重量が重く故障も多めだったためか、これを降ろして代わりに13号電探を装備した艦もありました。
アオシマ秋月(上写真奥側)と。装備状態がほぼ同じで、共に竣工時(1942年)と思って良いでしょう。
アオシマ秋月はウォーターラインシリーズからフジミが抜けた後に補う形で発売されたキットであり、パーツ点数が少なく組みやすい割にはそこそこ形になっているので初心者にもおすすめできますが、さすがにピットロードと比べてしまうとスカスカに見えてしまいます。特に船体側面はディテールアップのしがいがあります。
船体中央部の比較。アオシマの方も短艇のショボさが目立つものの割と頑張ってるように思えます。
ただ、アオシマの方は長10cmの砲身基部に本来無い白いカバーが付いていて雰囲気が違ってしまっているのが惜しいところ。
秋月型は全長が134.2mと駆逐艦としては大柄。小さ目の軽巡洋艦、天龍型(上画像下)や夕張(上画像上)と近いサイズになります。
同じ駆逐艦だと陽炎型(上画像上)や夕雲型(上画像下)が120m弱ですから一回りほど大きくなります。同時期に建造された駆逐艦には他に「島風」がありますが、これも129mとやや大きめになっています。陽炎型・夕雲型を「甲型駆逐艦」、秋月型を「乙型駆逐艦」、島風を「丙型駆逐艦」とも呼びます。甲型は従来通りの艦隊型駆逐艦、乙型は新しい思想である防空型駆逐艦、丙型はやや旧弊な戦術思想からなる重雷装・高速型の駆逐艦であり、要求性能も用途も本来は違う艦です。
@@@
難易度もそれほど高くない割にディテールの濃い満足度の高いキットです。ただもう少し盛り付けたのがいいなぁ・・・という方は年代が1944年以降の仕様のものを選んだ方が良いでしょう。
秋月型はアオシマ、ピットロードの他にもフジミのものもあり、そちらは特シリーズらしい難易度と濃ゆさでしょうから、増し増しなのが良いという方はそちらも気にしてみましょう。
照月は秋月型駆逐艦の2番艦。時代が昭和に入り航空機の発達により艦隊の防空を担うための専用の艦が各国で模索され、イギリスにおいて旧式化したC級軽巡洋艦に対空兵装を主体とする防空巡洋艦としての改装を施したのを皮切りに新型艦としてダイドー級軽巡洋艦やアメリカのアトランタ級軽巡洋艦が建造され、日本海軍でも旧式化していた天龍型や5500t型の軽巡洋艦を防空巡洋艦へ改装する案が上がったものの、これらの艦に八九式12.7cm連装高角砲などの砲架は大した数が積めず効果的ではないとし、また多額の改装費をかけてもすぐ老朽化により置き換えが必要になるため新規に建造する計画を立てるものの結局は乗り気ではなく、代わりとして建造されたのが防空駆逐艦である秋月型駆逐艦です。
照月は太平洋戦争中である1942年8月31日に竣工、10月には1番艦「秋月」と共に第61駆逐隊を編成し、その月のうちにトラック島へ進出し第一線へと投入されます。第三次ソロモン海戦において沈没する戦艦「比叡」や「霧島」の救助を行い、その後ショートランド諸島に進出してガダルカナル島への輸送作戦に従事します。第2水雷戦隊旗艦として12月11日にショートランドを出撃し、航空機や魚雷艇の攻撃をしのぎつつ進撃するも魚雷艇の雷撃を受け大破、航行不能となったため乗員を駆逐艦「長波」・「嵐」に移乗後、翌12日に自沈処分されました。照月は秋月型駆逐艦の中では最初に喪失した艦となりました。
箱下面は塗装指示。
NEシリーズや艦底パーツが無く、箱の大きさの割に内容が少なく感じますが、これが元々のボリューム。
説明書。ランナーBとCが間違って記述されているところがあるので注意。(⑥のホーサーリールC24とC25はB24とB25が正しい)
主要パーツ群。というかこれが全部。パーツ点数は一見それなりにありますが余りパーツが結構多く発生します。このランナーには秋月型の後期の艦のパーツ、年代が後の方の装備などもふくまれており、秋月型には使わない12.7cm連装砲などのパーツも多く付属しています。デカールは照月のものしかありませんが、戦中は記名されていませんので実質これで秋月型のどの艦にも組めるようになっているのだと思います。
それでは製作開始。左右分割された船体と前甲板、後甲板で構成されており、艦底パーツはありません。
接着して縛りつけているところ。左右を合わせて甲板を乗せただけだと甲板左右に隙間が開きがちなので接着が固まるまで上と左右から押さえてやる必要があります。
まずはリノリウム色として43ウッドブラウンを塗装。塗装面に油膜が残っていたのか塗料が弾かれてしまったので一旦剥がすハメに。こういう事もたまにあります。(開封後にランナーごと中性洗剤で一旦洗う習慣を身につけておくと安心ですが、面倒だし、中々・・・)
32軍艦色2でそれ以外を塗り、船体側面の下1mmほどを29艦底色で塗装。艦底色で塗るところは線もなにも無いので箱の塗装指示を見て大体の位置を基準に。
パーツを乗せてゆきます。標準的なピットロード品質。難しいところは特にありません。
艦名デカールを貼った後にエナメルフラットブラック・ジャーマングレー・フラットブラウンでウォッシング&スミ入れし、最後に旗を付けて完成。
1942年仕様は武装盛り盛りになる前の時期なのでややあっさり目に感じるかもしれません。
船体側面はハッキリとしたディテールがあるため横からの見た目も良好。
各部を観察。主砲塔は「長10cm」65口径九八式10cm連装高角砲。この砲はすでに多くの艦に搭載されていた40口径八九式12.7cm連装高角砲を小口径・長砲身化したもので、小口径ながら長砲身化により射程の延伸がはかられています。一方で砲身命数が短く、砲塔の機構が複雑で量産に向いていないという欠点がありました。自動装填装置により毎分15発以上の連射速度をもっています。
艦中央部。対空に重点を置く艦のため当初の計画では魚雷装備を廃していましたが、結局は用兵側の要求により九二式61cm4連装魚雷発射管が1基のみ設置され、その後方には次発装填装置も装備されています。秋月型の特徴でもある誘導煙突は分岐が低い位置にあり、周辺の艤装でやや隠れ気味で「夕張」などに較べあまり目立ってはいません。3基の缶から集合されて1本にまとめられています。
艦後部。艦前方と同様に2基の砲塔が背負い式に配置されており、駆逐艦としては多い4基8門の砲門数を持ちます。艦橋頂部と3番砲塔の後ろに置かれた九四式高射装置により対空射撃にも対応しています。
右舷に回り艦尾。Y砲(九四式爆雷投射機)と装填台が2セット装備されており、艦尾左右に6基の爆雷投下台もあります。他の秋月型では後に爆雷投下軌条も装備されており、防空艦とはいえ対潜装備もおざなりにはされていません。
再び艦中央部。艦隊防空としては長10cmが主力ですが個艦防空の要となる機銃装備についてはまだ少数に留まっており、魚雷発射管の直前の架台に九六式25mm連装機銃が2基装備されているだけとなっています。
秋月型の3番艦「涼月(すずつき)」までは竣工時の時点では電探が装備されておらず、照月は喪失が早かったため最後まで電探装備はされていません。照月以外の秋月型では他の型の駆逐艦同様に13号、22号の電探が後に装備されますが、秋月型では大型の21号電探も装備されていました。ただしこの21号電探は重量が重く故障も多めだったためか、これを降ろして代わりに13号電探を装備した艦もありました。
アオシマ秋月(上写真奥側)と。装備状態がほぼ同じで、共に竣工時(1942年)と思って良いでしょう。
アオシマ秋月はウォーターラインシリーズからフジミが抜けた後に補う形で発売されたキットであり、パーツ点数が少なく組みやすい割にはそこそこ形になっているので初心者にもおすすめできますが、さすがにピットロードと比べてしまうとスカスカに見えてしまいます。特に船体側面はディテールアップのしがいがあります。
船体中央部の比較。アオシマの方も短艇のショボさが目立つものの割と頑張ってるように思えます。
ただ、アオシマの方は長10cmの砲身基部に本来無い白いカバーが付いていて雰囲気が違ってしまっているのが惜しいところ。
秋月型は全長が134.2mと駆逐艦としては大柄。小さ目の軽巡洋艦、天龍型(上画像下)や夕張(上画像上)と近いサイズになります。
同じ駆逐艦だと陽炎型(上画像上)や夕雲型(上画像下)が120m弱ですから一回りほど大きくなります。同時期に建造された駆逐艦には他に「島風」がありますが、これも129mとやや大きめになっています。陽炎型・夕雲型を「甲型駆逐艦」、秋月型を「乙型駆逐艦」、島風を「丙型駆逐艦」とも呼びます。甲型は従来通りの艦隊型駆逐艦、乙型は新しい思想である防空型駆逐艦、丙型はやや旧弊な戦術思想からなる重雷装・高速型の駆逐艦であり、要求性能も用途も本来は違う艦です。
@@@
難易度もそれほど高くない割にディテールの濃い満足度の高いキットです。ただもう少し盛り付けたのがいいなぁ・・・という方は年代が1944年以降の仕様のものを選んだ方が良いでしょう。
秋月型はアオシマ、ピットロードの他にもフジミのものもあり、そちらは特シリーズらしい難易度と濃ゆさでしょうから、増し増しなのが良いという方はそちらも気にしてみましょう。
ピットロード1/700スカイウェーブシリーズの駆逐艦漣(さざなみ)です。
以前に朧(おぼろ)~潮(うしお)までの4隻、いわゆる「特ⅡA」は絶版と言った事があったのですが、その後amazonを物色していたら普通に売られていたので早速買ってみました。そして積む事半年ほど、ようやく順番が廻ってきた次第。
漣(さざなみ)は特型駆逐艦の19番艦、特Ⅱ型(綾波型)の9番艦です。特Ⅱ型はⅠ型の12.7cm連装砲塔を対空射撃対応型となるB型砲塔に換装、艦橋を大型化、煙突の左右に置かれていた機関の吸気口を後方を向いたダクト型から、煙突の付け根の周囲に広がるキノコ型に変更される等の変更がなされました。また17番艦「朧」から「曙(あけぼの)」「漣」「潮」)の4艦は煙突の高さが低く、特ⅡA型と分類される場合があります。
漣は1932年5月19日に就役後は第10駆逐隊に属しますが1939年に解隊後、同型4隻による第7駆逐隊を編成、太平洋戦争では真珠湾攻撃と並行して行われたミッドウェー島砲撃を潮と共に行い、その後は南へ北へと各地を転戦します。そして1944年1月、曙と共にラバウルで輸送護衛任務に就いていたところ米潜水艦3隻によるウルフパックの襲撃を受け、その内の「アルバコア」の雷撃を受け沈没します。この米潜水艦「アルバコア」は軽巡洋艦「天龍」、駆逐艦「大潮」を撃沈してきており、漣の後にも空母「大鳳」も撃沈する事になります。
箱は最近のピットロードの駆逐艦キットでは青い共通の箱にラベルシールが貼られているもの。
ディテールアップパーツである「NEシリーズ」が同梱されているので結構なボリューム。
塗装指示。同型艦の潮とコンパチになっています。
説明書。読む要素部分がなぜか敷波の記述になっています。説明書では1944年仕様とされていますが、その割にはもうちょっと前の年代の装備のような気がします。
主要パーツ群。デカールこそ漣と潮のみですが、ピットロードの特型はランナーに付いてるパーツをみる感じでは特型のどの型どの年代にも組めるようになっているようなので、資料を用意しさえすればかなり自由度の高いキットといえるでしょう。
NEシリーズはNE07(特型駆逐艦用?)が2セット付属。
早速製作開始。左右分割された船体と、艦首甲板、それ以後の甲板にわかれています。
仮組み。
まずは船体左右を接着し、甲板上の砲塔や魚雷発射管の取りつく位置に穴を開けておきます。NEパーツの砲塔などの下面のダボは細いので上写真のように大穴ではなく、窪みの中央に1mmドリルで開ければ十分ですが、うまく中央に開けられなかったので・・・
船体後半の甲板を接着。左右のスキマを埋めるべく輪ゴムで巻いています。艦底の面には大型艦用のバラストを当てており、底面の水平も出しておきます。
艦首甲板の後端の辺りは奥まった部分があるので塗装してから取り付けます。
艦首甲板を接着。
艦底パーツを接着して輪ゴムで縛り直し。艦底パーツを取り付けなければウォーターラインモデルにできます。
リノリウム色として43ウッドブラウン、それ以外を32軍艦色2、艦底部分を29艦底色で塗装。
パーツを乗せてゆきます。小パーツの取り付けがピンを穴に挿すような取り付けではなく、台の上に置くように接着する取り付けなのでこういうところは初心者泣かせな部分かもしれませんが、取り付けない場合に穴を埋める必要が無いため、むしろ自由度が高いと言えるでしょうか。
パーツを載せ終えたところ。ボートダビットと内火艇の取り付けがやや手こずる程度で、難易度は大した事ありません。NEパーツの連装機銃も小さいのでこれもやや手こずるかも。
戦中仕様であればデカールは旗だけで十分ですが、コレクションとしては船体左右と艦尾の記名をあえて貼るのも良いでしょう。このあたりはお好みで。
エナメルのフラットブラック、ジャーマングレー、フラットブラウンでウォッシングし、最後に旗を取り付けて完成。
1944という割には艦橋前の連装機銃くらいしか増備されていません。
フルハルモデルなので横からの見た目も立派です。台座は艦底と接する面の中央部を少し削らないと台座の上で船体が安定しません。
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔(B型砲塔)。Ⅰ型のA型砲塔を左右の砲身を別々に動かせるようにし、仰角を40度から75度に引き上げ、対空射撃に対応させたものです。ただし照準装置が対空に十分対応しておらず、また装填時には平射位置に戻さなくてはならないため連射が出来ずあまり実用的ではなかったため白露型以降に装備されるC型砲塔では仰角が55度までに戻されています。また砲室重量もA型砲塔の25.4tに対し32tと重く、重心が高い事による復元性の悪化の原因にもなっていました。
砲塔の後方、艦橋の前には九六式25mm連装機銃が増備されています。
前後の煙突の間と、2番煙突の後方とで3基の十二年式61cm三連装魚雷発射管が置かれています。この魚雷発射管は元々は剥き出しでしたが後に3mm鋼板による砲室が装備され、特Ⅲ型からは標準装備となりました。
艦後方。背負い式に2番砲塔と3番砲塔が並んでいます。
右舷に回り艦尾。3番砲塔の後方にはY砲(九三式爆雷投射機)と装填台が置かれ、更にその後方には爆雷投下軌条があります。
対空兵装は竣工時には毘式12mm機銃(ビッカース12.7mm機関銃)が2番煙突の前に2挺置かれていましたが後に保式13mm連装機銃2基に換装されています。
マスト上にはまだ電探は装備されていません。
同ピットロードの響(ひびき)と。
響は特Ⅲ型であり数々の改良がなされ外観も多少違いますが、起工は同じ日(1930年2月21日)されており、綾波型では一番後に竣工した漣に対し、響は特型駆逐艦の中で最後に竣工した艦です。
特Ⅱ型から特Ⅲ型に至って機関の改良により缶が1基減ったため1番煙突が細くなっているのが特Ⅲ型の特徴ですが、漣の属する特ⅡA型は他の特Ⅱ型に対し煙突が若干低く、響の2番煙突と比較してもほんの少し低いのが確認でき・・・るかな?この他にも艦橋が肥大化の途上にあり、漣と響だけを比べても若干大きくなっています。
漣は1944年初頭の戦没なので兵装はまだ盛り付けられる前の状態ですが、響はおそらく戦争末期、坊の岬沖海戦(1945年4月)の頃の状態でしょうか。
漣はまだ2番砲塔が残っていますが、響は撤去されて3連装機銃2基に置き換わっています。2番・3番魚雷発射管の間にも3連装機銃が架台に乗せて2基増設されているのが確認できます。1944年後半のレイテ沖海戦前に触雷により艦首を大きく損傷した響はレイテの後空襲により損傷した潮の1番砲塔などを利用して1945年初頭に修理がされており、潮は大破状態で終戦を迎えます。
特型駆逐艦手前からⅠ型、Ⅱ型、ⅡA型、Ⅲ型。
@@@
タイプ違いでタミヤとピットロードの特型駆逐艦を2隻ずつ組みましたが、初心者でも安心の組みやすさを誇るタミヤのものもさすがに陳腐化が進んでいて、やはり組み上がった後の状態を比べてしまうと差を感じてしまいます。一方ピットロードのものはやや難易度は高いものの、あくまでタミヤと比べてであり、フジミの陽炎型などに較べたらぬるい部類でしょう。またバリエーションキットも多く、特型駆逐艦の中でもあの艦が欲しい、といったときにもキッチリ目的の艦が組める、痒いところに手が届く商品展開もありがたいものです。
以前に朧(おぼろ)~潮(うしお)までの4隻、いわゆる「特ⅡA」は絶版と言った事があったのですが、その後amazonを物色していたら普通に売られていたので早速買ってみました。そして積む事半年ほど、ようやく順番が廻ってきた次第。
漣(さざなみ)は特型駆逐艦の19番艦、特Ⅱ型(綾波型)の9番艦です。特Ⅱ型はⅠ型の12.7cm連装砲塔を対空射撃対応型となるB型砲塔に換装、艦橋を大型化、煙突の左右に置かれていた機関の吸気口を後方を向いたダクト型から、煙突の付け根の周囲に広がるキノコ型に変更される等の変更がなされました。また17番艦「朧」から「曙(あけぼの)」「漣」「潮」)の4艦は煙突の高さが低く、特ⅡA型と分類される場合があります。
漣は1932年5月19日に就役後は第10駆逐隊に属しますが1939年に解隊後、同型4隻による第7駆逐隊を編成、太平洋戦争では真珠湾攻撃と並行して行われたミッドウェー島砲撃を潮と共に行い、その後は南へ北へと各地を転戦します。そして1944年1月、曙と共にラバウルで輸送護衛任務に就いていたところ米潜水艦3隻によるウルフパックの襲撃を受け、その内の「アルバコア」の雷撃を受け沈没します。この米潜水艦「アルバコア」は軽巡洋艦「天龍」、駆逐艦「大潮」を撃沈してきており、漣の後にも空母「大鳳」も撃沈する事になります。
箱は最近のピットロードの駆逐艦キットでは青い共通の箱にラベルシールが貼られているもの。
ディテールアップパーツである「NEシリーズ」が同梱されているので結構なボリューム。
塗装指示。同型艦の潮とコンパチになっています。
説明書。読む要素部分がなぜか敷波の記述になっています。説明書では1944年仕様とされていますが、その割にはもうちょっと前の年代の装備のような気がします。
主要パーツ群。デカールこそ漣と潮のみですが、ピットロードの特型はランナーに付いてるパーツをみる感じでは特型のどの型どの年代にも組めるようになっているようなので、資料を用意しさえすればかなり自由度の高いキットといえるでしょう。
NEシリーズはNE07(特型駆逐艦用?)が2セット付属。
早速製作開始。左右分割された船体と、艦首甲板、それ以後の甲板にわかれています。
仮組み。
まずは船体左右を接着し、甲板上の砲塔や魚雷発射管の取りつく位置に穴を開けておきます。NEパーツの砲塔などの下面のダボは細いので上写真のように大穴ではなく、窪みの中央に1mmドリルで開ければ十分ですが、うまく中央に開けられなかったので・・・
船体後半の甲板を接着。左右のスキマを埋めるべく輪ゴムで巻いています。艦底の面には大型艦用のバラストを当てており、底面の水平も出しておきます。
艦首甲板の後端の辺りは奥まった部分があるので塗装してから取り付けます。
艦首甲板を接着。
艦底パーツを接着して輪ゴムで縛り直し。艦底パーツを取り付けなければウォーターラインモデルにできます。
リノリウム色として43ウッドブラウン、それ以外を32軍艦色2、艦底部分を29艦底色で塗装。
パーツを乗せてゆきます。小パーツの取り付けがピンを穴に挿すような取り付けではなく、台の上に置くように接着する取り付けなのでこういうところは初心者泣かせな部分かもしれませんが、取り付けない場合に穴を埋める必要が無いため、むしろ自由度が高いと言えるでしょうか。
パーツを載せ終えたところ。ボートダビットと内火艇の取り付けがやや手こずる程度で、難易度は大した事ありません。NEパーツの連装機銃も小さいのでこれもやや手こずるかも。
戦中仕様であればデカールは旗だけで十分ですが、コレクションとしては船体左右と艦尾の記名をあえて貼るのも良いでしょう。このあたりはお好みで。
エナメルのフラットブラック、ジャーマングレー、フラットブラウンでウォッシングし、最後に旗を取り付けて完成。
1944という割には艦橋前の連装機銃くらいしか増備されていません。
フルハルモデルなので横からの見た目も立派です。台座は艦底と接する面の中央部を少し削らないと台座の上で船体が安定しません。
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲塔(B型砲塔)。Ⅰ型のA型砲塔を左右の砲身を別々に動かせるようにし、仰角を40度から75度に引き上げ、対空射撃に対応させたものです。ただし照準装置が対空に十分対応しておらず、また装填時には平射位置に戻さなくてはならないため連射が出来ずあまり実用的ではなかったため白露型以降に装備されるC型砲塔では仰角が55度までに戻されています。また砲室重量もA型砲塔の25.4tに対し32tと重く、重心が高い事による復元性の悪化の原因にもなっていました。
砲塔の後方、艦橋の前には九六式25mm連装機銃が増備されています。
前後の煙突の間と、2番煙突の後方とで3基の十二年式61cm三連装魚雷発射管が置かれています。この魚雷発射管は元々は剥き出しでしたが後に3mm鋼板による砲室が装備され、特Ⅲ型からは標準装備となりました。
艦後方。背負い式に2番砲塔と3番砲塔が並んでいます。
右舷に回り艦尾。3番砲塔の後方にはY砲(九三式爆雷投射機)と装填台が置かれ、更にその後方には爆雷投下軌条があります。
対空兵装は竣工時には毘式12mm機銃(ビッカース12.7mm機関銃)が2番煙突の前に2挺置かれていましたが後に保式13mm連装機銃2基に換装されています。
マスト上にはまだ電探は装備されていません。
同ピットロードの響(ひびき)と。
響は特Ⅲ型であり数々の改良がなされ外観も多少違いますが、起工は同じ日(1930年2月21日)されており、綾波型では一番後に竣工した漣に対し、響は特型駆逐艦の中で最後に竣工した艦です。
特Ⅱ型から特Ⅲ型に至って機関の改良により缶が1基減ったため1番煙突が細くなっているのが特Ⅲ型の特徴ですが、漣の属する特ⅡA型は他の特Ⅱ型に対し煙突が若干低く、響の2番煙突と比較してもほんの少し低いのが確認でき・・・るかな?この他にも艦橋が肥大化の途上にあり、漣と響だけを比べても若干大きくなっています。
漣は1944年初頭の戦没なので兵装はまだ盛り付けられる前の状態ですが、響はおそらく戦争末期、坊の岬沖海戦(1945年4月)の頃の状態でしょうか。
漣はまだ2番砲塔が残っていますが、響は撤去されて3連装機銃2基に置き換わっています。2番・3番魚雷発射管の間にも3連装機銃が架台に乗せて2基増設されているのが確認できます。1944年後半のレイテ沖海戦前に触雷により艦首を大きく損傷した響はレイテの後空襲により損傷した潮の1番砲塔などを利用して1945年初頭に修理がされており、潮は大破状態で終戦を迎えます。
特型駆逐艦手前からⅠ型、Ⅱ型、ⅡA型、Ⅲ型。
@@@
タイプ違いでタミヤとピットロードの特型駆逐艦を2隻ずつ組みましたが、初心者でも安心の組みやすさを誇るタミヤのものもさすがに陳腐化が進んでいて、やはり組み上がった後の状態を比べてしまうと差を感じてしまいます。一方ピットロードのものはやや難易度は高いものの、あくまでタミヤと比べてであり、フジミの陽炎型などに較べたらぬるい部類でしょう。またバリエーションキットも多く、特型駆逐艦の中でもあの艦が欲しい、といったときにもキッチリ目的の艦が組める、痒いところに手が届く商品展開もありがたいものです。
アオシマ1/700ウォーターラインシリーズの潜水艦伊-401です。
むかし伊400の方は組んだ事があったのですが、あまり印象に残っていません・・・
「潜水空母」というロマンあふれる艦種名につられて買ってきた記憶があります。
伊-401は伊400型潜水艦の2番艦。伊400型潜水艦は「潜特型(せんとくがた)」とも呼ばれ、開発経緯には諸説ありますが主にアメリカ本土やパナマ運河を搭載航空機によって攻撃するため、無補給でアメリカ西海岸まで往復する長い航続距離と、航空機の搭載能力が求められました。これ以前にも日本海軍は巡潜型の潜水艦が長い航続距離と航空機搭載能力をもっており、太平洋戦争においてもアメリカ西海岸の基地を砲撃したり、搭載していた零式小型水上偵察機によって爆撃を行ったりはしていましたが、アメリカ国民に「本土を砲爆撃される」という心象的効果はあったものの実際の砲爆撃による戦果は微々たるものだったため、更なる効果を期待すべく、搭載機を高性能な水上攻撃機とし、また搭載数も2機(後に3機)が要求されました。1942年に18隻の建造が計画されましたが戦局の悪化により5隻に変更され、結局3隻のみが完成しましたがすでに時は1945年に入っており、6月にようやくウルシー泊地に居る米海軍の機動部隊を攻撃する任務が与えられ、3隻のうち伊-400と伊-401が攻撃部隊に選ばれました。先行して巡潜型の伊-13と伊-14が偵察機を搭載してトラック島に輸送、伊-13が撃沈されるも伊-14が輸送に成功し、これをもって7月20日に伊-400と伊401は出航し、8月17日に攻撃作戦を行う予定だったものの8月15日に終戦となり、伊-400と合流できなかった伊-401は本土へ引き返し、8月29日に三陸沖で米潜水艦セグンドに拿捕され横須賀へ帰港した後は米軍に接収され、調査のため米本土に回航され1946年5月31日に真珠湾において実艦標的として撃沈されました。
箱下面は塗装指示。図中にもありますがウルシー泊地攻撃時は甲板をガルグレーで塗られていたようなのでかなり印象が変わるでしょう。
昔ながらの小さなサイズの箱にみっちり詰められています。
主要パーツ群。この伊401は近年リニューアルされたキットなのですが、旧キットはどんなんだったっけ・・・
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。説明書によるとX39(三連装機銃)を3個だけ使用します。
近年のアオシマらしいちょっとダレッとしているもののディテールは多め。
説明書。塗装指示など上からの全体図に書かれている艦首横に生えた動翼はパーツが付属していないのですが、格納された状態でモールドされているので慌てないように。
船体は左右分割された船体側面と、甲板、艦底パーツという構成。
接着します。船体左右の合わせ目が艦首の甲板前方に残りかなり目立つのでやる気があれば消しておくと良いでしょう。
接着したものの甲板周囲などに隙間が開くので大型艦用のバラスト(金属板)に乗せて輪ゴムでグルグル巻きにしてみました。
数時間後に合わせ目からはみ出た接着剤を削り取って塗装。ウルシー泊地攻撃時の甲板色はデッキタンの上にガルグレーを塗るとあるのですが、面倒臭かったのでガルグレーを直接塗りました。
細かいパーツを組み上げてゆきます。さして難しいところは無いのですが、艦尾甲板のアンテナの足の長さが4本バラバラで合いが悪いのと、艦尾左右のパーツがやや取り付きにくいくらいでしょうか。
搭載される特殊攻撃機・晴嵐(せいらん)。主翼をたたみフロートを外されている形と、組まれている普通の形の2つ分が付属します。普通の色の晴嵐は以前組んだので今回はウルシー泊地攻撃時に搭載していたといわれる、米軍機に艤装すべく銀色に米軍マークの付いた姿にしてみました。主翼をたたんでいる方は尾翼をたたんでいない形なので筒型の格納庫には入りません。
エナメルフラットブラウンで甲板にスミ入れし、全体をフラットブラックでウォッシングして完成。
甲板の色は参考になる作例がググっても見当たらなかったのでこれでいいのかなぁ・・・という感じ。
潜水艦のウォーターラインモデルは高さが無くて冴えない印象ですが、伊400型ほどデカければまだそれほどショボさは無いでしょうか。
各部を観察。筒状の格納庫の前方に伸びるのは四式1号10型カタパルト。全備重量が4tを超える晴嵐を射出するための特別製。晴嵐を運用する伊400型と伊13型にのみ装備されていました。2号カタパルトのように火薬式ではなく、圧縮空気を利用するタイプです。
司令塔の前面には格納庫の扉があり、その後方へやや下へ傾斜するように筒状の格納庫が内蔵されています。格納庫の上の甲板には3基の九六式25mm三連装機銃が3基、同単装機銃が1挺装備されています。
後方の甲板上には潜水艦用の40口径14cm単装砲が設置されています。
艦尾。ウォータラインモデルでは分かりにくいですが伊400型の船体は上部に大型の格納庫と司令塔を置く必要があったため安定性の確保のため2本の筒を横に並べた内殻をもつ構造となっています。
格納庫内には3機の晴嵐を並べて1列に格納します。
「潜水空母」として知られる伊400型ですが、潜水艦らしく艦首には8門の53cm魚雷発射管をもっています。
特殊攻撃機「晴嵐」はフロートを外し主翼を後方へ、水平尾翼を下へ、垂直尾翼の先端もたたんだ状態で格納庫に格納されており、出撃する際はカタパルト前で組み立てます。1機あたり数分で組み立てられるように設計されており、3機を20分以内に出撃させる事ができました。ウルシー泊地攻撃時は結局出撃させる事はなく、国際法違反となる偽装がされていた伊-401搭載の晴嵐は機密保持のため作戦中止して帰還する際に海へ投棄されました。また座乗していた潜水艦隊司令も米潜水艦による拿捕後に自決しています。
ピットロードの伊54型潜水艦・伊-58と。
巡潜型潜水艦には元々零式小型水上偵察機1機を格納する格納庫とそれを発艦させる呉式一号四型射出機が装備されていましたが、伊54型潜水艦では省略されています。
格納庫の有無のためかなり印象が異なります。
艦尾。伊-58は回天搭載のため14cm単装砲は最初から装備されていませんでした。誘導魚雷のはしりである回天をはじめ魚雷装備に特化した、現代でいう攻撃型潜水艦である伊-58と、航空機により拠点を上空から攻撃するための発進母艦といえる、現代でいう弾道ミサイル搭載の戦略型潜水艦のはしりである伊-401。
@@@
伊400型は潜水艦の中でも人気の高い艦ですが、やはり潜水艦はフルハルの方がいいなぁ・・・
アオシマからは1/700で今回のウォーターラインモデルの他にもフルハルモデルも出ているので、興味のある方は好みで選ぶと良いでしょう。
むかし伊400の方は組んだ事があったのですが、あまり印象に残っていません・・・
「潜水空母」というロマンあふれる艦種名につられて買ってきた記憶があります。
伊-401は伊400型潜水艦の2番艦。伊400型潜水艦は「潜特型(せんとくがた)」とも呼ばれ、開発経緯には諸説ありますが主にアメリカ本土やパナマ運河を搭載航空機によって攻撃するため、無補給でアメリカ西海岸まで往復する長い航続距離と、航空機の搭載能力が求められました。これ以前にも日本海軍は巡潜型の潜水艦が長い航続距離と航空機搭載能力をもっており、太平洋戦争においてもアメリカ西海岸の基地を砲撃したり、搭載していた零式小型水上偵察機によって爆撃を行ったりはしていましたが、アメリカ国民に「本土を砲爆撃される」という心象的効果はあったものの実際の砲爆撃による戦果は微々たるものだったため、更なる効果を期待すべく、搭載機を高性能な水上攻撃機とし、また搭載数も2機(後に3機)が要求されました。1942年に18隻の建造が計画されましたが戦局の悪化により5隻に変更され、結局3隻のみが完成しましたがすでに時は1945年に入っており、6月にようやくウルシー泊地に居る米海軍の機動部隊を攻撃する任務が与えられ、3隻のうち伊-400と伊-401が攻撃部隊に選ばれました。先行して巡潜型の伊-13と伊-14が偵察機を搭載してトラック島に輸送、伊-13が撃沈されるも伊-14が輸送に成功し、これをもって7月20日に伊-400と伊401は出航し、8月17日に攻撃作戦を行う予定だったものの8月15日に終戦となり、伊-400と合流できなかった伊-401は本土へ引き返し、8月29日に三陸沖で米潜水艦セグンドに拿捕され横須賀へ帰港した後は米軍に接収され、調査のため米本土に回航され1946年5月31日に真珠湾において実艦標的として撃沈されました。
箱下面は塗装指示。図中にもありますがウルシー泊地攻撃時は甲板をガルグレーで塗られていたようなのでかなり印象が変わるでしょう。
昔ながらの小さなサイズの箱にみっちり詰められています。
主要パーツ群。この伊401は近年リニューアルされたキットなのですが、旧キットはどんなんだったっけ・・・
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。説明書によるとX39(三連装機銃)を3個だけ使用します。
近年のアオシマらしいちょっとダレッとしているもののディテールは多め。
説明書。塗装指示など上からの全体図に書かれている艦首横に生えた動翼はパーツが付属していないのですが、格納された状態でモールドされているので慌てないように。
船体は左右分割された船体側面と、甲板、艦底パーツという構成。
接着します。船体左右の合わせ目が艦首の甲板前方に残りかなり目立つのでやる気があれば消しておくと良いでしょう。
接着したものの甲板周囲などに隙間が開くので大型艦用のバラスト(金属板)に乗せて輪ゴムでグルグル巻きにしてみました。
数時間後に合わせ目からはみ出た接着剤を削り取って塗装。ウルシー泊地攻撃時の甲板色はデッキタンの上にガルグレーを塗るとあるのですが、面倒臭かったのでガルグレーを直接塗りました。
細かいパーツを組み上げてゆきます。さして難しいところは無いのですが、艦尾甲板のアンテナの足の長さが4本バラバラで合いが悪いのと、艦尾左右のパーツがやや取り付きにくいくらいでしょうか。
搭載される特殊攻撃機・晴嵐(せいらん)。主翼をたたみフロートを外されている形と、組まれている普通の形の2つ分が付属します。普通の色の晴嵐は以前組んだので今回はウルシー泊地攻撃時に搭載していたといわれる、米軍機に艤装すべく銀色に米軍マークの付いた姿にしてみました。主翼をたたんでいる方は尾翼をたたんでいない形なので筒型の格納庫には入りません。
エナメルフラットブラウンで甲板にスミ入れし、全体をフラットブラックでウォッシングして完成。
甲板の色は参考になる作例がググっても見当たらなかったのでこれでいいのかなぁ・・・という感じ。
潜水艦のウォーターラインモデルは高さが無くて冴えない印象ですが、伊400型ほどデカければまだそれほどショボさは無いでしょうか。
各部を観察。筒状の格納庫の前方に伸びるのは四式1号10型カタパルト。全備重量が4tを超える晴嵐を射出するための特別製。晴嵐を運用する伊400型と伊13型にのみ装備されていました。2号カタパルトのように火薬式ではなく、圧縮空気を利用するタイプです。
司令塔の前面には格納庫の扉があり、その後方へやや下へ傾斜するように筒状の格納庫が内蔵されています。格納庫の上の甲板には3基の九六式25mm三連装機銃が3基、同単装機銃が1挺装備されています。
後方の甲板上には潜水艦用の40口径14cm単装砲が設置されています。
艦尾。ウォータラインモデルでは分かりにくいですが伊400型の船体は上部に大型の格納庫と司令塔を置く必要があったため安定性の確保のため2本の筒を横に並べた内殻をもつ構造となっています。
格納庫内には3機の晴嵐を並べて1列に格納します。
「潜水空母」として知られる伊400型ですが、潜水艦らしく艦首には8門の53cm魚雷発射管をもっています。
特殊攻撃機「晴嵐」はフロートを外し主翼を後方へ、水平尾翼を下へ、垂直尾翼の先端もたたんだ状態で格納庫に格納されており、出撃する際はカタパルト前で組み立てます。1機あたり数分で組み立てられるように設計されており、3機を20分以内に出撃させる事ができました。ウルシー泊地攻撃時は結局出撃させる事はなく、国際法違反となる偽装がされていた伊-401搭載の晴嵐は機密保持のため作戦中止して帰還する際に海へ投棄されました。また座乗していた潜水艦隊司令も米潜水艦による拿捕後に自決しています。
ピットロードの伊54型潜水艦・伊-58と。
巡潜型潜水艦には元々零式小型水上偵察機1機を格納する格納庫とそれを発艦させる呉式一号四型射出機が装備されていましたが、伊54型潜水艦では省略されています。
格納庫の有無のためかなり印象が異なります。
艦尾。伊-58は回天搭載のため14cm単装砲は最初から装備されていませんでした。誘導魚雷のはしりである回天をはじめ魚雷装備に特化した、現代でいう攻撃型潜水艦である伊-58と、航空機により拠点を上空から攻撃するための発進母艦といえる、現代でいう弾道ミサイル搭載の戦略型潜水艦のはしりである伊-401。
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伊400型は潜水艦の中でも人気の高い艦ですが、やはり潜水艦はフルハルの方がいいなぁ・・・
アオシマからは1/700で今回のウォーターラインモデルの他にもフルハルモデルも出ているので、興味のある方は好みで選ぶと良いでしょう。
ふと思いつきで電動ガン用のリポバッテリー一式そろえてみました。
リポバッテリーとはLi-po(リチウムポリマー)タイプのバッテリーです。
携帯電話などのバッテリーで知られるリチウムイオンバッテリーの電解質が液体であるのに対し、重合体(ポリマー)に電解質を浸して半固体にしたもので、小型化かつ液漏れなどの安全性も改良されたものです。ニッカドやニッケル水素のバッテリーに対し高出力・軽量・小型ですが改善されたとはいえまだ前者に較べると死に際に膨張・破裂・発火する等の危険性があり、高性能とはいえ「怖い」という理由から二の足を踏んでいる人も多いかと思います。
バッテリーの収納場所が限られている電動ガンにおいては特に外装チューンをしていくとぶつかりやすい障害が重くてでかいニッ水バッテリの収納。これをリポバッテリーの導入によりある程度改善をみる事ができるハズです。
ショップの通販だとイマイチ必要なものが中途半端にしか揃わなかったのでAmazonで。
バトンの7.4V1200mAhセパレートバッテリー。長さはありますが薄型で二分割されているのでアウターバレルとハンドガードの間のスキマに収めるのに適した形状。
ET-1イエローライン7.4V800mAhリポバッテリー。やや小容量ですがコンパクト電動ガン用のマイクロバッテリーEXと同程度の長さ・2/3程度の幅しかなく、非常に軽量です。
イーグル模型リポセーフティバッグ。発火の危険のあるリポバッテリーの保管のための、難燃製のバッグ。今回のものはバッテリーを2つ収納できるタイプ。
G&Pリポバッテリーチェッカー。リポバッテリーは満タンから空まで使い切る使い方では寿命が著しく低下しまた危険なのである程度の範囲内で管理しながらの使用となります。そのある程度の範囲を知るための電圧チェックを容易に行えるようにするアイテム。
オプションNo.1リポオートカット。銃の端子とバッテリーの間に接続する事で銃の使用中にバッテリーの残量が危険域まで減る前に告知したり接続カットをして保護するためのもの。多少場所をとるので余裕があったら装備しておきたいアイテム。ただ、お座敷シューターにはあまり必要なものではないかも。
開封。
バッテリーチェッカーは基盤と端子が剥き出しなものが多いですがこの製品はUSBメモリのようにケーシングされており、端子にフタも付いています。
リポバッテリーから生えているバランス端子(小さい方のコネクタ)をチェッカーの側に小さく書かれている-123456の-の側に詰めて接続すると表示が光ります。点滅しながらMax→(合計電圧)→No.1→(1セル側の電圧)→No.2→(2セル側の電圧)→Max・・・という順に表示されてゆきます。
ニッケル水素バッテリーなどでは合計電圧だけ見ていれば良いのですが、リポバッテリーの場合はセル単位で管理する必要があります。ニッカドやニッケル水素は1セルが1.2Vで、8.4Vなら7セルがひとまとめにされています。リポバッテリーでは1セルが約3.7Vで2セルタイプのリポバッテリーなら合計7.4V。更に高出力なものは3セル11.1Vのものがあり、バランス端子が横に大きくなってゆきます。このチェッカーでは6セルのものまで計測できるようになっています。
ニッケル水素バッテリーでも同様ですが、8.4Vといっても実際には満充電で10V近くまで出ていて使っていくと段々8.4V前後まで下がってゆき空になる直前で8V以下に急降下します。リポバッテリーの場合では安全に使用できる推奨範囲が大体3.8~4.2Vで、大幅に超えるのが危険なのはもちろん、大幅に下がっても危険となります。
今回のものは買ってきたばかりで充電していないので低めですが、店頭や倉庫で長期保管されるため低すぎない程度に残量がある状態にされています。ニッケル水素のように放っておいても自己放電でどんどん減ったりはしませんが、さすがに何年も放置すると減ってしまうので注意が必要。
オートカットはバッテリーと接続すると一旦赤く光ってから緑に常点灯します。説明書が無いので減ったらどうなるのかわかりません・・・
重量の比較。マルイ純正のニッケル水素ミニSバッテリーは167g、AKバッテリーは161g。
バトンのセパレートバッテリーは75g。半分以下の重量。
ET1のものは42gしかありません。
ET1のものに付属の説明書。
早速銃に接続してみましょう。まずはUMAREXのG36CVですが、セパレートバッテリーはちょっと長さと配線の取り回しが上手くいかず収まりませんでした。バレルに這わせつつ上手くハンドガードを閉めるタイプの収納だとセパレートは上手くいかない傾向にあります。RASのスキマに差し込むとか、そんな収納の方に向いている印象。
小さい方は余裕ですが、オートカットを装備するとこれもちょっと取り回しに苦労します。
どうにか収まりましたが、G36系はちょっとバッテリーの収納が面倒臭い印象。リポバッテリーの場合特に外装を傷つけるのはご法度なので無理やり収めたりするのは危険です。
後ろ配線にしてVストック内に収める方がスムーズかもしれません。
セパレートは長さ方向がちょっと窮屈。上下方向は余裕たっぷり。
G&G CM16にマグプルMOEハンドガードを装着したものの場合。セパレートはやや窮屈なもののオートカットごと収める事ができました。
ただオートカットのランプがスキマから見えるので、ナイトゲームとか暗いシチュエーションだと目立っちゃうかも。
小さい方は余裕で入ります。
CYMAのAK47タクティカル(CM.039C)の場合。トップカバー内に収めますがAKバッテリーと同程度の太さなので十分収める事ができます。
チャージハンドルを引くとランプの光が覗くので確認もできそう。
セパレートはオートカットを外して束ねればどうにか収まりそう。
トップカバーを閉める時に束ねたのがズレたりしてちょっとやりにくいのですが、ちゃんと収まりました。
マルイ次世代AKS74U。ハンドガード上側の内部に収納しますが、小さい方ならミニSバッテリーよりもすんなり入るレベル。
メーカーはリポ使用を推奨しておらず、方々でも「次世代にリポを使うと壊れる」と言われていますが、小さい低容量のものならそれほど神経質にならなくても大丈夫かと思います。ただし壊れたらメーカーに送るタイプの人はやめておいた方が良いでしょう。
マルイスタンダードM4に16インチアウターとマグプルMOEハンドガードライフルレングスを装着したものの場合。これだけ前後にスペースがあるとあまり苦労しません。ただスペースは細長いので多少考慮する余地はあり、またハンドガード下側を閉める時にポロリしやすいのでちょっと面倒臭いかも。
オートカットのランプは下方向に漏れます。
ハンドガード内にあまりにも重量感が無いので計ってみるもアレ?それほど軽くもないや・・・
S&Tタボールの場合。セパレートは長すぎてダメでした。
小さい方は非常にきれいに収まります。オートカット装備でも収まりそう。
S&Tタボールのコピー元であるARESのタボールはバッテリーの収納場所がハンドガード内ではなくストック内だと聞いたのですが、確かにメカボックスの上側に細長いスペースがありました。
こちら側だとセパレートもおさまりますが、チャージハンドルと連動しているボルトカバーが真下でバッテリーと擦れ合うのでバッテリーを入れている時はあまりチャージハンドルを操作しないようにする必要があります。またこのタボールは樹脂メカボが入っている初期型なのでブローバック機能のある最近の物は無理かもしれません。
空撃ちとはいえそれぞれ100発分くらい動作させましたが0.2~0.3ほど減ったかしら。説明書にもありますが本来は買ってきたら動作させる前にまず充電から始めなければなりません。
というわけで取り出したるは充電器。ABCホビーのLife-Po4というちょっと古い機種です。最近のものではモニター表示があるものでももっと安く買えると思います。リポバッテリーしか使わない人はリポ専用の充電器がおすすめ。リポバッテリーの事故はマルチタイプの充電器を使いニッケル水素の充電モードでリポの充電をした、とかいう場合に多いのだとか。
本体左側面にあるバランス端子。2セル~6セルのものまで対応しています。
2セルのバッテリーならばバッテリーから生えているバランス端子を左下の端子に差し込みます。
バランス端子を繋いだだけでは充電スタートさせてもエラーが出て停止するので、リポ充電の設定をします。充電モードをLi-po バランスチャージにし、電流値を800mAhのバッテリーなので0.8Aにします。1C充電といって1200mAhなら1.2Aにし、0.5C充電(800mAhのバッテリーなら0.4A)は時間はかかるが安全に、2C(800mAhなら1.6A)以上はリスクはあるが高速で充電するのですが、リスクと速度の兼ね合いで一番丁度良いのが1C充電です。
最後にバッテリー電圧を7.4V(2S)にしたらバッテリーの出力端子を繋いで充電開始。
充電が始まりました。この充電器にはバッテリー温度管理用のセンサーがあるのですが、リポバッテリーはバッテリーのセルを覆う缶が鉄ではなくアルミなので、磁力でくっつくセンサーはぴったり取りつかないのですが、気持ち程度にセンサー面をバッテリーに乗せておきます。
ダイヤルを回すとセル毎の電圧などの状態を見る事ができます。
充電完了。上段中央が経過時間、右が充電した量(mA)、下段はバッテリーに送っている電流量とバッテリーが現在発している電圧。
1セルあたり4.14Vほどになっています。1セル目と2セル目で多少ズレがあるのは普通ですが、大きくズレる場合は放電とバランス充電を繰り返して調整します。
次はセパレートの方を。1200mAhなので1.2Aに変更する以外は同じ設定で。
充電開始。
充電完了。そうそうリポバッテリーの充電中は監視しながら。充電開始してから寝る、みたいなのはダメです。さすがに凝視し続けなければならない、というほどではないので横で別の事をするなどして度々チラ見する程度で十分。あと充電中はバッテリーは保管バッグなど燃えないものを下に敷いておくと安心。もし燃え出した時は慌ててコネクターを抜こうとせず、どのみち再利用不可となるバッテリーの配線をニッパーなどでちょん切って退避させた方が早いでしょう。そして燃えているバッテリーは化学反応で燃えているため酸素を奪うための通常の消火(水をかける、容器に入れて密閉する)ではかけた水が過熱されて激しい水蒸気を吹いたり、有毒ガスが発生していて密閉した容器が破裂したりするので、濃い塩水に数日浸けて反応を収束させるのだそうです。
こちらは4.15~4.16Vほどになっています。満充電状態で長期間保存するのもまた危険なので、早めに4Vを切る程度には放電させておいた方が良いようです。
さて電動ガンで使うバッテリーの電圧は8.4Vが多く、リポバッテリーは7.4Vでちょっと低いんじゃね?とお思いの方も多いでしょう。実際どれほど差があるのか計測してみました。
まずはマルイ純正のニッケル水素ミニSバッテリー(8.4V1300mAh)をマルイのスタンダードM4でサイクルチェック。3日前に満充電してたので早速出番。サイクルは14.27発/秒。ちょっとバラツキがありますが普段でも大体14~15発/秒ほどです。
ET1の小さい方、7.4V800mAhは14.11発/秒。電圧も容量も小さいですがほとんど差がありません。
バトンのセパレート、7.4V1200mAhは15.06発/秒。容量が大きいせいかET1の小さい方より少し元気に動作する印象。数字的にも「少し元気」程度の差で、さすがにニッケル水素の9.6Vほど元気になるわけではありませんが、8.4Vとの差はほとんど無く、同じように使えるでしょう。
@@@
確かに多少面倒臭いところはあるのですが、電池というのはどのタイプも得手不得手があるもので用途にあったものを選びます。使う対象の性能にマッチしたものを選ぶのはもちろんですが、利用する側の利便に合うかどうかも重要です。ただし利便については慣れてしまうものでもあるので、恐れずに知識を深めつつ手を出してみると良いでしょう。
リポバッテリーとはLi-po(リチウムポリマー)タイプのバッテリーです。
携帯電話などのバッテリーで知られるリチウムイオンバッテリーの電解質が液体であるのに対し、重合体(ポリマー)に電解質を浸して半固体にしたもので、小型化かつ液漏れなどの安全性も改良されたものです。ニッカドやニッケル水素のバッテリーに対し高出力・軽量・小型ですが改善されたとはいえまだ前者に較べると死に際に膨張・破裂・発火する等の危険性があり、高性能とはいえ「怖い」という理由から二の足を踏んでいる人も多いかと思います。
バッテリーの収納場所が限られている電動ガンにおいては特に外装チューンをしていくとぶつかりやすい障害が重くてでかいニッ水バッテリの収納。これをリポバッテリーの導入によりある程度改善をみる事ができるハズです。
ショップの通販だとイマイチ必要なものが中途半端にしか揃わなかったのでAmazonで。
バトンの7.4V1200mAhセパレートバッテリー。長さはありますが薄型で二分割されているのでアウターバレルとハンドガードの間のスキマに収めるのに適した形状。
ET-1イエローライン7.4V800mAhリポバッテリー。やや小容量ですがコンパクト電動ガン用のマイクロバッテリーEXと同程度の長さ・2/3程度の幅しかなく、非常に軽量です。
イーグル模型リポセーフティバッグ。発火の危険のあるリポバッテリーの保管のための、難燃製のバッグ。今回のものはバッテリーを2つ収納できるタイプ。
G&Pリポバッテリーチェッカー。リポバッテリーは満タンから空まで使い切る使い方では寿命が著しく低下しまた危険なのである程度の範囲内で管理しながらの使用となります。そのある程度の範囲を知るための電圧チェックを容易に行えるようにするアイテム。
オプションNo.1リポオートカット。銃の端子とバッテリーの間に接続する事で銃の使用中にバッテリーの残量が危険域まで減る前に告知したり接続カットをして保護するためのもの。多少場所をとるので余裕があったら装備しておきたいアイテム。ただ、お座敷シューターにはあまり必要なものではないかも。
開封。
バッテリーチェッカーは基盤と端子が剥き出しなものが多いですがこの製品はUSBメモリのようにケーシングされており、端子にフタも付いています。
リポバッテリーから生えているバランス端子(小さい方のコネクタ)をチェッカーの側に小さく書かれている-123456の-の側に詰めて接続すると表示が光ります。点滅しながらMax→(合計電圧)→No.1→(1セル側の電圧)→No.2→(2セル側の電圧)→Max・・・という順に表示されてゆきます。
ニッケル水素バッテリーなどでは合計電圧だけ見ていれば良いのですが、リポバッテリーの場合はセル単位で管理する必要があります。ニッカドやニッケル水素は1セルが1.2Vで、8.4Vなら7セルがひとまとめにされています。リポバッテリーでは1セルが約3.7Vで2セルタイプのリポバッテリーなら合計7.4V。更に高出力なものは3セル11.1Vのものがあり、バランス端子が横に大きくなってゆきます。このチェッカーでは6セルのものまで計測できるようになっています。
ニッケル水素バッテリーでも同様ですが、8.4Vといっても実際には満充電で10V近くまで出ていて使っていくと段々8.4V前後まで下がってゆき空になる直前で8V以下に急降下します。リポバッテリーの場合では安全に使用できる推奨範囲が大体3.8~4.2Vで、大幅に超えるのが危険なのはもちろん、大幅に下がっても危険となります。
今回のものは買ってきたばかりで充電していないので低めですが、店頭や倉庫で長期保管されるため低すぎない程度に残量がある状態にされています。ニッケル水素のように放っておいても自己放電でどんどん減ったりはしませんが、さすがに何年も放置すると減ってしまうので注意が必要。
オートカットはバッテリーと接続すると一旦赤く光ってから緑に常点灯します。説明書が無いので減ったらどうなるのかわかりません・・・
重量の比較。マルイ純正のニッケル水素ミニSバッテリーは167g、AKバッテリーは161g。
バトンのセパレートバッテリーは75g。半分以下の重量。
ET1のものは42gしかありません。
ET1のものに付属の説明書。
早速銃に接続してみましょう。まずはUMAREXのG36CVですが、セパレートバッテリーはちょっと長さと配線の取り回しが上手くいかず収まりませんでした。バレルに這わせつつ上手くハンドガードを閉めるタイプの収納だとセパレートは上手くいかない傾向にあります。RASのスキマに差し込むとか、そんな収納の方に向いている印象。
小さい方は余裕ですが、オートカットを装備するとこれもちょっと取り回しに苦労します。
どうにか収まりましたが、G36系はちょっとバッテリーの収納が面倒臭い印象。リポバッテリーの場合特に外装を傷つけるのはご法度なので無理やり収めたりするのは危険です。
後ろ配線にしてVストック内に収める方がスムーズかもしれません。
セパレートは長さ方向がちょっと窮屈。上下方向は余裕たっぷり。
G&G CM16にマグプルMOEハンドガードを装着したものの場合。セパレートはやや窮屈なもののオートカットごと収める事ができました。
ただオートカットのランプがスキマから見えるので、ナイトゲームとか暗いシチュエーションだと目立っちゃうかも。
小さい方は余裕で入ります。
CYMAのAK47タクティカル(CM.039C)の場合。トップカバー内に収めますがAKバッテリーと同程度の太さなので十分収める事ができます。
チャージハンドルを引くとランプの光が覗くので確認もできそう。
セパレートはオートカットを外して束ねればどうにか収まりそう。
トップカバーを閉める時に束ねたのがズレたりしてちょっとやりにくいのですが、ちゃんと収まりました。
マルイ次世代AKS74U。ハンドガード上側の内部に収納しますが、小さい方ならミニSバッテリーよりもすんなり入るレベル。
メーカーはリポ使用を推奨しておらず、方々でも「次世代にリポを使うと壊れる」と言われていますが、小さい低容量のものならそれほど神経質にならなくても大丈夫かと思います。ただし壊れたらメーカーに送るタイプの人はやめておいた方が良いでしょう。
マルイスタンダードM4に16インチアウターとマグプルMOEハンドガードライフルレングスを装着したものの場合。これだけ前後にスペースがあるとあまり苦労しません。ただスペースは細長いので多少考慮する余地はあり、またハンドガード下側を閉める時にポロリしやすいのでちょっと面倒臭いかも。
オートカットのランプは下方向に漏れます。
ハンドガード内にあまりにも重量感が無いので計ってみるもアレ?それほど軽くもないや・・・
S&Tタボールの場合。セパレートは長すぎてダメでした。
小さい方は非常にきれいに収まります。オートカット装備でも収まりそう。
S&Tタボールのコピー元であるARESのタボールはバッテリーの収納場所がハンドガード内ではなくストック内だと聞いたのですが、確かにメカボックスの上側に細長いスペースがありました。
こちら側だとセパレートもおさまりますが、チャージハンドルと連動しているボルトカバーが真下でバッテリーと擦れ合うのでバッテリーを入れている時はあまりチャージハンドルを操作しないようにする必要があります。またこのタボールは樹脂メカボが入っている初期型なのでブローバック機能のある最近の物は無理かもしれません。
空撃ちとはいえそれぞれ100発分くらい動作させましたが0.2~0.3ほど減ったかしら。説明書にもありますが本来は買ってきたら動作させる前にまず充電から始めなければなりません。
というわけで取り出したるは充電器。ABCホビーのLife-Po4というちょっと古い機種です。最近のものではモニター表示があるものでももっと安く買えると思います。リポバッテリーしか使わない人はリポ専用の充電器がおすすめ。リポバッテリーの事故はマルチタイプの充電器を使いニッケル水素の充電モードでリポの充電をした、とかいう場合に多いのだとか。
本体左側面にあるバランス端子。2セル~6セルのものまで対応しています。
2セルのバッテリーならばバッテリーから生えているバランス端子を左下の端子に差し込みます。
バランス端子を繋いだだけでは充電スタートさせてもエラーが出て停止するので、リポ充電の設定をします。充電モードをLi-po バランスチャージにし、電流値を800mAhのバッテリーなので0.8Aにします。1C充電といって1200mAhなら1.2Aにし、0.5C充電(800mAhのバッテリーなら0.4A)は時間はかかるが安全に、2C(800mAhなら1.6A)以上はリスクはあるが高速で充電するのですが、リスクと速度の兼ね合いで一番丁度良いのが1C充電です。
最後にバッテリー電圧を7.4V(2S)にしたらバッテリーの出力端子を繋いで充電開始。
充電が始まりました。この充電器にはバッテリー温度管理用のセンサーがあるのですが、リポバッテリーはバッテリーのセルを覆う缶が鉄ではなくアルミなので、磁力でくっつくセンサーはぴったり取りつかないのですが、気持ち程度にセンサー面をバッテリーに乗せておきます。
ダイヤルを回すとセル毎の電圧などの状態を見る事ができます。
充電完了。上段中央が経過時間、右が充電した量(mA)、下段はバッテリーに送っている電流量とバッテリーが現在発している電圧。
1セルあたり4.14Vほどになっています。1セル目と2セル目で多少ズレがあるのは普通ですが、大きくズレる場合は放電とバランス充電を繰り返して調整します。
次はセパレートの方を。1200mAhなので1.2Aに変更する以外は同じ設定で。
充電開始。
充電完了。そうそうリポバッテリーの充電中は監視しながら。充電開始してから寝る、みたいなのはダメです。さすがに凝視し続けなければならない、というほどではないので横で別の事をするなどして度々チラ見する程度で十分。あと充電中はバッテリーは保管バッグなど燃えないものを下に敷いておくと安心。もし燃え出した時は慌ててコネクターを抜こうとせず、どのみち再利用不可となるバッテリーの配線をニッパーなどでちょん切って退避させた方が早いでしょう。そして燃えているバッテリーは化学反応で燃えているため酸素を奪うための通常の消火(水をかける、容器に入れて密閉する)ではかけた水が過熱されて激しい水蒸気を吹いたり、有毒ガスが発生していて密閉した容器が破裂したりするので、濃い塩水に数日浸けて反応を収束させるのだそうです。
こちらは4.15~4.16Vほどになっています。満充電状態で長期間保存するのもまた危険なので、早めに4Vを切る程度には放電させておいた方が良いようです。
さて電動ガンで使うバッテリーの電圧は8.4Vが多く、リポバッテリーは7.4Vでちょっと低いんじゃね?とお思いの方も多いでしょう。実際どれほど差があるのか計測してみました。
まずはマルイ純正のニッケル水素ミニSバッテリー(8.4V1300mAh)をマルイのスタンダードM4でサイクルチェック。3日前に満充電してたので早速出番。サイクルは14.27発/秒。ちょっとバラツキがありますが普段でも大体14~15発/秒ほどです。
ET1の小さい方、7.4V800mAhは14.11発/秒。電圧も容量も小さいですがほとんど差がありません。
バトンのセパレート、7.4V1200mAhは15.06発/秒。容量が大きいせいかET1の小さい方より少し元気に動作する印象。数字的にも「少し元気」程度の差で、さすがにニッケル水素の9.6Vほど元気になるわけではありませんが、8.4Vとの差はほとんど無く、同じように使えるでしょう。
@@@
確かに多少面倒臭いところはあるのですが、電池というのはどのタイプも得手不得手があるもので用途にあったものを選びます。使う対象の性能にマッチしたものを選ぶのはもちろんですが、利用する側の利便に合うかどうかも重要です。ただし利便については慣れてしまうものでもあるので、恐れずに知識を深めつつ手を出してみると良いでしょう。
ハセガワ1/700ウォーターラインシリーズの駆逐艦霞(かすみ)です。
ハセガワの朝潮型はウォーターラインシリーズ初期からある古いキットで、霞だけは2006年頃に対空兵装強化時を再現するパーツが追加されて発売されたもの。ピットロードからもっとマシな霞が出ているのでわざわざこっちを買う必要もなかったのですが、値段が倍も違うのと、これを買った時はまとめ買いをしたので安いのでいいやを思ってしまった事、昔小学生の頃にハセガワの峯雲(同じ朝潮型のバリエーションキット)を組んだ時の印象が良かったので思い出補正もありました。
霞は朝潮型駆逐艦の9番艦で、朝潮型の最後の艦です。軍縮条約により小型の船体に山盛り武装を、というコンセプトで建造された初春型は結局は安定化のために武装を減らし、改良型の白露型で再強化されたものの小型の船体ではそれ以上の発展性も望めなかったため、条約破棄後にあらためて十分な大きさの船体をベースにする方針に基づいて建造されたのが朝潮型駆逐艦です。朝潮型駆逐艦は艦隊型駆逐艦としては十分な性能を誇っていましたが、運用上不都合がみられた部分の改修(次発装填装置の位置など)や航続距離の延伸などの改良がなされ次型の陽炎型となります。
駆逐艦霞は1939年に竣工し、太平洋戦争開戦時は同型の「霰(あられ)」、陽炎型の「陽炎」「不知火」と共に第18駆逐隊を編成、真珠湾攻撃部隊の護衛として初戦から参加します。練度の高い隊でもあったので序盤から各地を転戦しますが、1942年7月にキスカ島へ水上機母艦千代田・特設運送船あるぜんちな丸の護衛として向かった際、連日の激務で疲労していたため休息をとっていたところを米潜水艦グロウラーの奇襲を受け、霰は沈没、霞・不知火は大破してしまい、この責任をとる形で当時霞に座乗していた駆逐隊司令は割腹自殺し、隊は解隊となります。霞は舞鶴で修理を受けた後はしばらくの間予備艦となり、1943年9月に第5艦隊第1水雷戦隊に編入、再び各地を転戦します。1944年に入り苦しい戦況の中で同行した損害艦の救助に奔走するエピソードが増え、第1水雷戦隊旗艦であった阿武隈が損傷した際に代わって旗艦を務めた後は度々旗艦を担う機会も多くなります。年末の礼号作戦においては参加艦艇のうちより大型で通信・旗艦設備の整っていた重巡洋艦足柄・軽巡洋艦大淀をさしおいて小回りの利く霞を旗艦とし、作戦を成功に導きます。1945年初頭の北号作戦では戦艦伊勢・日向を護衛しシンガポールから日本本土まで多くの物資を無傷で持ち帰り、日本海軍最後の作戦成功を飾りました。そしてその持ち帰った燃料をもって米占領下にあった沖縄を目指す天一号作戦に参加、坊の岬沖海戦において米航空機の攻撃により大破し、駆逐艦冬月に乗員を移乗後撃沈処分され沈没します。この時の冬月の艦長は1か月前まで霞の艦長をしていた人でした。
箱下面。リノリウム色は書かれていますが単装機銃の配置などは書かれていません。
開封。古いキットのため小さな箱に相応の内容となります。
説明書。ハセガワのウォーターラインシリーズの説明書は記述が大きめで読みやすくされているのが特徴的。ただし各所にある「埋めてください」はちょっと初心者には厳しいかも。パテを用いるよりは穴に接着剤を流して伸ばしランナーを突っ込んで埋めるのが簡単でしょうか。
主要パーツ群。新造された追加パーツは手前真ん中のランナーにある2つの機銃台パーツ。これだけがシャキッとしており、他のパーツはバリも多くダルンダルンです・・・
船体上面にはリノリウム押さえディテールがびっしり入っていますが、艦中央部のリノリウム色じゃない部分にも横方向に走るモールドが大量にあり、ここは鉄板モールドにしてほしかったところ。砲塔の軸は穴ではなく大きなダボが立っているので切り飛ばしてディテールアップパーツなどに置き換えると良いでしょう。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。砲塔や魚雷発射管などは本体のパーツがグズグズなのでこちらに置き換えるのがベター。
船体は船体、バラスト、艦底の3パーツで超シンプル。
ただしやはりスッとは取り付きません・・・
船体側艦首付近の内側が出っ張っていてここを少し削ってやる必要があります。リューターで削りましたがカッターの方が早いかも。
接着剤を貼り合わせたスキマに流したらプレス!船体上面に突起が多く重しが置きにくく、重さが足りないので結局平らな板を艦底側に当てて輪ゴムでグルグル巻きにしてしまいます。輪ゴムは長期間プラスチックに触れていると癒着するのでその状態で何日も放置しないように注意。
砲塔や魚雷発射管の軸を切り飛ばし、何のモールドも無い船体側面に伸ばしランナーを貼って外舷電路っぽくします。舷窓もピンバイスで浅めに開けます。
ディテールアップパーツをそのまま使うのも物足りないので伸ばしランナーでリブを取り付けたり、前回の雪風のエッチングパーツの余りの水密扉も所々貼っておきました。
リノリウム色として43ウッドブラウンを塗装。つい船首楼の後の一段下がった部分まで塗ってしまいましたが、朝潮型は船首楼の上と船体後半だけを塗ります。
32軍艦色2で残りを塗装。艦底色も後でマスキングして塗っておきます。
パーツを取り付けてゆきます。基本的にキットの主要パーツを使用しますが、砲塔&魚雷発射管は言うまでも無く、連装&3連装機銃などもディテールアップパーツに置き換えます。次発装填装置を跨ぐスキッドビームはディテールが何も無く貧相なので前回のフジミ雪風で使用しなかったプラパーツを流用。ここだけディテールが濃くてちょっと浮き気味?
フジミ雪風の防弾板やボートダビット、デリックの他ピットロードの陽炎型で使用しなかった艦橋後部の電探室や単装機銃、ホースリールなどを流用して盛り付けてゆきます。子供だまし的ではありますが連装機銃のパーツやパーツの切れ端を加工して適当に配置する事でみつしり感を高めておきます。単装機銃の配置はピットロード版の霞の塗装指示がググれば割とすぐ見つかるので参考に。全部で8個。
デカールを貼りますが、傷んでいたのか砕けるので船体左右の名前は失敗、旗も上写真の後にウォッシングしていたら砕けてしまいました。艦尾の「みすか」の文字のみが霞と識別できる唯一の部分になってしまいました。艦橋の窓もデカール表現になっていますが、黒で塗装して窓枠は省略でも良いと思います。
エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングして完成。
霞の場合「歴戦の猛者」っぽさが出るとよりそれっぽいでしょう。
ただ一度フジミの雪風みたいなのを見てしまうとどんなに頑張ってディテールアップしてもまだ足りない気がしてしまいます。どこまでやれるかは気力と根性次第。私は性格的にこれが精一杯かな・・・
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲(C型砲塔)。その後方、艦橋の前には増設された機銃台の上に九六式25mm連装機銃が配置されています。艦橋後部のマストは22号電探が配置され、その処理のための電探室が艦橋後部に増設されています。
艦中央部。煙突と交互に4連装魚雷発射管が設置されています。1番魚雷発射管の次発装填装置は初春型・白露型と同様に2番煙突の方へV字に広がるような形で置かれていますが、この真下には機関室があるため誘爆の被害を減らす意図で陽炎型からは1番煙突の側へ配置し直されています。
艦後部。背負い式に高い位置に置かれていた2番砲塔を撤去して代わりにタンデム配置で九六式25mm三連装機銃が置かれています。その直前のマストには13号電探が装備されています。
右舷に回り艦尾。爆雷投射機(Y砲)と爆雷装填台、爆雷投下軌条、爆雷投下台などが集中装備されています。掃海具などは撤去され、代わりに単装機銃が置かれています。
再び艦中央部。2番煙突の前面左右に三連装、直前にも1挺の単装機銃が置かれています。
艦首を後方から。艦橋左右のカッターはボートダビットごと撤去されているのは戦争末期の他の艦と同様なのですが、霞ではこの位置には特に何も置かれておらず、単装機銃は少し前の方に置かれています。
ピットロードの朝潮(上画像奥側)と。
ピットロードの朝潮はキット年次が1990年代と比較的新しいですが考証としては若干不十分という話を聞きます。ただしそれより20年以上古いハセガワのが正しいわけではなく、どちらも完璧を期するのなら多少の手直しが必要のようです。完璧ならね。あんまり言うとキリないし。
艦中央部。やはり最初からある程度ディテールが入ってた方がいいに決まってます。ハセガワの方は艦首甲板の艦橋直後で抉れている部分が左右繋がっていてちょっと目立つのですが、ここを直すのは大変かも。
艦後半はどちらもそれなり。艦尾の爆雷投下台ディテールがハセガワのはちょっと邪魔で、もうちょっと端に寄って欲しい感じ。爆雷投下軌条を置く時にちょっと削らないと収まらないので。
これがやりたかった礼号作戦!足柄と大淀。あと清霜と朝霜もあればなお良し。
清霜と朝霜は夕雲型があればOKですがピットロードの夕雲型後期艦は現在絶版中なのでハセガワの夕雲型後期艦の秋霜を2つ組んで清霜と朝霜だ、って言い張れば良し。ただしハセガワの夕雲型はクオリティが今回の霞と同レベルなのを述べておきます。
@@@
タミヤと違い古いものは古いなりなのがハセガワ。正直初心者には薦めかねます。霞が欲しいならピットロードのを薦めますが、艦プラ作ってれば避けて通れないのが古い難物キット。練習として、難物キットを踏んだ時にこういう時どうすればいいか、それを考えるための教材だと思って経験値にするのにも良いかもしれません。陽炎型みたいにとっととリニューアルしてくれると一番良いのですが・・・
ハセガワの朝潮型はウォーターラインシリーズ初期からある古いキットで、霞だけは2006年頃に対空兵装強化時を再現するパーツが追加されて発売されたもの。ピットロードからもっとマシな霞が出ているのでわざわざこっちを買う必要もなかったのですが、値段が倍も違うのと、これを買った時はまとめ買いをしたので安いのでいいやを思ってしまった事、昔小学生の頃にハセガワの峯雲(同じ朝潮型のバリエーションキット)を組んだ時の印象が良かったので思い出補正もありました。
霞は朝潮型駆逐艦の9番艦で、朝潮型の最後の艦です。軍縮条約により小型の船体に山盛り武装を、というコンセプトで建造された初春型は結局は安定化のために武装を減らし、改良型の白露型で再強化されたものの小型の船体ではそれ以上の発展性も望めなかったため、条約破棄後にあらためて十分な大きさの船体をベースにする方針に基づいて建造されたのが朝潮型駆逐艦です。朝潮型駆逐艦は艦隊型駆逐艦としては十分な性能を誇っていましたが、運用上不都合がみられた部分の改修(次発装填装置の位置など)や航続距離の延伸などの改良がなされ次型の陽炎型となります。
駆逐艦霞は1939年に竣工し、太平洋戦争開戦時は同型の「霰(あられ)」、陽炎型の「陽炎」「不知火」と共に第18駆逐隊を編成、真珠湾攻撃部隊の護衛として初戦から参加します。練度の高い隊でもあったので序盤から各地を転戦しますが、1942年7月にキスカ島へ水上機母艦千代田・特設運送船あるぜんちな丸の護衛として向かった際、連日の激務で疲労していたため休息をとっていたところを米潜水艦グロウラーの奇襲を受け、霰は沈没、霞・不知火は大破してしまい、この責任をとる形で当時霞に座乗していた駆逐隊司令は割腹自殺し、隊は解隊となります。霞は舞鶴で修理を受けた後はしばらくの間予備艦となり、1943年9月に第5艦隊第1水雷戦隊に編入、再び各地を転戦します。1944年に入り苦しい戦況の中で同行した損害艦の救助に奔走するエピソードが増え、第1水雷戦隊旗艦であった阿武隈が損傷した際に代わって旗艦を務めた後は度々旗艦を担う機会も多くなります。年末の礼号作戦においては参加艦艇のうちより大型で通信・旗艦設備の整っていた重巡洋艦足柄・軽巡洋艦大淀をさしおいて小回りの利く霞を旗艦とし、作戦を成功に導きます。1945年初頭の北号作戦では戦艦伊勢・日向を護衛しシンガポールから日本本土まで多くの物資を無傷で持ち帰り、日本海軍最後の作戦成功を飾りました。そしてその持ち帰った燃料をもって米占領下にあった沖縄を目指す天一号作戦に参加、坊の岬沖海戦において米航空機の攻撃により大破し、駆逐艦冬月に乗員を移乗後撃沈処分され沈没します。この時の冬月の艦長は1か月前まで霞の艦長をしていた人でした。
箱下面。リノリウム色は書かれていますが単装機銃の配置などは書かれていません。
開封。古いキットのため小さな箱に相応の内容となります。
説明書。ハセガワのウォーターラインシリーズの説明書は記述が大きめで読みやすくされているのが特徴的。ただし各所にある「埋めてください」はちょっと初心者には厳しいかも。パテを用いるよりは穴に接着剤を流して伸ばしランナーを突っ込んで埋めるのが簡単でしょうか。
主要パーツ群。新造された追加パーツは手前真ん中のランナーにある2つの機銃台パーツ。これだけがシャキッとしており、他のパーツはバリも多くダルンダルンです・・・
船体上面にはリノリウム押さえディテールがびっしり入っていますが、艦中央部のリノリウム色じゃない部分にも横方向に走るモールドが大量にあり、ここは鉄板モールドにしてほしかったところ。砲塔の軸は穴ではなく大きなダボが立っているので切り飛ばしてディテールアップパーツなどに置き換えると良いでしょう。
静模のディテールアップパーツ小型艦用が1枚付属。砲塔や魚雷発射管などは本体のパーツがグズグズなのでこちらに置き換えるのがベター。
船体は船体、バラスト、艦底の3パーツで超シンプル。
ただしやはりスッとは取り付きません・・・
船体側艦首付近の内側が出っ張っていてここを少し削ってやる必要があります。リューターで削りましたがカッターの方が早いかも。
接着剤を貼り合わせたスキマに流したらプレス!船体上面に突起が多く重しが置きにくく、重さが足りないので結局平らな板を艦底側に当てて輪ゴムでグルグル巻きにしてしまいます。輪ゴムは長期間プラスチックに触れていると癒着するのでその状態で何日も放置しないように注意。
砲塔や魚雷発射管の軸を切り飛ばし、何のモールドも無い船体側面に伸ばしランナーを貼って外舷電路っぽくします。舷窓もピンバイスで浅めに開けます。
ディテールアップパーツをそのまま使うのも物足りないので伸ばしランナーでリブを取り付けたり、前回の雪風のエッチングパーツの余りの水密扉も所々貼っておきました。
リノリウム色として43ウッドブラウンを塗装。つい船首楼の後の一段下がった部分まで塗ってしまいましたが、朝潮型は船首楼の上と船体後半だけを塗ります。
32軍艦色2で残りを塗装。艦底色も後でマスキングして塗っておきます。
パーツを取り付けてゆきます。基本的にキットの主要パーツを使用しますが、砲塔&魚雷発射管は言うまでも無く、連装&3連装機銃などもディテールアップパーツに置き換えます。次発装填装置を跨ぐスキッドビームはディテールが何も無く貧相なので前回のフジミ雪風で使用しなかったプラパーツを流用。ここだけディテールが濃くてちょっと浮き気味?
フジミ雪風の防弾板やボートダビット、デリックの他ピットロードの陽炎型で使用しなかった艦橋後部の電探室や単装機銃、ホースリールなどを流用して盛り付けてゆきます。子供だまし的ではありますが連装機銃のパーツやパーツの切れ端を加工して適当に配置する事でみつしり感を高めておきます。単装機銃の配置はピットロード版の霞の塗装指示がググれば割とすぐ見つかるので参考に。全部で8個。
デカールを貼りますが、傷んでいたのか砕けるので船体左右の名前は失敗、旗も上写真の後にウォッシングしていたら砕けてしまいました。艦尾の「みすか」の文字のみが霞と識別できる唯一の部分になってしまいました。艦橋の窓もデカール表現になっていますが、黒で塗装して窓枠は省略でも良いと思います。
エナメルフラットブラックとジャーマングレーでウォッシングして完成。
霞の場合「歴戦の猛者」っぽさが出るとよりそれっぽいでしょう。
ただ一度フジミの雪風みたいなのを見てしまうとどんなに頑張ってディテールアップしてもまだ足りない気がしてしまいます。どこまでやれるかは気力と根性次第。私は性格的にこれが精一杯かな・・・
各部を観察。主砲塔は50口径三年式12.7cm連装砲(C型砲塔)。その後方、艦橋の前には増設された機銃台の上に九六式25mm連装機銃が配置されています。艦橋後部のマストは22号電探が配置され、その処理のための電探室が艦橋後部に増設されています。
艦中央部。煙突と交互に4連装魚雷発射管が設置されています。1番魚雷発射管の次発装填装置は初春型・白露型と同様に2番煙突の方へV字に広がるような形で置かれていますが、この真下には機関室があるため誘爆の被害を減らす意図で陽炎型からは1番煙突の側へ配置し直されています。
艦後部。背負い式に高い位置に置かれていた2番砲塔を撤去して代わりにタンデム配置で九六式25mm三連装機銃が置かれています。その直前のマストには13号電探が装備されています。
右舷に回り艦尾。爆雷投射機(Y砲)と爆雷装填台、爆雷投下軌条、爆雷投下台などが集中装備されています。掃海具などは撤去され、代わりに単装機銃が置かれています。
再び艦中央部。2番煙突の前面左右に三連装、直前にも1挺の単装機銃が置かれています。
艦首を後方から。艦橋左右のカッターはボートダビットごと撤去されているのは戦争末期の他の艦と同様なのですが、霞ではこの位置には特に何も置かれておらず、単装機銃は少し前の方に置かれています。
ピットロードの朝潮(上画像奥側)と。
ピットロードの朝潮はキット年次が1990年代と比較的新しいですが考証としては若干不十分という話を聞きます。ただしそれより20年以上古いハセガワのが正しいわけではなく、どちらも完璧を期するのなら多少の手直しが必要のようです。完璧ならね。あんまり言うとキリないし。
艦中央部。やはり最初からある程度ディテールが入ってた方がいいに決まってます。ハセガワの方は艦首甲板の艦橋直後で抉れている部分が左右繋がっていてちょっと目立つのですが、ここを直すのは大変かも。
艦後半はどちらもそれなり。艦尾の爆雷投下台ディテールがハセガワのはちょっと邪魔で、もうちょっと端に寄って欲しい感じ。爆雷投下軌条を置く時にちょっと削らないと収まらないので。
これがやりたかった礼号作戦!足柄と大淀。あと清霜と朝霜もあればなお良し。
清霜と朝霜は夕雲型があればOKですがピットロードの夕雲型後期艦は現在絶版中なのでハセガワの夕雲型後期艦の秋霜を2つ組んで清霜と朝霜だ、って言い張れば良し。ただしハセガワの夕雲型はクオリティが今回の霞と同レベルなのを述べておきます。
@@@
タミヤと違い古いものは古いなりなのがハセガワ。正直初心者には薦めかねます。霞が欲しいならピットロードのを薦めますが、艦プラ作ってれば避けて通れないのが古い難物キット。練習として、難物キットを踏んだ時にこういう時どうすればいいか、それを考えるための教材だと思って経験値にするのにも良いかもしれません。陽炎型みたいにとっととリニューアルしてくれると一番良いのですが・・・